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2023年春・夏新商品ヒットランキング 家飲み需要や節約志向に対応する商品が上位へ

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年11月30日 1時0分

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コロナ禍が落ち着いたものの、円安による物価上昇やエネルギー価格の高騰もあり、消費者の生活防衛意識がいっそう高まっている。2023年春・夏の新商品はこの消費マインドに対応するよう、日常使いしやすい節約志向の商品が多くみられた。酒類を中心に各カテゴリーのランキング1位商品を見ながらヒットの要因を探っていく。

酒税改正の影響もあり成長続くRTDカテゴリー

 2023年1月から6月に新商品・リニューアル商品として発売された商品を期間金額PIでランキング化したところ(販売店率20%以上の商品が対象)、主要カテゴリーのランキング1位商品は【図表】のようになった。

 RTDは高アルコール系をはじめ、若年層でも受け入れやすい低アルコール系、ウイスキーユーザーのエントリーにも貢献しているハイボール系、家飲み需要を背景に拡大したレモンサワーなどさまざまなアイテムが存在。今年10月には酒税改正による発泡酒と新ジャンルの酒税一本化があったことで、ビール類ユーザーの流入による市場の広がりが期待されている。

 サントリーの「-196℃ 瞬間凍結」は甘くなくて飲み飽きないおいしさと、強い果実感という機能的価値をかけ合わせた「-196℃」の新ブランド。-196℃製法をさらに進化させ、皮や種に含まれる果実本来の旨味や複雑味を引き出した果実感が特長で、定番の〈無糖レモン〉のほか、〈ウメ〉、〈無糖グレープフルーツ〉などのフレーバーを展開する。また〈無糖シークヮーサー〉や〈無糖アセロラ〉といった期間限定フレーバーの展開にも注力し、売場を盛り上げている。

 同社の「こだわり酒場のタコハイ」も上半期のヒット商品として記憶に新しい。同品は酒場で愛される“プレーンサワー”をイメージした、飽きのこないおいしさが魅力のRTD。ほのかな柑橘系の口あたりと焙煎麦焼酎による香ばしい風味が特長で、レモン蒸留酒由来のさわやかな「口中リフレッシュ」と焙煎麦焼酎由来の香気成分による「マリアージュ」で、食事のおいしさをいっそう引き立てる。

 輸入RTDでは米国モルソン・クアーズ・ビバレッジ・カンパニーの「ZIMA 330ml缶」が1位となった。同ブランドはコロナ禍中に一度日本から撤退したが、白鶴酒造が独占輸入販売契約をモルソン・クアーズと締結し、今年3月より全国で発売を開始している。

 白鶴酒造では米国No.1クラフトビール「BLUE MOON」についてもモルソン・クアーズと独占輸入販売契約を結んでおり、総合酒類メーカーとして、多様化する消費者ニーズに応えていくとしている。

主要カテゴリーにおける新商品ヒットランキング1位の商品

ポケットグミ/ラムネ 部門、大袋(米菓) 部門、乳酸菌飲料 部門、輸入スティルワイン 部門

国産スティルワイン 部門、スコッチ 部門、その他リキュール 部門、スピリッツ低アルコール・チューハイ 部門

リキュール低アルコール・チューハイ 部門、低アルコール・カクテル 部門
出典:KSP-POS(食品SM)に基づき弊社にて集計。2023年1月から6月までに発売された新・リニューアル商品の期間金額PIをランキングで抽出。期間は2023年1月から8月までの8カ月間。販売店率20%以上が対象

コロナ禍以降も続く家飲み需要に応える

 コロナ禍中、自宅で過ごす時間が増えたことで広がった家飲み需要は、昨今の物価上昇による生活防衛意識も影響し、新型コロナウイルスが5類に移行した現在も継続している。

 国産スティルワイン部門では、メルシャンが展開するデイリーワインのロングセラーブランド「ビストロ」から発売された「ビストロ ストロング ペットボトル濃いめ赤 720ml」が1位となった。メルシャンでは同品のためにベースとなる原酒を新たに開発。この原酒に輸入ワインをブレンドすることで、果実味のある濃い凝縮感を表現している。

 一方、輸入スティルワイン部門ではメルシャンの本格デイリーワイン「フロンテラ」ブランドから発売された「フロンテラメルロー」が1位となった。同品は黒い果実とチェリーやチョコレートのアロマが感じられる、まろやかな味わいの赤ワイン。メルローはカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネに次ぐ第3の品種として成長を続けている。

 家で居酒屋風のサワーを楽しむ家庭も増えている。サッポロビール「濃いめのグレフルサワーの素」は炭酸水で割るだけで甘酸っぱさとほのかな苦味が感じられるグレープフルーツサワーが手軽につくれるサワーの素。RTSは自分好みの濃さで楽しめる点も魅力で、今回は大容量タイプの1.8Lペットがその他リキュール部門の1位となっている。

 ハイボール人気で需要が高まっているスコッチ部門では、バカルディ ジャパンの「デュワーズ ジャパニーズスムース8年 700ml」が1位となった。同品はさまざまな樽を仕上げの熟成に使用することでフレーバーの違いを楽しめる数量限定の「ユニークカスク」シリーズの第4弾。コアなファンがついている同ブランドだが、父の日のギフトや「ワンランク上のウイスキーを試してみたい」というユーザーも受け入れられ人気を集めた。

健康志向やロングセラーなど、安定感のあるブランドに強み

 健康への関心が高まるなか、乳酸菌飲料は堅調に推移するカテゴリーのひとつだ。クロレラ食品ハックの「乳酸菌飲料 GABA」は「睡眠の質向上」「精神的ストレスや疲労感を緩和」「高めの血圧を下げる」といった働きを持つ機能性関与成分「GABA」を配合した機能性表示食品。3月の発売以来好調に推移していることから、同社では3つの機能の視認性を高めるため、パッケージを改良。24年には更なるリニューアルも予定している。

 長引く不況感もあり生活者は安定を求めて、誰もが知る定番やロングセラー商品を選択する傾向がある。

 マスヤの「おにぎりせんべい」は三角形のせんべいに甘塩っぱいしょうゆタレで味付けされた関西では誰もが知るロングセラーブランド。とくに2枚入りの個包装が14袋入ったファミリーパックのパッケージには間違い探しやなぞなぞ、クイズ、迷路といったゲームが印刷されており、親子で楽しめるコミュニケーションツールとしての役割も担う。西日本に比べ東日本での認知度が低い同ブランドだが、ファミリーパックの発売により東日本の小売店の配荷率も徐々に高まっている。

 子供向けの商品として注目したいのがタカラトミーアーツの「ポケモンカードゲーム スカーレット&バイオレット グミ」。同品ではトレイグミと一緒に、「ポケモンカードゲーム」で使用できるカードを1枚同封している。玩具売場ではなく、日常的に保護者と一緒に出かける食品スーパーの菓子売場で玩菓として展開することで、ターゲットよりも下の低年齢層にカードゲームを知ってもらうのがねらいだ。同社ではほかにも「ポケモンゲットコレクションズガム」や「モンコレボックス」も展開し、好評を博している。

*記事内では、KSP-POSカテゴリー名称「徳用・大袋(米菓)」を「大袋(米菓)」、「S低アルコール・チューハイ」を「スピリッツ低アルコール・チューハイ」、「 L低アルコール・チューハイ」を「リキュール低アルコール・チューハイ」と表記している

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