酒類、値上げから量販店での購買意欲減退が顕著 日本酒類販売の23年3月期決算
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年8月14日 20時57分
日本酒類販売(東京都/倉本隆社長)の2023年3月期決算が明らかになった。連結売上高5510億7900万円(対前期比7.4%増)、経常利益37億9300万円(同67.0%増)、経常利益率0.69%(同0.25pt増)、(親会社株主に帰属する)当期純利益24億8100万円(同79.3%増)となった。
単体では、売上高5235億6400万円(同7.0%増)、経常利益34億2900万円(同48.0%増)、経常利益0.66%(同0.19pt増)、当期純利益24億7400万円(同59.9%増)と連結単体ともに増収増益で着地した。
以下では、同社倉本社長の発言を抄録する(文責・千田直哉)
3年後売上6000億円めざす
23年5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」となり、業務用市場において、都市部では回復が顕著となってきたが、地方ではなお慎重な動きが散見される。生活様式の変化による消費行動の変化や物価上昇による節約志向の高まりなど、酒類業界の環境は引き続き厳しい。
このような状況の中、22年から酒類食品メーカー各社による前例のない規模の価格改定が実施された。
当社は22年6月に改正施行された「酒類の公正な取引に関する基準」の順守徹底を図りつつ全社を挙げて、取引先との粘り強い交渉などで卸売業として、適正な納入価格への移行に取り組んだ。
24年3月期は、「お酒と食でつながりを『価値』に変える会社」を経営ビジョンとする第1次中期3か年計画の初年度となる。卸売機能の拡充、物流最適化を含むローコストオペレーションのさらなる強化推進に努め、3年後のグループ全体の売上目標6000億円の達成を目指す。
単体の商品別売上は下記の通りだ。
【商品別売上(単体)】
①和酒
清酒 | 235億3200万円 | 対前期比1.9%増 |
焼酎甲類 | 147億6600万円 | 同4.6%減 |
焼酎乙類 | 789億7600万円 | 同1.4%増 |
その他 | 23億5100万円 | 同0.5%増 |
和酒計 | 1196億2700万円 | 同0.7%増 |
②洋酒
国産洋酒 | 1036億3300万円 | 同4.8%増 |
輸入洋酒 | 493億9800万円 | 同15.3%増 |
洋酒計(ビール系除く) | 1530億3100万円 | 同8.0%増 |
③ビール系
麦酒 | 891億6400万円 | 同20.0%増 |
発泡酒 | 189億1900万円 | 同3.4%増 |
新ジャンル | 479億9000万円 | 同4.2%減 |
ビール系計 | 1560億7500万円 | 同9.4%増 |
カテゴリー売上では和酒については量販店での価格上昇による購買意欲の低下、さらに組織量販店での取引減少の影響もあったが、飲食店や各種イベントの再開を受け、業務用市場の大幅な回復傾向となり、前年実績を確保できた。
洋酒については、業務用業態の復調にともない、高額輸入商品の売上増加やスパークリングワインの需要が拡大し、前年を上回ることができた。国産洋酒はウイスキーの伸びもあり同4.8%増となった。
ビール類については、業務用の生樽、瓶の回復に加え、各メーカーによる家庭用新商品の活発な展開もあり同9.4%増となった。
なお、RTD(Ready to drink)についてはレモンサワーの伸長が踊り場を迎え前年100%で着地している。
次にチャネル別の売上について一覧でまとめた。
チャネル別ではスーパーの不振がくっきり
【チャネル別売上(単体)】
酒販店(うち一般店) | 53億5200万円 | 対前期比14.5%増 |
酒販店(うち業務用) | 784億6000万円 | 同47.3%増 |
二次卸 | 852億6800万円 | 同4.2%増 |
組織小売業 | ||
コンビニエンスストア | 587億7200万円 | 同3.5%増 |
スーパー | 1242億8700万円 | 同6.0%減 |
ディスカウントストア | 561億300万円 | 同0.1%減 |
ホームセンター | 164億9900万円 | 同2.1%増 |
ドラッグストア | 441億7500万円 | 同3.9%増 |
その他 | 39億5400万円 | 同7.3%減 |
ネット通販 | 371億4100万円 | 同15.5%増 |
外食 | 83億4200万円 | 同74.3%増 |
その他 | 52億500万円 | 同42.9%増 |
合計 | 5235億6400万円 | 同7.0%増 |
業態別売上高の家庭用では、原油高や原材料の高騰による物価上昇を受けた節約志向の高まりなどで厳しい状況が続き、若干の減少となった。しかし、ドラッグストアは海外からの入国規制緩和によるインバウンド需要の回復で同3.9%増。ネット通販はECを活用するようになった層の定着などが後押しして同15.5%増と伸長している。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月15日 1時55分
-
ジョイフル本田とハンズマンの24年6月期決算分析 ともに増収営業減益、中期経営計画を見直し
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月14日 2時0分
-
減益SM相次ぐなか中間決算絶好調のヤオコー、増収増益記録更新に向け視界良好!
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月11日 20時59分
-
2年ぶりの減益 鳥取銀行が2025年3月期(2024年4~9月期)の中間連結決算を発表
日本海テレビ / 2024年11月11日 19時52分
-
週刊スーパーマーケットニュース コープみらい、「コープ坂戸薬師町店」をオープン!
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月10日 21時55分
ランキング
-
1「バナナカレー」だと…? LCCピーチ、5年ぶりに「温かい機内食」提供…メニューは? 「ピーチ機内食の代名詞」も復活
乗りものニュース / 2024年11月24日 12時32分
-
2冬の味覚ハタハタ、海水温上昇で今季の漁獲量は過去最低か…産卵場所に卵ほとんど見つからず
読売新聞 / 2024年11月24日 11時52分
-
3異例の「ケーブル盗難でリフト運休」 スキーシーズン前に 捜査は継続中
乗りものニュース / 2024年11月24日 14時12分
-
4年収壁見直し、企業の9割賛成 撤廃や社保改革要請も
共同通信 / 2024年11月24日 16時22分
-
5「中間管理職を減らしたい」企業の盲点 リストラで起こる、3つのリスクに備えよ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月24日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください