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いまやスイーツに焼き肉も!? 飲み会回復とともに注目したい〆グルメ

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年9月28日 20時59分

〆グルメ

 お酒を飲んだ後の〆グルメ、みなさんは何をいちばんに想像するだろうか。ラーメン、お茶漬け、うどん、そばなど…やはり「炭水化物×汁物」を想像する人は多そうだ。しかしこの常識に昨今変化が見られる。
 1軒目の宴席で食事を済ませ、満足しているはずなのに、なぜか食べたくなる〆。「食べ過ぎで身体に悪いかな・・・」「太るかな…」など背徳感を感じながら食べる〆グルメはやめられないものだ。このなんともいえず人を惹きつける「〆グルメ」について今回は解説する。

〆グルメ
〆グルメの代表、ラーメン

飲酒シーンの多様化で
〆グルメにも変化が

 ご承知の人も多いと思うが、昨今、この飲んだ後の〆グルメが多様化している。背景の1つには、飲酒行動の変化があるだろう。以前は、2次会といえば、バーやダイニング、居酒屋などお酒を飲むことを前提とした場所が主流であったが、お酒を飲まない若者、またお酒を飲まない日を選択する人も増え、飲酒シーンのダイバーシティが進んでいるのだ。

 そもそも、〆の炭水化物×汁物といっても多種多様にある。ご当地ならではの〆グルメがあることも面白い。ラーメン1つをとっても、福岡は豚骨、北海道は味噌など、そのほかにもご当地ラーメンは数知れず。

 また香川県は、コシの強いうどんをあっさりとした出汁で、宮崎県では、柔らかいうどんを甘辛いたれにつけて食す。沖縄では沖縄そばではだけでなく、〆ステーキなる食文化も存在する。

 この〆グルメのマーケットについて、ホットペッパーグルメ外食総研では、消費者の意識とニーズについて調査を行った。

 まず、そもそも「〆グルメを食べたいか?」という問いに対しては、「思う」が37.1%、「思わない」が40%、「どちらでもない」が22.8%と、〆グルメのニーズは2分化された。そして「背徳的」だと思われながらも、全体の4割近くもニーズがあることが分かった。

〆グルメに人は何を
求めているのか

目的
〆グルメを食べる際は、お酒を飲んで開放的な気持ちになっているようだ

 次に、〆グルメを食べたいと思うカスタマーに対して「〆グルメの目的」を問うたところ、「その時の自分の欲求をみたせること」33.5%、「食べない方がいいのはわかっているが我慢できない」17.5%で、この結果から推測するに、やはりお酒を飲んで、開放的な気持ちになっているケースが多いのではないかと考える。

 一方、「食べても翌日の胃腸にやさしいこと」「胃を落ちつかせる」など身体を気遣う回答も少なくなかった。食欲や、胃袋のコンディションの状況によって、〆グルメを選んでるいると言える。

 また、「〆グルメの位置づけ」についても質問すると、「親しいメンバーだけで過ごす場」27.2%。「話したりなかったことを話す場」が18.6%。なかには、「一人でゆっくりできる場」と答えた人も15.6%おり、1次会とはシーンを 変え、自身の嗜好に合わせてお店やグルメを選択する裏付けとなる結果となった。1次会の宴会とはシーンを変え、リセットする場としても〆グルメは活用されているのかもしれない。

パフェにケーキ…
〆スイーツがもはや定番に!?

上位10位のうち半分が、スイーツなどカフェメニューだった
上位10位のうち半分が、スイーツなどカフェメニューだった

 では、実際にどんな〆グルメにニーズがあるのだろうか。

 飲んだ後に食べて帰りたい〆グルメについて、34種類のメニューをピックアップして調査したところ、1位はラーメンで、これは予想どおりの結果となった。ラーメンは2位のお茶漬けに倍ほどのポイントを付け、大差での王者となった。

 興味深かったのは、上位10位のうち半分が、スイーツなどカフェメニューだったということだ。3位には、2位のお茶漬けと誤差のアイス、その他にもパフェやケーキがランクインした。

 〆グルメといっても、従来の「炭水化物×汁もの」だけではなく、メニューとしては甘いスイーツ、業態としてもカフェを選択する消費者も増えているように見える。札幌で人気に火が付き、今や全国で主流になっている「〆パフェ」を中心に、夜だけ営業しているアイス店など、全国で「飲んだ後の〆スイーツ」が食べられるお店が増えていることは多くの人に知られつつある。

 お酒を飲まない、もしくはあまり飲まない層が、2軒目以降、居酒屋やバーではなく、カフェやスイーツショップなどで甘いもので〆るシーンが増えているだけではなく、お酒が主流のバーなどでも、ノンアルコールの甘いスイーツをイメージしたカクテルや、スイーツそのものを取り扱うお店も増えており、それを楽しむカスタマーを目にする機会も増えたように思う。昨今の〆グルメは、お酒を飲む人、飲まない人、双方のニーズを満たすべく多様化しているのだ。

 そのほかにも、“〆の焼き肉“など、意外性のある選択に体験価値を求めるカスタマーもおり、エンタメ性も高まっているように感じる。

 コロナで自粛を余儀なくされた飲食も徐々に回復を見せ、今後、盛り上がりが期待されるナイトマーケット。ライフスタイルの変化、飲酒シーンの多様化などにより2次会のかたちや〆グルメも多様化はさらに加速しそうだ。この変化は、飲食業態だけでなく、食品小売業の食提案においても、新たな提案のヒントがあると考える。今後も、各地であっと驚く〆グルメの登場を楽しみにしている。

ロゴ  外食総研

【執筆者】

執筆者

有木真理(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』所長)

飲食チェーン店での勤務やフードコーディネータ、リクルートライフスタイル沖縄の代表取締役社長を経て、現職。東京と沖縄の2拠点生活を送りながら、現在は販促渉外部長も兼任。外食回数年間300回と、大の外食好きで、日本各地の外食事情に詳しく、立ち飲みから超高級店まで幅広いジャンルに精通。食を通じて「人」と「事」をつなぐ活動のオーガナイザーとしても活躍。沖縄スポーツ関連産業協会の理事も務めているため、食以外にも観光、スポーツにも関わっていることから外食だけでない視点での食トレンドを語ることができる。

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