ライフ、独自商品を充実させ差別化を図る 和菓子新ブランド「花よつば」が好評
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年9月22日 1時0分
ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)は、独自商品の品揃えを強化している。値上げ基調、競争激化のなか、購買頻度の高いアイテムは価格訴求する一方、産地や原材料、製法などを厳選したこだわり・高質商品、またプライベートブランド(PB)を増やして差別化を図る方針だ。
半径1km圏の支持を獲得
── 2023年度上期をいかに振り返りますか。
荒田●20〜21年度はコロナ禍に伴う内食需要の拡大で好調でした。それらが前年実績だった22年度は前期比の数値で低迷していましたが、昨年10〜11月に実施されたメーカー各社による価格改定で風向きが変わりました。単価がアップし、以降、近畿圏食品日配部の売上高は、最大で対前期比10%増、23年度上期に入ってもその傾向が続き、今も前期実績をクリアしています。
── 近畿圏食品日配部では、どのようなカテゴリーの商品を販売していますか。
荒田●当部は下位に、加工食品課と日配食品課を抱えています。前者は、調味料や飲料、乾物などの①加工食品、②菓子、③酒、④米など、後者は豆腐、納豆などの①日配、②パン、③玉子といった商品を扱っています。売上高全体に占める構成比は加工食品課が約25%、日配食品課が約20%で、合計で約45%を占めます。
── そもそも加工食品や日配とはどのような商材だと認識していますか。
荒田●競合店と価格が比較されやすい商品です。量販の対象となる、一般的なナショナルブランドの場合、価格競争に陥りやすく、利益も確保しにくいのが特徴です。ただ購買頻度の高い商品も多く含まれ、食品スーパー企業として、きちんと品揃えする必要がある部門でもあります。
── そうした状況に対し、23年度の秋冬商戦に向けては、どのような方針で臨みますか。
荒田●お客さまが日々、必要とされる商品については価格訴求する一方、独自の品揃えを充実させることで差別化を図る考えです。独自商品とは、産地や原材料、製法を厳選して地道に発掘してきたこだわり・高質商品です。
また、当社が展開する多様なPBも重要商材。「スマイルライフ」「スターセレクト」「ライフプレミアム」「ビオラル」といったブランドにより、幅広い需要、価格帯をカバーできます。
当社ではお客さまの幅広いニーズに応え、地域の食生活を支えたい。ひいては店舗を中心とする半径1kmに居住するお客さまの支持を、より多く獲得できればと考えています。
和菓子の新ブランドが好調
── こだわり・高質のうち最近、どのような商品に力を入れていますか。
荒田●重要なキーワードのひとつは「健康」です。高齢化が進行、また忙しい時代にあっては、健康的なアイテムへの需要が高まってきます。「減塩」や「カロリーオフ」などが特徴の商品の取り扱いを広げており、動きも上々です。
「環境」へ配慮したアイテムも意識しており、品揃えを増やしています。それらを切り口に、味、品質のよい品揃えでお客さまの満足度を上げていく考えです。
── そのような、こだわりや高質商品は、いかにして各店舗の売場に落とし込みますか。
荒田●当社では、各地にある店舗を商圏特性により9つに分類しています。「価格感度」や「健康」など、需要の大きさによってID-POS分析しており、地域のお客さまのニーズに合ったカテゴリー・商品を展開する作業を進めています。
具体的には、「健康」、「品質」、「高級志向」といった分類です。たとえば「高級志向」のお客さまが多い店舗には、通常アイテム数比率で2割ある高級志向商品を3割にするといった要領です。これにより各店の特徴を売場で表現します。
── 効果的なカテゴリーはありますか。
荒田●前年度下期に、まず「和風調味料」で高質商品を取り入れて実験しました。こだわりのポン酢やしょうゆ、酢などで、いずれも好調に推移したのを受け、今期は「はちみつ」「米菓」「ジャム」などの品群にも、高質商品を取り入れつつあります。
── PBについての取り組みを教えてください。最近、開発して好調な商品にはどのようなものがありますか。
荒田●今年3月から、「花よつば」という「和菓子」の新ブランドを立ち上げました。そのもとで栗まんじゅう、草餅、桜餅、わらび餅など、7月までに12 品を揃え、どれもよく動いています。
実は和菓子自体は近年、需要が減少しているダウントレンドのカテゴリーですが、取り組み次第では、支持を獲得できる商品がつくれます。今後も、同様の取り組みで独自商品を広げていきます。
下期注目している商品は
── 下期の注目商品はありますか。
荒田●加工食品では、日清オイリオグループが9月に発売する紙パックタイプの食用油。「日清キャノーラ油 450g紙パック」「同 ハーフユース 450g紙パック」「日清ヘルシーごま香油 450g紙パック」の3品があります。「SDGs」への関心の高まりもあり、容器に使用しているプラスチックの量を大幅に低減しているとのことで、「環境」への負荷を低減する商品として注目しています。
またサンヨー食品の「サッポロ一番 減塩」シリーズは、「健康」志向の商品としてユニークです。ラーメンは、「減塩」にするとおいしさが損なわれてしまうようなイメージがあります。しかし最近の「健康」志向のお客さまに受け入れられるかどうか、関心を持って見ています。
── 興味深いですね。
荒田●需要が拡大する「簡便」商材として注目しているのは、味の素の「CookDo®」シリーズの、「極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用」です。中華調味料や香辛料にこだわったという本格志向の商品。コロナ禍で、自ら調理することが習慣化した人も多く、家庭で本物の「味」を楽しめる商品には需要があるのではと考えています。
── 一方、販売促進策での工夫はありますか。
荒田●当社は、価格だけで勝負する「同質化」競争はしない方針です。しかし今後も続くとみられる値上げに対しては、当社を選んでもらうため、ある程度は対応する必要があります。
月4回打っているチラシは従来、1週目の目玉商品には加工食品、3週目には日配を打ち出し、集客するのが習わしでした。しかしコロナ禍で節約志向のお客さまが増えるほか、価格高騰もあり、部門を限定せずに低価格を強めた商品をアピールして、集客しようと考えています。その際、「スマイルライフ」や「スターセレクト」といった、価格面で魅力あるPBも強い武器になると思います。
── 最後にこれからの意気込みを教えてください。
荒田●差別化といっても、すべてを高質にシフトするわけではありません。「価格と価値」のバランスを見極めながら、お客さまに喜ばれる品揃えを行っていきます。
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