ゴディバ ジャパン親会社による「ピエール マルコリーニ」買収のねらいと「相乗効果」とは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年8月15日 20時54分
2023年4月、チョコレート業界を驚かせる企業買収が発表された。プレミアムチョコレートの先駆けとして日本市場で高い知名度を誇るゴディバ ジャパンの親会社VM2Holdings(東京都・以下VM2)が、同じく世界的なプレミアムチョコレートブランドの「ピエール マルコリーニ」の全株式を買収したのだ。買収の背景や相乗効果について、ゴディバ ジャパンとVM2の代表を務めるジェローム・シュシャン社長に話をうかがった。
ブランドの独自性は大切に
日本で50年以上の歴史をもつゴディバ ジャパンと、世界的に有名なショコラティエであるピエール マルコリーニが同じ企業の傘下となった買収には、どのような背景があったのか。
「VM2は、傘下のゴディバ ジャパンが、日本、オーストラリア、韓国に展開しており、プレミアムチョコレートのノウハウをもっている。もう一つ基幹となるブランドをもちたいと思い、優れたものづくりをしていて、お互いを尊重していけるパートナーを探していた。それが正にピエール マルコリーニだった」(シュシャン社長)
「ピエール マルコリーニ」は、カカオ豆からチョコレートをつくるまでの工程を一貫しておこなうBean to Bar(ビーントゥバー)のパイオニアとして知られ、日本にも多くのファンがいる。「創業者でありショコラティエでもあるピエール・マルコリーニ氏は、VM2が、ゴディバ ジャパンを通じプレミアムチョコレートのノウハウや歴史をもっている点を評価してくれたようだ。大手メーカーや投資ファンドにはプレミアムチョコレートの良さを保ちながらビジネスを行うノウハウがなかなか理解できない」と、マルコリーニ側のメリットについて、シュシャン社長はこう話す。
買収から数ヶ月経った現在、買収による変化は出てきているのだろうか。「ゴディバ ジャパンのチームと、ベルギーのマルコリーニのチームが仲間になっていくステップを実感しているところだ。マルコリーニのメンバーは、プライドとパッションをもっていて、同じ言葉や感覚を共有できていると感じている」
それぞれのブランドDNAは継続
2つのブランドが同じグループになったことによって、流通やバックオフィスでの相乗効果も予測しているという。
「ゴディバの顧客管理やアプローチのノウハウは、今後マルコリーニが同様の施策を行っていく際の参考になる。マルコリーニの世界観をゴディバのマーケティング戦略を活用して、さらに浸透させていく」
人材面では、「私たちには、東京からグローバルカンパニーを作りたいというビジョンがある。マルコリーニの買収によって海外からもスタッフが集まっているので、さらなるダイバーシティ化を進めていきたい」
多くの相乗効果がある一方、それぞれのブランドの独自性は大事にしていく。「ゴディバは正統派のベルギーチョコレートであり上品でキュートなイメージ、マルコリーニはベルギーとフランスの間のようなチョコレートで、シンプルで高級なイメージだ。こうしたDNAは大事にしていきたい」
パティシエ、グラシエとしてのマルコリーニも伝えていく
ゴディバのマーケティング戦略の一つは、常に新しい変革をしていくこと。新商品を頻繁に出し、チョコレートに加え、季節ごとに焼き菓子やドリンク、アイスクリームなども販売する。4月にはクッキーもリニューアルした。ゴディバ カフェではクリームチーズの「キリ」とコラボレーションしたドリンクや、津南の雪下にんじんを使用したショコリキサーなども展開している。
また今年は、いくつかの新業態をスタートさせる。2023年7月にはゴディバ デザートの旗艦店となる「GODIVA dessert Harajuku(ゴディバ デザート 原宿店)」をオープンし、クレープを提供。8月4日にはベーカリーショップ「GODIVA Bakery ゴディパン 本店」を有楽町にオープンした。
一方、マルコリーニには、ショコラティエだけではない面があり、そこがおもしろいとシュシャン社長は語る。
「ピエール・マルコリーニは、パティシエ、グラシエ(アイス職人)の顔ももっている。海外ではアイスクリームショップも非常に人気がある。また、サステナビリティへの強いこだわりもある。カカオ豆からチョコレートを作り、カカオ農園を非常に大事にしている。日本ではショコラティエとして知られているマルコリーニの別の魅力も伝えていきたいし、チョコレート以外の店舗展開も考えていきたい」
ゴディバのノウハウで世界的ブランドを育てる
「アフターコロナに入ったが、ワークスタイルやライフスタイル、買い物などの傾向は安定せず、市場はまだコロナ以前の水準には戻っていない。この状況をどう読んでいくかが課題のひとつだ。もうひとつの課題は、店舗で働く優秀な人材を集めること。コロナ禍を経て、リモートワークを好む人が増えている。ゴディバやマルコリーニで働くことの魅力や、店舗での接客のすばらしさ、社会に必要不可欠な大事な仕事であることをアピールしていきたい」
今後、VM2がピエール マルコリーニのようなブランドを買収する可能性はあるのだろうか。
「一緒に会社を大きく育てていけるブランドや企業がないかという視点は常にある。私たちのノウハウによって、ファイナンスや組織などの課題で次のステージに進めないでいるブランドを、世界的なブランドに育てていくことができると考えている」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
GODIVA dessert 東京ドームシティ ラクーア店にて、店舗限定フレーバーを発売!!「ラクーア限定 オレンジとチョコレートのクレープ」
PR TIMES / 2024年11月6日 12時0分
-
GODIVA cafeから、土佐ベルガモットや洋梨、苺を使用した期間限定のスイーツを発売!冬のシーズナルメニュー&アフタヌーンティーセット新メニュー
PR TIMES / 2024年11月5日 16時45分
-
年末年始限定の特別なコレクション! ゴディバ「プレミアムコレクション グランプラス」
PR TIMES / 2024年10月29日 15時15分
-
<もち吉とゴディバのコラボ第2弾> 淡雪のようにとろけるあられに、ベルギー産チョコレートが新しい組み合わせ!「ふんわりちょこあられ アソートメント」11月2日(土)より数量限定発売
PR TIMES / 2024年10月28日 16時45分
-
福岡県直方市の米菓・和菓子店「もち吉」とのコラボレーション ゴディバ「ふんわりちょこあられ アソートメント」~2024年11月2日(土)より数量限定販売~
PR TIMES / 2024年10月28日 16時45分
ランキング
-
1「バナナカレー」だと…? LCCピーチ、5年ぶりに「温かい機内食」提供…メニューは? 「ピーチ機内食の代名詞」も復活
乗りものニュース / 2024年11月24日 12時32分
-
2冬の味覚ハタハタ、海水温上昇で今季の漁獲量は過去最低か…産卵場所に卵ほとんど見つからず
読売新聞 / 2024年11月24日 11時52分
-
3異例の「ケーブル盗難でリフト運休」 スキーシーズン前に 捜査は継続中
乗りものニュース / 2024年11月24日 14時12分
-
4年収壁見直し、企業の9割賛成 撤廃や社保改革要請も
共同通信 / 2024年11月24日 16時22分
-
5「中間管理職を減らしたい」企業の盲点 リストラで起こる、3つのリスクに備えよ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月24日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください