電球交換も草むしりもお任せ!イオンが初めて「対面」で家事代行サービスを販売するねらいとは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年10月17日 20時59分
イオンリテール(千葉県/井出武美社長)は9月20日、「イオンスタイル品川シーサイド」(東京都品川区)3階に新たな売場「暮らしの総合サービス」を設置した。同社で初めて、家事代行サービスを対面形式で販売する試みに挑戦している。
アクティアの子会社化背景に
対面式の売場設置
「暮らしの総合サービス」が今回、イオンスタイル品川シーサイドの売場に加わった背景には、イオンリテールが、イオンの連結子会社であるイオンディライトから、家事の宅配・代行サービス「KAJITAKU」を提供するアクティア(東京都/牧和男社長)の全株式を取得し、9月1日付で子会社化したことが関わっている。
イオンリテールはこれまでリフォームや、DIY用品、家電など、住まいの困りごとに対応した商品の販売や、相談に応じ機種やプランの提案を行うモバイル事業など、総合的な暮らしにまつわる事業を展開してきた。
昨今では、共働き世帯の増加にともない、家事代行サービスの市場規模は今後さらに拡大すると見込まれている。こうしたことから、イオンリテールはアクティアの子会社化によって、サービス事業と小売事業を融合させた新たな価値提供を図る。その第一歩が、今回設置した「暮らしの総合サービス」だ。
これまでもイオンリテールの一部店舗では、ハウスクリーニングや、衣類・布団クリーニングなど、カジタクが提供する家事代行サービスを取り扱っていたが、受注は店頭のパネルを通じて行っていた。
今回新たに設けた「暮らしの総合サービス」内には対面式の売場を設置しており、「訪問する人やサービスの内容がわからない」という顧客の不安を解消する。
同売場で提供するのは、「家事代行」「ハウスクリーニング」「住まいの御用聞き」の3つ。「家事代行」「ハウスクリーニング」は「KAJITAKU」のサービスで、アクティアのスタッフが対応。「住まいの御用聞き」は、「暮らしの総合サービス」設置にあわせて導入したイオンリテールの独自サービスで、同社のスタッフが顧客宅を訪問する。店舗での接客については、いずれもイオンリテールの従業員が対応する。
サービスの内容を
売場で実演
それぞれのサービス内容について、順番に説明したい。
「家事代行」は、掃除や、料理、整理整頓など、家庭での困りごとを解決するサービス。店舗では片づけに用いる器具や作業の内容について、実演をもとに説明を受けられる。整理収納サービスの場合、料金は2時間で2万5520円(税込:以下同)。土日祝日の場合は880円の追加料金が発生する。
「ハウスクリーニング」は、エアコンクリーニングや浴室、レンジフード(換気扇)などの専門のクリーニングを行うサービス。店舗ではエアコンの実物を設置しており、作業内容や、どのレベルまで洗浄するかなどについて説明を受けられる。エアコンの場合、価格は通常1万4520円、お掃除機能付きで2万2800円。
「住まいの御用聞き」は電球交換やカーテンの取付など、上記2つに当てはまらない、暮らしのちょっとした困りごとを手伝うサービスで、11月上旬からの提供を予定している。
内容はさまざまで、たとえば家具の組み立ては2500円~(イオン店舗で購入した商品限定/商品のお届け代込み)。カーテンの取り付けは3000円~(同)、ごみの片づけ・家具の移動・家具の解体・庭の草むしり・除草剤散布・害虫駆除剤散布・窓掃除は3000円~。以上は最初の60分の基本料金で、30分延長するごとに追加の料金1500円~が発生する。
サービス提供エリアは、主に、クルマ移動で10分以内に収まる、品川区・港区エリアを想定している。
どのような人が自宅を訪れるか、訪問スタッフの顔が見えるようにするため、「住まいの御用聞き」のコーナー内には、売場にスタッフの等身大のパネルを設置する。店舗での接客体制も強化することで、お客の安心を高めることをねらう。
対面接客通じて
利用検討客の声が聞ける
対面式の売場を導入することは、イオンリテールとアクティアの双方に、サービスの認知度を広げ、顧客との距離を縮めるメリットがある。アクティアの広報PR専任担当である大塚哲郎氏は、「今までも弊社のサービスを利用した方から利用後の感想を聞かせてもらっていた。対面接客ができることで、今後は利用検討に悩んでいるお客さまからも声を聞け、自社の商品開発にとっても参考になる」と話す。ほかにも、「家事代行」サービスを利用する目的で売場を訪れたお客が、店頭に訪問することで「住まいの御用聞き」の存在を知り、結果的にどちらにも申し込みを行う可能性もありそうだ。
「暮らしの総合サービス」の売場は、2025年までに導入店舗を30店に増やす予定。イオンスタイル品川シーサイド単体では、前年比7~8倍の売上をめざす。
このようにイオンリテールは、総合的な暮らしにまつわる事業をさらに強化することで、地域の生活者の需要をいっそう取り組む狙いだ。アクティアとの連携がその起爆剤となるか、注目したい。
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