ロピア首都圏戦略のカギとなる? 「スーパーバリュー杉並高井戸店」売場レポート
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年7月9日 20時55分
22年末にロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)を中核とするOICグループ(神奈川県/髙木勇輔代表 ※23年5月1日付で、ロピア・ホールディングスはOICグループに商号変更)傘下に入り、新たなスタートを切ったスーパーバリュー(埼玉県/岸本圭司社長)。同社は2023年4月、東京都杉並区の「スーパーバリュー杉並高井戸店」(以下、高井戸店)をリニューアルオープンした。前編では同店の生鮮食品売場をレポートした。後編では、日配や加工食品などの売場から同店の強さを探ってみたい。
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スーパーバリューPBも健在!
和日配売場は、売場は入口側から見て奥側の壁面6尺で「納豆」、左壁面64尺で「漬物」「佃煮」「中華総菜」「麺」「揚げ・豆腐」「練物」「水物」を配置する。「納豆」は16品目の扱いで、「タカノフーズ・おかめ納豆極小粒ミニ50g×3」(79円)、「オーサト・うまいが一番45g×4」(4個セットで299円)などを販売。「豆腐」は32品目の扱いで「ハギワラ・北海道産大豆350g×2」(119円)を軸に、スーパーバリューのプライベートブランド「SVセレクト」の「絹とうふ150g×3」(71円)や「ハギワラ・極上豆腐300g」(139円)なども扱う。練物でもSVセレクトの「竹輪23g×6本」「79円)を販売していた。全体的に和日配は売れ筋をベースに訴求商品を絡ませた堅実な商品構成であるようだ。
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洋日配は奥側壁面32尺で「乳製品」を独立して展開するほか、左壁面44尺で「チルド飲料・ヨーグルト」、レジ前に常温の「豆乳」「プチ飲料」を配置する。乳製品は「ミックスチーズ」「ナチュラルチーズ」「バター」「マーガリン」の並びで、隣12尺のピザ・ゼリーコーナーにつなげている。「プレーンヨーグルト」は8尺17品目の扱いで、「明治・ブルガリアヨーグルト」の扱いがなく、価格訴求はPB「SVセレクトヨーグルト400g」(99円)が担っているようだ。また、「古谷乳業・はちみつヨーグルト400g」(159円)や「岩泉乳業」「湯田乳業」のパック入りヨーグルトなどこだわり商品の扱いも見られた。
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安さ際立つ冷食・アイスクリーム
アイスクリームは売場中央の前方40尺のスペースにまとめている。ロピア開店時恒例の6割引きセールは行っていなかったが、ほとんどが4.5~5割引きの価格設定で、安さを感じる売場となっている。。個食タイプは89円が軸で、マルチタイプは「赤城乳業・ガリガリ君7本」、「井村屋・あずきバー6本」(各199円)などを販売。「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」(各種239円)、「ホットランド・ストロベリーピンキーケーキ」(359円)などプレミアムアイスの扱いもあるほか、ロピアのグループ会社であるユーラスの冷凍ティラミス(539円)なども揃える。
冷凍食品は売場前方40尺に「野菜」「スナック」「弁当」「中華」「パスタ」など約175品目、後方36尺に「米飯」「おかず」「ラクゴチ」「唐揚」「チキン」「餃子」など大容量商品を含む約97品目、合計約272品目を揃える。
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弁当食材は199円を軸に、169~179円の訴求品も揃える。麺ではSVセレクトの「讃岐うどん900g」(259円)、「オーマイ・ビッグパスタ340g」(219円)などを販売。米飯ではロピアオリジナルの「どでか盛炒飯750g」(399円)のほか、「ニチレイ・本格炒め炒飯450g」(229円)などを販売。ロピアのグループ会社である利恵産業のこだわり冷凍総菜シリーズ「ラクゴチ」の「ラザニア」「ドリア」「グラタン」なども揃える。餃子は8尺15品目の扱いで、「味の素冷凍食品・ギョーザ12個」(239円)を軸に、「イートアンドフーズ・大阪王将肉餃子800g」(799円)、「ユーラス・野菜餃子30個」(699円)など販売する。冷凍食品もロピア恒例の5割引きセールは実施していなかったものの、メーカー商品はどれも5割引き前後の価格で提供しており、十分に安さが感じられた。
