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「トリプルメディア」の近未来 オウンドメディア活用の重要性と役割

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年10月25日 20時59分

前回の記事で、トリプルメディアの役割とその変化についてご紹介しました。今回の記事では重要度の増しているオウンドメディアの活用方法と、そのオウンドメディアを活かすために必要なトリプルメディア活用についてさらに掘り下げてご紹介します(本稿は全4回からなる「トリプルメディアの近未来」の第2回です)。

オウンドメディアの活用に必要な
トリプルメディアの関係性

オウンドメディアを活用するためには、混同しがちなアーンドメディアをいかに活用できるかがまずは重要で、それぞれの役割と目的をしっかりと分けて考える必要があります。

分かりやすい例として、家具・インテリア市場を見てみましょう。現在Instagramには、プロ・アマ問わず大量の家具・インテリア関連情報が出回っています。仮に、その状態で企業側が運営する公式Instagram上で、自社商品を活用したインテリア例などの情報を発信しても、大量に流れる情報の中で埋もれてしまい、コストの割に大きな効果を期待することはできないでしょう。

良質な情報が出回っていないSNSの草創期であれば、公式アカウント自ら情報発信する必要がありましたが、家具・インテリア業界においてはすでにアーンドメディアに任せるべき分野に変化しているのです。

ではオウンドメディア側は何を発信すべきなのでしょうか。結論から言えば、オウンドメディアの役割は、『提案』と『対話』です。

オウンドメディアの成功例として、ニトリの事例を挙げて考えてみましょう。

ニトリでは、夏の間『Nクール』という商品を通して「涼しく眠るための提案」を行っています。オウンドメディアは商品理解に特化したメディアなので、商品の外見や使い勝手など、インフルエンサーに委ねることが難しいようなより深い情報を提供する役割を担うことができます。

さらに、オウンドメディアは公式メディアであるため、一般ユーザーが投稿したコンテンツに反応したり、リポストしたりするなどコミュニケーションを図る手段としても活用できます。ニトリの場合、このようなユーザーとの対話を通じて感謝を伝えたり、動画であればユーザーより許諾を得て切り取り動画を再掲載しつつ、ユーザーとコミュニケーションを行うなど、まさに提案と対話の役割を担うことでオウンドメディアを充実させています。

そして、これらの提案がハマれば、インフルエンサーや一般ユーザーがより広範に商品を紹介してくれるため、アーンドメディアの拡散する役割が機能し始めます。

小売側が「この商品は良いですよ」といくら発信しても、ユーザーが身構えてしまうため見向きもされませんが、ユーザー側が作成する口コミ的なコンテンツであれば信頼感も増し、より高い効果を期待することができるのです。

タイムリーに広げるのが
ペイドメディアの役割

これらオウンドメディアとアーンドメディアの連携効果を短期的に高めるためにペイドメディアを活用する方法も考えられます。前回の記事でもご紹介した通り、現在は従来の量的な面を取るといった発想の広告展開は効果を期待できませんが、オウンドメディアもアーンドメディアも共に効果が出るまでにどうしても時間が掛かってしまうという弱点を効果的に補強することが可能です。

例えばアーンドメディアで話題になったコンテンツをタイムリーに活用したり、オウンドメディアで発信している新商品の提案内容を発信することで早期に見込み顧客を発掘、SNSや口コミサイトに情報を拡散するなど、複合的な効果を狙うことができます。特にスピードを重視すべきタイミングにおいて、各メディアの効果を補強する役割が期待できるでしょう。

このようなそれぞれのメディアの特性から、企業側にはUGC(User-Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)を活用した商品企画開発やクリエイティブ開発を通した『企画の提供』が求められているのです。目新しい企画の商品であれば、アーリーアダプターやインフルエンサーなどのユーザーが興味を示し、様々なコンテンツが生成されます。ユーザー発信の情報は、企業側が発信する広告よりも効果が高いため、一旦バズったコンテンツをさらに広げるための効果的な手法として活用できます。

企業側からすれば、アーンドメディアやSNSなどはソーシャルリスニング(社会的な声を聴くこと)の手段としても捉えることができます。製品に対して小売側が発見できていなかったようなポジティブなメリットを発見できる一方で、使い勝手の悪さなどダイレクトに改善点に繋がるネガティブな場合もあります。小売業は、オフラインで商売を展開していると、意外とこのような率直な意見を集めることが難しいため、アーンドメディアのソーシャルリスニングを通じてデータを収集し、オウンドメディアの改善や経営上の戦略を立てる際に有用な情報として活用すると良いでしょう。

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