1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

ギフト需要も!防災グッズに力を注ぐロフトが「普段から使える商品」を提案する理由 

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年12月19日 20時58分

銀座ロフトには約80の防災グッズが陳列される(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)

2023年は関東大震災から100年となる節目の年だった。幾度となく地震に襲われ、豪雨被害などもたびたび発生している災害大国、日本。生活雑貨を扱う専門店「ロフト」を運営するロフト(東京都/安藤公基社長)では、防災グッズの取り扱いに力を入れて、全国の店舗とネットストアで「そなえるくらし」を展開している。そこにはどのような狙いがあるのか。防災用品担当バイヤーを務める商品本部生活雑貨部の加藤健氏に話を聞いた。

銀座ロフトには約80の防災グッズが陳列される(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)
銀座ロフトには約80種類の防災グッズが陳列される(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)

「フェーズフリー」でふだんから身近な災害に備える

 文房具、コスメ、キャラクター雑貨、インテリア雑貨などを幅広く取り扱う生活雑貨の専門店であるロフト。時代のニーズ、空気感、トレンドなどを反映させた売り場づくりと商品の提案を行い、美容・健康雑貨に特化した「コスメロフト」を含めて、日本国内で直営137店舗 FC24店舗、海外でも上海などに直営店4店舗、バンコクにFC2店舗(202311月末現在)を展開している。国内展開する161店舗中、120店舗で防災グッズを扱っており、公式通販サイトのロフトネットストアでも防災グッズの販売をしている。

 なぜロフトが近年、防災グッズに力を入れるのか?そこにはどのような狙いがあるのだろうか。

 加藤氏曰く「日常的に防災に対する意識が高まり、いざというときのために備えておくことは年間を通じて必要だという意識が持たれている。そう感じています」。近年日本の三大震災といわれる関東大震災、阪神淡路大震災、東日本大震災のような災害を想定する以上に、水害や土砂崩れなど異常気象が引き金となって発生する災害のリスクが身近に感じられる中での意識の高まりが、ロフトで取り扱う防災グッズの品ぞろえに反映されているという。

7年保存のクッキーに、昔ながらの非常食でお馴染みのカンパン(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)
7年保存のクッキーに、昔ながらの非常食でお馴染みのカンパン(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)

 そこで掲げるキーワードが「フェーズフリー」。つまり日常でも非常時でも役立つ商品の展開だ。中でも充実しているのが非常食。日常的においしく食べられる商品でありながら、35年の長期保存が可能で、調理の手間がなく、ガスや電気が使えない中でも食べられる缶入りのビスケットといった菓子類やレトルト食品を数多く取り扱う。およそ600種類の防災関連商品がある中で、非常食がおよそ3分の1の約200種類を占めているという。「突然、避難所などで生活するようになっても、食べ慣れていないものはのどを通らない。そして、ますますストレスがたまる。普段から食べているものなら手に取りやすい。そのような話をたくさん聞いていますから」と加藤氏。非常用として常に一定量の食料を蓄えておくローリングストックでの備えを提案している。

商品選びの軸は「気軽さ」「カジュアルさ」

被災地でも使える水のいらない「泡なしシャンプー」に「指サック型歯磨きシート」。これら商品は介護福祉施設などで日常的に利用されてきたものが中心となっている(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)
被災地でも使える水のいらない「泡なしシャンプー」に「指サック型歯磨きシート」。これら商品は介護福祉施設などで日常的に利用されてきたものが中心となっている(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)

 例えば2023年秋から取り扱いを始めた「尾西のレンジプラス」は五目ごはん、ドライカレー、チキンライス、赤飯と、味のバリエーションが豊か。水やお湯を注げば食べられる非常食でありつつ、普段の食事としてレンジ調理すれば、よりおいしく食べられる。さらに防災用品担当バイヤーとして加藤氏が注目したのが、アレルギー物質(特定原材料等)28品目不使用であること。「実際に食べてみてすごくおいしかったし、食品アレルギーがあって配給される食べ物を口にするのが怖いという人にも安心して食べてもらえると思いました」と話す。

 ウェットタオルやドライシャンプーといった衛生用品も介護福祉施設などで日常的に利用されているものが中心となっている。防寒防風に効果を発揮するアルミシート、簡易トイレなど防災士が監修した防災用品7点が入ったロフト限定の「&Pouch」(アンドポーチ)は縦16センチ、横22センチ、厚さ4.5センチとコンパクト。さらに追加でメガネなどを入れられる。普段使いのポーチとして持ち歩きやすく、デザインも年齢性別を問わず使いやすい。

 アウトドアメーカーのランタンやミニランプなど、防災グッズとしての取り扱い候補商品も多い中、販売する商品を選ぶうえで加藤氏が軸としているのが「気軽さ」「カジュアルさ」。実際に加藤氏自身もソーラー充電式で複数タイプのケーブルに対応するモバイルバッテリーを普段使いしているという。「買った後、しまっておいて、どこにあったかな?と思うような商品ではなく、日常生活で使えるものを選んでいます」と加藤氏。そのためホームセンターなどの品揃えとは異なる。

2023年秋から取り扱いを始めた「尾西のレンジプラス」は味のバリエーションが豊かだ(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)
2023年秋から取り扱いを始めた新商品の「尾西のレンジプラス」は味のバリエーションが豊かだ(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)

防災グッズがプレゼントやお土産になる!?

アウトドアメーカーからはランタンやミニランプといった商品の防災グッズとしての取り扱い提案もある(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)
ランタンやミニランプといった商品の防災グッズとしての展開もある(銀座ロフトにて、本田路晴撮影)

 2023年は渋谷ロフトをはじめとする全国の店舗とロフトネットストアで防災グッズを集積した「そなえるくらし」の企画を展開、825日にはインスタライブを開催した。このような企画の狙いを、加藤氏は「リアル店舗の楽しさを一番に考えているので、まずは興味を持って、店舗に足を運んでいただき、商品を手に取ってもらえれば」と話す。実際に全国規模で、コスメロフトを除く、ほとんどの店舗に防災グッズコーナーが通年で設置されており、次世代型旗艦店として9月末にリニューアルオープンした銀座ロフトでも2ラックで約80種類の防災グッズを展開・提案している。

 店舗の立地により多少の違いはあるだろうが、ロフトのメーンターゲットとなっている購買層は30代女性とされる。缶入りのビスケットなど、主婦ブロガーがネットで発信したことをきっかけに爆発的に売れた商品もある。ところが実際に防災グッズが受け入れられている層はより広く、加藤氏によると「結果的に老若男女を問わず、幅広く興味を持っていただいているようだ」という。自分用だけでなく離れて暮らす家族や友人へのプレゼントとして購入する人もいるほか、大型店舗では海外からの旅行者が「日本の非常食は、質が高く、味がおいしい」とお土産に購入する姿も見られるそうだ。

 東日本大震災の被災から13年となる20243月に向けて、加藤氏は「普段使いできる日用品でありながら、防災用に置き換えられるものはないかという視点で、今、提案できる商品を探しています」と目を輝かす。次はどのような商品が登場するのか。興味は尽きない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください