ビューティ強化店舗「ココカラファイン藤沢駅前店」を現役ドラッグストアスタッフが解説!
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年7月26日 20時55分
今回訪れたのは、神奈川県藤沢市にある「ココカラファイン藤沢駅前店(以下、藤沢駅前店)」。「藤沢駅」南口から徒歩1分の場所に位置し、同駅周辺では最も大きなドラッグストアだ。近くにバスロータリーがあり交通の便がよいため、店舗周辺は人の行き来が多く、多くの来店が期待できる店舗だ。
近年猛威を振るい続けてきた新型コロナウイルスもようやく落ち着き、マスク着用が個人の判断となったことでビューティ市場が盛り上がりを見せている。ヘルス&ビューティケア強化店舗として、業界内で注目されている藤沢駅前店はどのような体制でメイクアップ需要に応えていくのか。今回はビューティケアに焦点を当て、現役ドラッグストア社員の視点で同店の売場を分析していく。
化粧品を完全独立したレイアウトに注目
藤沢駅前店を訪れて一番感心したのは、「店舗内で化粧品売場を完全独立させている」という点だ。季節の目玉カテゴリであるシーズン商品のみ店頭で展開しているものの、そのほかのカウンセリング化粧品・洗顔・スキンケア・プチプラコスメ・ブランド化粧品・化粧小物などの、コスメに関連するカテゴリは同じ区画に集約されていた。
高価格帯の「カウンセリング化粧品」だけ売場を区切るドラッグストア店舗は数多く存在するが、藤沢駅前店は「化粧品だけ別のテナントで運営しているのか?」と思うほど化粧品売場とほかの売場が区別されており、漂う空気感も違うように感じる。以下、現役ドラッグストアスタッフの目線から、藤沢駅前店の売場でよいと感じたポイントをいくつか挙げてみたい。
まず1つ目が、「大々的な商品アプローチができる」という点だ。売場を完全に独立させることで、十分な売場面積を確保できるため、プロモーションを大きく展開できる。藤沢駅前店では、ポスターや販促什器を思う存分駆使して華やかな売場を演出していた。
販促什器の入れ替えを適宜行っているためか、色あせをはじめとした什器の劣化も少なく、売場の彩りが損なわれていなかい点にも目を惹かれた。目立たせたい商品を売場内で大きく展開できれば、売上に直結する。
化粧品売場が店内のあちこちに点在してしまうと、そのぶん活用できるスペースが少なくなり、幅をとる販促ポスターや什器を設置するのが難しくなる。メーカーからいただく販促什器を使用できず、仕方なく処分することも少なくない。販促什器を活用できない売場は細々とした商品展開になり、訴求力も落ちる。「商品出しているのに思ったような売上が見込めない」という状況にもなりかねない。化粧品売場の雰囲気が統一され、化粧品の購買意欲を掻き立てられる空間演出は、藤沢駅前店の特筆すべきところと言っていい。
お客さまとの“ミスマッチ”を回避!
次に注目したいのが「専門スタッフが担当業務に従事しやすい」という点だ。規模の大きいドラッグストアで起こる困りごとのひとつに、「特定業務の専門スタッフがお客さまから専門外のことを聞かれてしまう」という問題がある。
薬のプロフェッショナルである薬剤師がコスメのことを聞かれてしまったり、店舗巡回で訪れた化粧品ラウンダーをお客さまに店舗スタッフだと勘違いされて声をかけられたりなどだ。ドラッグストアは取り扱い品目が多く、これらの問題は営業するうえで避けて通ることが難しい。そして何より、お客さまに悪気はないためどうしても起こりうる。
藤沢駅前店では、化粧品売場と医薬品売場を完全にすみ分けることでお客さまとスタッフのミスマッチングを防いでおり、専門スタッフは担当業務に集中しやすい環境が保たれている。お客さまからしても、どの売場にいるスタッフに声をかけたらいいかがわかりやすいため、「声をかけた相手が対応できず、担当スタッフが来るまで待ちぼうけをくらう」などといったストレスからも解放され、効率的に買物ができる。これを実現し、しかも継続できる環境を構築できてという点は注目してほしいところだ。
買物しやすいレイアウトとは何か
関連して、「買物がしやすい売場レイアウトになっている」という点にも改めて注目したい。当たり前のことだが、カテゴリに沿って売場がつくられていたらお客さまは買物がしやすい。基本中の基本ではあるものの、藤沢駅前店はほかのドラッグストアと比べてもカテゴリを遵守した店舗レイアウトであった。
これも現役ドラッグストアスタッフとして抱える困りごとの1つだが、お客さまから特定の売場の場所を聞かれたときに、「化粧品コーナーは大体ここに収まっているが、洗顔コーナーとコットンだけあっちの通路にあります」だったり、「そのコスメは定番売場から少し離れたエンドと、現在は店頭にも展開しています」など、お客さまをあちこちと歩かせてしまうことがよくある。こうした商品のご案内業務は、お客さまとスタッフ、双方の時間を取ってしまい、かなりのロスになってしまっていると日々感じている。
他方、藤沢駅前店では、トレンド品は化粧品売場内に極力展開しており、化粧品のエンドも目立ちやすい店頭ではなく、化粧品区画内に設置されている。元の売場から逸脱しないよう、おそらく店舗独自のルールに則って商品を展開しているため、お客さまとしても目的の商品を見つけ出しやすい。それでも場所がわからなければ専門スタッフが近くにいるため声もかけやすい。また、通路導線が化粧品と医薬品売場の境に位置しているため、お客さまは案内図を見なくても、感覚だけで売場を把握しやすいつくりになっている点も特筆しておきたい。
以上の売場づくりにより、特定の場所での商品管理と専門スタッフの従事が叶うことで、万引きの早期発見、予防をしやすいという利点もある。
藤沢駅前店の化粧品売場は、現役ドラッグストアのスタッフとして思わず唸ってしまうほど、よく計算された売場づくりがなされている。販促物の効果的な活用、人員の配置、また、業務上優先度がどうしても低くなってしまう各コーナーのテスターも清潔に管理されるなど、隅々まで目が行き届いた売場管理がなされていた。化粧品という商材そのものが持つ魅力を十分に引き出す工夫が随所に凝らされているこの藤沢駅前店は、化粧品を扱う業界の関係者はぜひ一度見ておきたい店舗と言っていい。
販売体制が姿勢がしっかりしすぎていて唸りに唸りまくった店舗だった。化粧品そのものが持つ魅力を十二分に引き出すため、販促物の効率的な活用から人員の配置から細かなテスターの管理まで売場隅々まで目も人の手も行き届いた店舗だった。(業務上後回しにされやすいテスターのクリンネス、ここではテスターも清潔に管理されていて素晴らしいと思った。)
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