家具の買い取り再販売も!イケアが注力する循環型ビジネスの全貌とは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年7月18日 20時45分
スウェーデン発祥のホームファニシングカンパニー、イケア(IKEA)の日本法人イケア・ジャパン(千葉県/ペトラ・ファーレ社長:以下、イケア)は5月25日、「IKEA新三郷」(埼玉県三郷市:以下、新三郷店)で「サステナブル・ツアー」を行った。同ツアーでイケアが紹介したのは、同社が掲げる「サステナビリティ戦略」のもと、気候変動などの課題を解決するため店内各所で実施するさまざまな取り組みだ。
廃棄を減らすため商品を循環させる
イケアは環境問題などの課題を解決するため、かねてよりサステナビリティ戦略を掲げている。同戦略のスローガンは「ピープル・アンド・プラネット・ポジティブ」とし、人々の暮らしや地球の環境によい影響を与えながら売上を伸ばす企業をめざす。具体的には、2030年までに「商品に使用する木材の3分の1をリサイクル素材に変換」、「化石燃料由来の接着剤を40%削減」(対16年度比)などの目標を掲げる。
これらの目標を達成するため、イケアは「サーキュラー(循環型)ビジネス」に力を入れる。廃棄を減らし、商品を循環させようとする取り組みだ。それにより、健康的でサステナブルな暮らしの提供、温室効果ガスの削減、資源の再生や生態系の保護につなげる。では、具体的にどのようにしてサーキュラービジネスを実現しているのだろうか。新三郷店の取り組みを見ていこう。
![商業住宅一体の複合施設イメージ](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/07/dcs230715_024_001.jpg?auto=format%2Ccompress&fit=crop&ixlib=php-3.3.0&max-h=246&max-w=300&s=5af64ee8678108e1a3b122bbfabf772b)
新三郷店の売場1階では、店舗で使用しなくなった店頭展示品やお客から買い取った商品をアウトレット価格で販売する「サーキュラーマーケット」を常時展開している。イケアは17年から買い取りサービスを開始し、買い取り実績は累計3万8000点にのぼる(23年6月時点)。取材日はデスクやテーブルなどを定価の半額で販売していた。
同じく売場1階の「ネジ・部品コーナー」では、商品に必要なネジや部品を補充できるサービスを提供する。お客が部品をなくしても、再組み立てをしやすくなるための工夫だ。この取り組みはお客に商品を長く使ってもらいたいという意図で行っている。
高価格ではないサステナブル商品
イケア・ジャパンはサーキュラービジネスのほかにも、売場やバックヤードでさまざまな取り組みを行う。
新三郷店の売場2階にある「サステナブルに暮らすアイデア」コーナーでは、快適で健康的かつサステナブルな暮らしを提供する商品を提案する。たとえば、余った食材をピクルスやジャムにすることを提案し、その際に使用できる保存用ガラス容器や、最大40%の節水が可能なキッチン混合栓、簡単に分別できるゴミ箱などを揃える。
![「サステナブルに暮らすアイデア」コーナー](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/07/dcs230715_24-001.png?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=2dd107df82a7befc64a5dad050247d43)
同じく2階にある「イケアのサステナブルな取り組み」コーナーで販売を強化するのは、環境配慮型の商品だ。充電式電池やマイボトル、洗って使えるシリコーンゴム製のフードカバーなどを品揃えする。
フードコートでは、植物由来の原料のみで作ったプラントベースのサステナブルフードを提供し、肉の風味や食感を再現した「プラントボール」などのメニューをラインアップする。イケア・ジャパンが展開するフードコートの全メニューに占めるプラントベースフードの割合は80%にのぼり、イケアが出店する各国の中で最も高い。
そのほか店舗屋上には、太陽光パネルを設置している。太陽光パネルで発電した電気は、商品配送用のEV車の稼働に使用される。新三郷店では23年4月から2台のEV車を導入し、国内では合計8台が稼働中だ。イケアはこの取り組みで、25年までに温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション配送」をめざす。
イケアがサステナビリティ戦略でとくに重視しているのは、サステナブルな商品の開発にあたって、品質をダウングレードせず、価格設定を抑えることだ。たとえばサステナブルフードでは、動物の肉を使用したアニマルベースフードの同額以下でプラントベースフードを提供している。
イケアは、気候変動によってビジネスそのものが成立しなくなる可能性を危惧するべきだとし、ホームファニシングのリーディングカンパニーとして優先的にサステナブルな施策に取り組む姿勢を見せる。
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