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カレー市場、ロングセラーブランドが市場を支え堅調に推移

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年8月10日 1時0分

i-stock/kazoka30

日本の食卓の定番メニューであるカレーは少子高齢化や世帯人数の減少からレトルトカレーのシェアが拡大していたが、コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことや直近の物価上昇のあおりもあり、ルウを使った手づくりカレーの価値が見直されている。

22年11月以降、前年対比数%のプラスに

 KSP-POSによると、2022年6月から23年5月のルウカレーカテゴリーの期間通算の金額PIは対前年同期比2.9%増の4568円、数量PIは同3.6%減の22.30となった。

 月別の推移をみると22年6月から10月は7月を除いて微減で推移していたが、11月以降は原材料費高騰による値上げの影響もあったからか、前年に対し5%程度のプラスで推移しており、年間の数値の底上げにつながった【図表1】。

 ルウカレーは食卓の定番メニューであり、年間を通じて安定した売上を保つカテゴリーだが、例年気温が高くなり、スパイシーな料理が食べたくなる夏場にかけて数値が上がりやすい傾向にある。しかし今回調査した期間については、年明け以降の数値が高くなっている。

カレー
コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことや直近の物価上昇のあおりもあり、ルウを使った手づくりカレーの価値が見直されている。(i-stock/kazoka30)

 ルウカレーはだれもが知るロングセラーブランドが多く存在する。エスビー食品では創業100周年を記念し「赤缶カレーパウダールウ」を新発売。「赤缶カレー粉」の香りを最大限に生かした香り立ちと、軽やかながらも奥深くスパイシーな刺激が楽しめる味わいに仕上げている。

 一方、今年発売60周年を迎えたハウス食品の「バーモントカレー」は春に商品をリニューアル。風味のバランスを調整し、食塩相当量を1皿当たり0.1g減らす改良を行った。また本体のリニューアルに合わせ、「特定原料7品目不使用」シリーズや、カロリーオフの「プライムバーモントカレー」、「味付きカレーパウダー バーモントカレー味」のパッケージもリニューアルし、家庭の定番カレーブランドとしてあらためて訴求していく。

【図表1】ルウカレーカテゴリーの金額PI月別推移

有名店の味わいをレトルトカレーで手軽に

 一方、レトルトカレーカテゴリーの22年6月から23年5月の期間通算の金額PIは前年同期比0.6%増の4312円、数量PIは同0.9%減の22.62となった。

 世帯人数の減少やコロナ禍でのランチ需要等を背景に、伸長が続いていた同カテゴリーだが月別の推移を見ても前年割れの月は5カ月、前年超えの月が7カ月と、それまでの勢いが鈍化したことが見て取れる【図表2】。

【図表2】レトルトカレーカテゴリーの金額PI月別推移

 辛味に特化した商品やご当地カレー、有名店監修の本格派などバラエティー感のある品揃えはレトルトカレーの魅力のひとつだろう。

 エスビー食品では名店の味わいが手軽に楽しめると好評の「噂の名店」シリーズが発売10周年を迎えた。今春は既存の9アイテムをリフレッシュ。さらに新商品の〈香味スパイスカレーお店の中辛〉と、〈骨付きチキンカレー鮮烈な辛口〉を発売した。またブランドサイトをリニューアルし、カレー好きに向けたスペシャルコンテンツや監修店のインタビューなどを掲載している。

 さらに夏季限定商品として35種類のスパイスとハーブ、7種類の厳選した唐辛子の辛さが楽しめる「ゴールデンカレーレトルト バリ辛」を発売。同品は今年で9年目を迎え、辛党のカレーファンから高い支持を得ている。

 ハウス食品では以前から要望の高かった「バーモントカレー」ブランドのレトルトタイプを発売。カレールウとともに60周年のプロモーションを展開していく。

 また、だしの旨みとスパイスの香りが特徴の本格的なカレーうどんを、電子レンジで手軽に調理できる、カレー人気店「SPICYCURRY魯珈」監修のカレーうどん専用ルウ「香るごちそう」シリーズを新発売〈。スパイシーカレーうどんの素〉と〈クリーミーカレーうどんの素〉の2品を展開する。

 カレーは日本人の食生活に欠かせないメニューであり、ルウカレー、レトルトカレー、それぞれに特性がある。近年は簡便性の高いレトルトカレーを利用する生活者が増えていたが、コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことで手づくりする人も増え、ルウカレーとともにカレー用の煮込み調味料なども好調に推移している。

 ルウカレーは材料となる野菜や肉類など生鮮品との相性もよく、買上点数の向上につながる商材として食品スーパーには欠かせないカテゴリーだ。店頭でもレシピの紹介や生鮮売場での関連販売など、来店客の気付きとなるプロモーションを仕掛け、カレーカテゴリー全体の活性化につなげていきたいところだ。

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