店舗サイドから仕掛けるきっかけのひとつとして売場の注目度を高め販売実績向上をめざす
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年12月26日 1時0分
店頭販促の手法のひとつとして、メーカー主催のディスプレイコンテストが活発に実施されており、多くの店舗が参加している。スペースを割き、陳列の手間をかけてまで参加する店舗は、どのような目的を持って参加しているのか。また参加によってどのような成果を期待しているのだろうか。弊誌が実施したアンケート調査(30社が回答)から、参加店の参加判断の基準や陳列手法などを探ってみた。
参加目的のトップは「売上アップ」
ディスプレイコンテストの企画は、ダイヤモンド・チェーンストア誌告知記事をはじめ、さまざまな媒体で伝えられる。そうした多くの情報の中から、参加するコンテストを決定、陳列規模や数量、陳列テーマやアイデアなどを詰めていくことになる。
この過程で、さまざまな判断や決定が必要になり、その結果として貴重な売場スペースを割いて、ディスプレイが展開されることになる。多くの店舗がこうした企画に積極的に参加するねらいはどこにあるのだろうか。また、どのような意義や価値を認めているのだろうか。
ダイヤモンド・チェーンストア誌では、毎年「ディスプレイコンテストに関するアンケート」を実施しており、少しずつ内容を変えながら、店舗やチェーン本部の意識を探ってきた。その結果を見ていこう。
まず「参加するコンテストの基準について」は、「基本的にすべて参加」という回答は5社のみ。そのほか「カテゴリーによって選択」が最も多い18社、「テーマによって参加」が17社だった。
テーマによって参加していると回答した店舗や企業に、どのようなコンテストなら参加しやすいかを尋ねたところ、「春・夏・秋・冬などの季節がテーマ」という回答が最も多く(11社)、「新商品・リニューアル品がテーマ」(9社)、「ブランド、商品の〇×周年がテーマ」(8社)などが続く。このほか、店舗や企業の「52週の催事テーマに合う」という回答も7社あり、提案される企画の季節性やタイミングを重視していることがうかがえる。
次に「ディスプレイコンテストに参加する理由」については、2022年のアンケートでは「陳列技術の向上」がトップだったが、2023年は「売上アップ」(23社)がトップだった。それだけ販売実績を上げることを重視する傾向が強まっているといえそうだが、参加理由はやはり複合的で、「お店の鮮度感」(21社)、「陳列技術の向上」(21社)もほぼ同数。同時に「メーカーとのコミュニケーション」という回答も18社あり、自由回答では「モチベーション向上」という回答も。各社さまざまな目的を持って、コンテストに取り組んでいることがわかる。
「陳列方法について」の質問では、「基本すべて自店で陳列」が18社と最も多く、「陳列内容は自店で考え、陳列はメーカーと協働でする」(11社)が続く。陳列作業や陳列内容をメーカーに任せる企業は少なく、参加するからには、自店のアイデアで売場展開したいという志向が読み取れる。
「ディスプレイコンテストの実施はどこで知るか」については、「メーカーの営業マン」(23社)がトップ。次いで「『ダイヤモンド・チェーンストア』を読んで」が10社となっている。コンテスト情報はさまざまなルートで入手可能だが、やはりメーカーの営業マンからの直接の提案が、最も効果的に伝わっていることがわかる。また、参加を決断するきっかけとしても、日頃の関係性が重要になりそうだ。
「コンテスト参加は誰が決定しているか」では、「バイヤー・商品部長」(17社)がトップ。次いで「店長」(12社)が多数を占める。また「売場担当者」(3社)という回答も見られた。基本的には本部が参加を決定するケースが多いが、店舗サイドの意向も重要だということだろう。
「売場づくりには『いつ』『何人で』『どれくらい時間をかけて』いるか」という質問については、「営業時間中」が24社と大半を占め、「営業時間前」は6社、「営業時間後」は0社となっている。
「陳列を行う人数」については「2人」(15社)が最も多く、続いて「1人」(7社)、「3人」(4社)などとなっている。また、「陳列の所要時間」については「1~3時間未満」(22社)が大部分を占めたが、「5時間以上」という回答も1社あった。
「コンテストに使用するツールについて」は、「メーカー支給のツールを使用」(28社)、「自店で手作りしたツールを使用」(26社)がほぼ同水準。メーカー支給のツールに、自作ツールを組み合わせて、独自性を打ち出そうとする努力がうかがえる。
「POPづくりにどのような資材・道具を使っているか」については、「パソコンソフト/Excel」が最も多く15社。「パソコンソフト/イラストレーター」(12社)、「ポスカなどの太字マーカー」(11社)、「A4プリンタ」(11社)などが上位にきている。
テレビCMや消費者キャンペーンについては効果を高く評価
一方アンケートでは、ディスプレイコンテスト以外のプロモーション施策の効果についても尋ねている。
「各プロモーション施策への評価」について施策ごとに評価してもらったところ、「メーカーのテレビCM」では「効果がある」という回答が28社と圧倒的に多かった。
「メーカーの消費者キャンペーン」も「効果がある」(21社)という回答が多かった。「チェーンタイアップキャンペーン」については、「効果がある」と「どちらともいえない」ともに15社と評価が割れた。「試食販売」については、「効果がある」と19社が回答している一方、「どちらともいえない」と10社が回答。「試食販売」についての自由回答では、「食べ方やメニュー提案につながる」と好評価がある一方、「コロナ禍以後、避けられる傾向がある」などの否定的な声もあった。
また「サンプリング」については、「効果がある」が16社、「どちもともいえない」が14社という結果に。「デジタルサイネージ」については「効果がある」が8社、「どちらともいえない」が21社という結果になっている。
店側から仕掛けることで、顧客の目を引き、足を止めるきっかけとしてプロモーションは重要だ。いずれの回答でも「効果がない」という回答は少なく、何か伝えていこうとする姿勢が強いことは明らかなようだ。
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