横浜を知り尽くしたローカルチェーン! 「食品館あおば」の強さの正体
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年8月21日 20時55分
神奈川・横浜を中心に「食品館あおば」の屋号で食品スーパー35店舗を展開するビック・ライズ。強豪ひしめく同エリアでなぜ同社はお客から指示されるのか。前編では、同社最新店「食品館あおば常盤台店」(神奈川県横浜市:以下、常盤台店)の生鮮3部門の売場を解説した。後編では、総菜、日配、加工食品の売場を見ていこう。
※本文中の価格はすべて本体価格
総菜は売れ筋中心のラインナップ
総菜は入口側から見て店舗右サイドで売場を展開する。就職情報サイトによれば、ビッグ・ライズは2018年夏に総菜部門を立ち上げているという。
常盤台店の総菜売場は平台2台がメインで、一部外注商品を導入しているものの、基本は自店製造商品がベースとなっている。平台はそれぞれ米飯とフライ類にわかれており、米飯「鯖と紅鮭の塩焼弁当」「ヤンニョムチキン弁当」(各498円)、「デミハンバーグもち豚入りメンチ弁当」「若鶏もも照り焼きメンチカツ弁当」(各480円)、「チキン南蛮弁当」「大きな醤油唐揚げ弁当」(各450円)、「イベリコ豚重」(各498円)、「牛めし重」(598円)、「あおばの海苔弁当」(398円)、「ロースかつ重」(350円)、「ソース焼きそば」(250円)など価格帯に幅を持たせ、馴染みのある定番商品を過不足なく揃えている印象だ。調査日は、ミニサイズの弁当を280円均一で提供しており、「ロースカツ重」「天津重」「ハムカツ海苔弁当」などをラインナップしていた。
フライ類では、「棒ヒレカツ」(1本498円、2本999円)、「ヒレカツ2個」「春巻4本」(各258円)、「ふっくら肉団子6個」(298円)、「メンチカツ2個」「ニョムチキン」(250円)、「葉山コロッケ」(1個100円、5個480円)、「焼鳥12本」(780円)、「大玉たこ焼8個」(298円)などを販売する。和総菜や麺類は外注商品がベースとなっているが、「手作りポテトサラダ」(100g128円)は自社製造で対応していた。
日配は店舗奥側壁面で売場を展開する。和日配は約70尺のスペースで、商品構成はオーソドックスなスタイルとなっている。「納豆」は8尺31品目の扱いで、下段で「タカノフーズ・おかめ納豆極小粒ミニ50g×3」(79円)、「CGC・断然お得納豆40g×3」(64円)で提供する。「豆腐・揚げ」は12尺で「むつみ・高尾にがり350g」(48円)をメインに、「アサヒコ・大山阿夫利350g」(100円)などを扱っていた。全体的に日配は定番中心の堅実な商品構成で、日常に必要な商品を不足なく揃えている。生鮮3品から総菜へのつなぎ役としての役割を果たしており、“第5の生鮮部門”とも言える売場となっている。
冷凍食品・アイスクリームは平場で売場を展開しており、売れ筋商品をしっかりと価格訴求しているのが目を引いた。主要な商品を見ていくと、「味の素冷凍食品・ギョーザ12個」(206円)、「ニチレイ・本格炒め炒飯450g」(295円)、「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」(各種219円)となっておいる。インストアベーカリーはなく、パンは「ヤマザキ」「Pasco」「神戸屋」をなどをチラシ販促を絡めて提供していた。
ビック・ライズはCGCグループに加盟しているため、とくに加工食品売場では各所にCGC商品が差し込まれているが、目立ったプロモーションなどは実施していないようだ。売場スペース構成比を見ても、加工食品は24%、酒類は5%、菓子は4%、合計で33%と低く、チラシ掲出商品も少なく、定番重視の構成となっている。コーヒーは地元の「三木珈琲」、醤油は「フンドーキン」「福山醸造」、たれは「ソラチ」「サンダイナー」など一部こだわり商品もあるものの扱いは限定的で、堅実な構成となっている。
地域特性を理解した独自のスタイル
筆者は長年業界をウォッチしているが、ここ数年で食品スーパーの売場スタイルが大きく変化していると感じている。とくに首都圏において大きな影響を与えているのがロピアの存在だ。「量感」と「質感」に「価格訴求」を絡ませ、「大容量」「オリジナル商品」を打ち出したロピアの商品政策が消費者の支持を集めており、それを模倣するチェーンもあらわれている。
それに対して常盤台店では、たとえば青果売場を見ると、売れるぶんしか商品を並べず、ロピアのようにキャベツやレタスを山積みにすることもせず、商品1品1品の「質感」が重視された売場としている。精肉は大容量商品を豊富に揃えることで「量感」を打ち出しているものの、単品にフォーカスすると陳列量は少ない。専門店運営の鮮魚も多彩なラインナップであるものの、「量感」はそれほどない。総菜も「弁当」「フライ」を大量に並べるのではなく、売れるぶんだけ陳列し、常時補充を行うことで対応している。
どの売場も「量感」ではなく、「質感」が重視されているのがわかる。 従来の画一的な売場ではなく、それでいて近年影響力を増すロピアとも一線を画した独自のスタイルが構築されているように筆者の目には映った。「横浜」という地域特性を深く理解したビック・ライズがたどり着いたスタイルと言っていい。
横浜市の人口は約377万人で、東京23区を除けば全国NO.1の人口を誇る。魅力的なマーケットとあって、最近はヤオコー(埼玉県)やベルク(同)といった業界の優良チェーンも横浜市内へ進出している。現在、市内に17店舗を展開するビック・ライズは、強豪相手にどう戦うのか。地の利を生かした同社の戦い方に注目だ。
(店舗概要)
所在地 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台22-7
開店日 2022年7月28日
売場面積 約400坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車場 約190台
駐輪場 約120台
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