独自性あふれる加工食品売場
加工食品は売場中央のゴンドラゾーンで、前方に「米」「嗜好飲料」など、後方に「調味料」「乾物」「即席麺」などを配置する。加工食品は全体的に品揃えを絞っており、カテゴリーごとにメリハリを付けているようだ。
たとえば、後方にある「スパイス」は3尺5本で上段に「エスビー食品」「ハウス食品」のシーズニングスパイスや唐辛子など、下段に「和風スパイス」「ラー油」「胡椒」などを陳列する。その対面には「肉調味料」を配置しており、「ポン酢」「すき焼」「ソース」「たれ」「肉スパイス」など3尺12本でコーナーを展開する。同コーナーの軸となっているのが、ロピアの系列会社である丸越醸造の商品で、木製の什器で「にんにくポン酢500ml」(299円)を「販売個数25万個突破」のPOPを添えてアピールしていた。そのほか3尺3本のスペースで、「肉スパイス」「アウトドアスパイス」のこだわり商品を展開。「ろく助塩」「中村食肉・マキシム」など価格は張るものの魅力的な商品を多数ラインナップする、迫力ある売場となっていた。
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「バランス型」の商品構成ではなく、「売りたいものを売る」という姿勢が明確に打ち出されており、既存のチェーンと一線を画す独自性の強い売場となっている。
酒類・飲料はスペースの関係からか、売れ筋に絞ったコンパクトな売場となっている。酒類は「ビール系飲料」「缶チューハイ」を軸としつつ、「日本酒」「焼酎」「リキュール」「ウイスキー」「ワイン」は無難にまとめている印象を受けた。飲料も同様で、売れ筋の「伊藤園・お~いお茶2L」(139円)、「サントリー・伊右衛門2L」(169円)のほか、SVセレクトの「天然水2L×6」(299円)などを価格訴求している。
菓子は前方3尺16本3レーンで売場を展開。力を入れているのが「グミ」で15尺のスペースで国産と輸入品を幅広く扱う。菓子大袋は18尺51品目の扱いで、199円の商品を充実させている。ロピアではおなじみのユーラスのトルコ産「フュージョンクッキー」(3品目各99円)の扱いもあった。
ロピアの首都圏戦略のカギ?
スーパーバリューはこれまで「食品スーパー+ホームセンター」の複合店舗を主力に、食品の価格訴求でシェアを積み上げてきた経緯がある。かつてのスーパーバリューの店舗には “粗さ”のようなものがあったが、ロピアとのコラボによりそれが消えたように感じた。
高井戸店で働くスタッフの多くは、これほどの混雑と作業量を経験してこなかったことであろう。それほど“ロピア流売場”の集客力は凄まじく、スタッフもそれに精一杯ついていこうとしているように思う。小売業には「仕事に追われる楽しさ」というものも存在すると筆者は考えている。忙しい毎日は店舗で働くスタッフにとっても喜びであるのかもしれない。
ロピアは2022年度、関西、中部、首都圏に12店を出店している。今期も台湾や福岡などの出店がすでに明らかになっているが、首都圏においてはスーパーバリューの“ロピア化”に集中し、首都圏の基盤強化を図っていくものと見られる。
スーパーバリューの2023年2月期の売上高は677億円。ロピア、そしてOICグループとしては早期にこれを1000億円規模に引き上げたいところだろう。出店余地、建築資材などのコスト面などを考えても、首都圏で新たな大型店舗を開発するのは難しい。ロピアにとって、スーパーバリューの“ロピア化”は首都圏のシェアアップを図っていくうえで現実的、効果的な施策と言える。スーパーバリューでは今後、高井戸店のような改装が今後も続いていく可能性が高そうだ。
(店舗概要)
所在地 東京都杉並区下高井戸5-12-12
改装開店日 2023年4月22日
売場面積 約400坪(歩測、2階食品売場)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 300台
アクセス 京王線「下高井戸」駅から徒歩約14分
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