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有力小売各社、SDGsの取り組み強める食品ロスを削減するサービスも登場

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年7月24日 1時0分

「 サミットストア横浜岡野店」サービスカウンターに設置された「もぐもぐチャレンジ」コーナー

小売業のSDGs

2015年9月の国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。以来、その動きは世界的に広がっており、企業にとってはビジネスの一環として取り組むことがもはや常識となってきた。小売業界でも同様で、有力各社が独自の施策を工夫する一方、ユニークなサービスを行う企業も登場している。

すでに9割超の人がSDGsを認知

 電通は今年2月、第6回「SDGs に関する生活者調査」を実施した。対象は全国10〜70代の男女計1400人。SDGsの「認知率」について過去の調査結果と比較したほか、企業活動によるSDGsの取り組みのとらえられ方などを分析した。

 その結果、SDGsの認知率は9割超(91.6%)。「内容まで含めて知っている」と回答した人は40.4%と、第1回調査(2018年2月実施)から11倍以上に増加【図表】。9割弱(87. 3 %)が、SDGsに対しポジティブな印象を持っていることがわかった。

【図表】SDGsの認知率

 サステナビリティに関連する15のテーマで、認知度の高いものは「食品ロス」92. 6%、「ジェンダー平等」(90. 2 %)、「再生可能エネルギー」(90.1%)だった。

 さらに約8割(79.3%)の人が、SDGsに対して企業が積極的に取り組むと、よい印象が強くなる、好感度が上がるなどの影響があると答えた。

 企業にとり、ビジネスの一環としてSDGs に取り組むことが、もはや常識になってきているといえるだろう。

 そのなか、有力各社も独自の施策を実施している。

 イオンは今年6月、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」をすべて、「環境配慮3R商品」に切り替えると発表した。

 「環境配慮3R商品」とは、Reduce(リデュース=削減化)、Reuse(リユース=再使用化)、Recycle(リサイクル=再資源化)のいずれか、または複数に対応して開発した商品を意味する。

 お客は、「環境配慮3Rマーク」がついたPBを買うことで、3R活動に参加できるほか、社会的課題の解決を考慮した消費活動を行うことができる、としている。

 また、セブン&アイ・ホールディングスは今年6月、環境月間に合わせて、環境配慮商品をグループ各店の売場や店頭ポスター等で積極的に訴求する方針を打ち出した。あらためて商品をアピールすることで、食品ロス低減はじめ、SDGs に積極的に取り組む方針を知ってもらうのがねらいのようだ。

顧客・地域・小売業の「三方よし」のプログラム

 今紹介したように、小売各社が独自の施策を工夫するなか、ユニークな取り組みやサービスを行う企業も登場している。高知県に本社を置き、WebマーケティングやEC制作・運用などの事業を手掛けているアッシェだ。

 同社は、05年9月に創業した比較的若い企業だが、19年2月から新たにスタートした食品ロス削減事業が大きな注目を集めている。SDGsの浸透を背景に、社会貢献できる分野として積極的に拡大している。

 農林水産省・環境省が公表している推計値(令和3年度分)によれば、日本で発生する食品ロスは、年間およそ523万トンに上るという。これに対し、同社では、食品ロス問題に大人から子供まで、みんなが楽しみながら考え、向き合うことができるコンテンツや情報を発信している。

 展開する施策は、食育活動や関連グッズの販売など複数あるが、ここ数年メーンのサービスとして注力するのが「もぐもぐチャレンジ」だ。

 売場に並ぶ、賞味・消費期限が迫った商品に貼られた「もぐもぐシール」を集めると、寄付や抽選に参加できるプログラムである。寄付については、地域の子ども食堂や慈善団体などに対して行うことができる。本来なら捨てられてしまう食品を、楽しみながら減らしていけるのが大きな特徴となっている。

 現在、全国にある食品スーパー(SM)企業に同サービスを告知しながら、プログラムの導入を促している。評判が評判を呼び、問い合わせも順調に増えているという。

 新たなサービスとして取り入れる場合、SM企業にとってもメリットは多い。

 最も大きいのは食品ロスを低減できる点で、利益率を改善できるのは利点である。さらに総菜のほか青果、鮮魚、精肉といった生鮮3品、日配、加工食品など、各社でカテゴリー設定できる自由度の高さも魅力となっている。

株式会社アッシェマーケティング&カスタマーサクセス本部本部長穐津 健太氏
株式会社アッシェマーケティング&カスタマーサクセス本部本部長
穐津 健太氏

 アッシェのマーケティング& カスタマーサクセス本部の穐津健太本部長は、「お客さま、地域、SM企業が幸せになる、『三方よし』のプログラムが『もぐもぐチャレンジ』だと考えている」と胸を張る。

若い年齢層からの注目度が高いことが明らかに

 「もぐもぐチャレンジ」を導入する店舗数は順調に増えている。サービスを開始した19年は17店舗だったが、20年は47店舗、21年118店舗、22年291店舗と毎年、前年実績の2倍以上のペースで伸長。23年に入っても増加傾向にある。

 アッシェが本社を置く高知県ではサニーマート、大阪府では大近といった地域で強い支持を得るSMチェーンが採用。また広島県を拠点に中国、四国、九州などで事業展開するリージョナルチェーンのイズミのように全店に導入している企業も見られる。

 東京都を中心に事業展開するサミットも、ほぼ全店で「もぐもぐチャレンジ」を取り入れている。

 そのひとつ「サミットストア横浜岡野店」(神奈川県)では、お客の応対をするサービスカウンター横にコーナーを特設、プログラムをアピールする。

「もぐもぐチャレンジ」

 成果も着実に出ている。サミットの場合、貼り付けたシールの枚数に対し、平均10%以上を回収できており、回収率が高い店舗では約20%に上るケースも出てきているという。

 今年2月、アッシェでは「もぐもぐチャレンジ」の浸透度調査を実施。それによると、プログラムの参加者は30代がメーンで約42%、男性が多い傾向にあるという。一緒に買物に行く家族は「配偶者・パートナー」が53%、「未就学児のお子さま」も30%と多いこともわかった。

 プログラムは比較的、若い年齢層からの注目度が高いことが浮き彫りになった。

 アッシェでは、SM企業以外にも地域の各種団体と連携し、食育をテーマにした取り組みを行うなど活動の幅を広げている。穐津本部長は「今後、さらに取り組みを拡大して、食品ロスの削減に努力したい」と意気込みを語る。

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