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「田町」駅徒歩圏内、都心立地の小型店!「オーケー札の辻店」の売場を解説

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年10月3日 20時58分

「高品質・EDLP」を柱とした強力な価格訴求力を武器に、首都圏では絶大の存在感を誇るオーケー(神奈川県)。同社は2023年5月10日、東京都港区に「オーケーストア札の辻店」(以下、札の辻店)をオープンした。JR山手線「田町」駅徒歩圏内という都心立地に出店した同店では、どのような売場づくりをしているのか。現地に足を運んだ。

「田町」駅至近にオープンした小型店

 600坪前後の広い売場を標準とし、集客力の高さと、まとめ買いによる客単価の高さが注目されることが多いオーケーだが、一方で売場面積200~300坪の小型店による出店も併せて進めており、今回視察した札ノ辻店は229.3坪(757.97㎡)と、小型店の位置づけとなる。

 札ノ辻店はJR「田町」駅、都営地下鉄「三田」駅から国道15号線を品川方面に4分ほど歩いた場所にある。店舗は区立図書館や産業振興センターなどが入居する港区の複合施設「札の辻スクエア」内に2階部分にあり、駐車場は有料で、駐輪場も初回利用に登録が必要など、通常の店舗とは異なる制約がある。

 周辺の競合店としては「サミットストア三田店」「ピーコックストア三田伊皿子店」ほか、都市型小型スーパーの「まいばすけっと」「マルエツプチ」が複数点在している。「田町」駅の反対側には2018年に再開発された一画にオフィス一体の複合施設「ムスブ田町」があり、スーパーマーケット「ライフムスブ田町店」が出店している。

 行政の複合施設内ということもあって、屋外看板による訴求はそれほど目立たず、1階フロア内でも「オーケー」の屋号は書かれた看板などは見当たらない。売場は2階部分への1フロアでの展開で、来店客の大半がエスカレーターで入店している。施設内にはエレベーターが4基あるものの、導線から外れており、アクセスしにくいためほとんど利用されていないようだ。

青果売場は効率重視?

 主要部門の売場を見ていこう。入口近くの青果は花卉、果物を売場のトップに配置している。冷蔵ケースではカットフルーツとシャインマスカット、対面反対側の多段棚のエンドではバナナ、突き出し陳列ではリンゴを大きく訴求していた。シャインマスカットは3SKU、リンゴは4SKUを取り扱っており、品揃えの奥深さがうまく演出されていた。

 最大の特徴は、商圏ニーズと周辺競合との対応からか、オーケーの既存店と比べても、ワンランク上のアイテムを充実させている点だ。たとえばシャインマスカットでは980円、1280円、1980円のラインを用意し、1980円(※)の商品は、一般的なスーパーマーケットでは化粧箱で販売するようなグレードのものを提供していた。

香川県産のシャインマスカットを1980円で販売

 リンゴでは、岩手県産「紅ロマン」などあまり見慣れない品種の展開が多かったが、「はしり(季節を先取りした商品であること)」と記載したPOPを添えて季節感を訴求し、トライアル購買を促していた。また、調理用のリンゴの取り扱いもあるなど、用途提案に結び付けるような販売促進を行っている点も目を引いた。バナナも調理用の取り扱いがあり、品揃えのアクセントとなっていた。

 野菜は相場が高騰していることもあって無理な価格訴求は行っておらず、2ケタ売価のアイテムはほとんど見られなかった。トマトの定番はレギュラー店舗と同様、「カゴメ」の「高リコピントマト」のような、いわゆるプレパック商品をうまく活用し、作業負担を軽減していた。

「カゴメ」の「高リコピントマト」のような、いわゆる「プレパック」商品を導入し、作業負担を軽減している

 葉物も効率性を重視してか、少量サイズを取り扱っていない。京野菜や有機野菜の取り扱いはあるものの、あまりスペースは割かず、品揃え程度の位置づけとなっている。キャベツや大根などの1/2サイズは1玉、あるいは1本価格の半額設定となっており、少量購入による割高感は発生していない。

「高品質」の打ち出しに注目

 続く鮮魚売場は、壁面が冷蔵、対面が冷凍と、管理温度帯が明確に分けられたレイアウトになっている。売場トップは壁面側が刺身、対面側が鰻となっている。刺身は20SKUで、そのうちマグロだけが5SKUを揃えており、他のスーパーマーケットと比較しても豊富な部類に入るだる。

 鮮魚商品の価格は500円台から2000円前後まで幅を持たせており、リーズナブルというだけでなく、質を追う姿勢を意識しているのがわかる。欠品しているアイテムも一部あり、商品はよく動いているようだ。また、刺身においては、限定店舗での取り組みとなっている「急速冷凍」のシールやPOPでの表示がなされていた。

 オーケーでは「Everyday Low Price」に加えて「高品質」を経営方針に掲げているが、「質」については仕入れだけでなく、流通や加工段階での設備投資によってなされているものが多い。作業や品質維持を属人的なものにせず、誰もが効率的にできる仕組みにするため、オーケーは積極的に投資している。総菜のピザの焼き加減をAIによって判断するシステムをはじめ、作業効率を図るDX(デジタル・トランスフォーメーション)導入などがその一例だ。

 鮮魚でも高品質がうまく訴求されており、たとえば要冷凍の売場においては、定番の塩干やエビ、イカをはじめ、カニなどを使った「魚肉バーグ」「ブリカツ」「釜めしご飯の素」など簡便商品を豊富に揃えており、「ブリカツ」に使用している「鰤王」は、要冷蔵の売場で切り身としても販売している。要冷蔵と要冷凍のアイテムに取り扱いのダブりがなく、お客が迷わずに購入できるようにしている点も目を引いた。

簡便商品の「シーフードバーグ」
ブリは「鰤王」ブランドとして、切り身だけでなく、加工品としても提供している

 一点だけ気になったのが、要冷蔵の上段で展開していたアラだ。取り扱いアイテム数が多く、売場自体の狭さもあってか、やや窮屈な陳列になっている印象だ。

 後編では、精肉、総菜の売場を見ていこう。

(店舗概要)
所在地 東京都港区芝5-36-4 (札の辻スクエア 2階)
営業時間 08:30-21:30
駐車台数 52台(札の辻スクエアの有料駐車場)
売場面積 757.97㎡ (229.30坪)

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