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総売上高が2年で1.7兆円減少!最新決算前にGMS2022年度決算を振り返り!

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年3月28日 20時59分

総合スーパー(GMS)企業の総売上高がこの数年で急減している。GMS企業数の減少や新収益認識基準の適用などもあり、この2年で総売上高は約1兆7000億円減少し約5兆5000億円となった。市場が縮小するなか、各社は構造改革や食品や化粧品・医薬品の強化など変革の動きを加速させている。

フード&ドラッグに舵を切るイトーヨーカ堂

 GMS業態全体の売上規模がこの数年で急激に縮小している。

 『ダイヤモンド・チェーンストア』誌によると、2021年の「日本の小売業1000社ランキング」においてGMS企業の合計売上高は、16社で7兆1108億円だった。

 同誌は22年、ダイエー(東京都)、西友(東京都)、イズミヤ(現イズミヤ・阪急オアシス/大阪府)を食品スーパー(SM)に業態分類を変更しており、売上規模は14社で6兆3347億円の規模になった。さらに23年は新収益認識基準の適用により、イトーヨーカ堂(東京都)、イズミ(広島県)が売上収益、売上高を大きく減らしたこともあり、13社で5兆4492億円となった。

 この厳しい環境下、これまでGMS業態をリードしてきたイオンリテール(千葉県)とイトーヨーカ堂(東京都)の2社が対照的な動きを見せている。

 イオンリテールは、食品売場を核に、専門性を高めた衣料品、住居用品、化粧品・医薬品などの売場を商圏特性に合わせて組み合わせた「イオンスタイル」として新規出店を進め、衣料品売場の再編にも本格的に乗り出している。既存店売上高は22年7月から19カ月連続(24年1月末時点)で前年同月実績を上回り、食品は同17カ月、H&BC(ヘルス&ビューティケア)も同23カ月連続で既存店売上高が前年同月を上回った。24年2月期第3四半期(3Q)決算は売上高が5.7%増の1兆2281億円。通期は黒字で着地する見込みだ。

 一方、イトーヨーカ堂は、広域のGMSから首都圏を中心とした「フード&ドラッグ」主体の店舗への転換に舵を切り、23年9月、グループのSMヨークを吸収合併した。

 セブン&アイ・ホールディングス(東京都)ではイトーヨーカ堂の25年度までの構造改革のロードマップで、126店舗(23年2月末)のうち25年度までに33店舗を閉店することを公表。北海道、東北、信越の全17店舗を閉鎖(うち9店舗は事業譲渡)し、自主開発のアパレル事業からの撤退に合わせ、アパレル大手アダストリア(東京都)から衣料品の供給を受けることも明らかになった。24年2月期の業績予想では、営業収益は前期比2ケタ増(8189億円、23年9月以降の旧ヨークの数値含む)だが、営業損失(15億円)を見込んでいる。

 イオン系GMSのイオン九州(福岡県)は24年2月期3Q決算で、営業収益、各段階利益ともに過去最高を更新。都市部におけるマーケットシェア拡大をめざす「マックスバリュエクスプレス」を福岡市内に2店舗出店した。また同じイオングループのドラッグストア企業ウエルシアホールディングス(東京都)との合弁会社イオンウエルシア九州(福岡県)は新フォーマット「ウエルシアプラス」を5店舗出店している。

 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都:以下、PPIH)傘下のユニー(愛知県)の23年6月期は、売上高が2.3%減の4619億円、営業利益が9.9%増の280億円の減収増益。24年6月期に入ってからも減収基調は変わらず、2Q決算では売上高は1.4%減の2361億円だが、営業利益は35.2%増の192億円としており、営業利益率(前年同期比2.2ポイント上昇の8.1%)の改善が進んでいる。

 23年2月期、新収益認識基準の適用により売上高を大幅に減らしたかたちになったイズミは、24年2月期は既存店が増収基調に転じている(23年12月までの累計で3.3%増)。23年6月にはGMSとSMの機能を併せ持つ新業態として「ゆめテラス祇園」(広島県広島市)を出店しており、24年2月期単体業績は、売上高3773億円(3.9%増)、営業利益238億円(16.7%減)を予想している。

2022年度、3期ぶりに黒字化したイオンリテール

 間もなく、23年度本決算が発表になる。各社決算発表の前に、22年度決算での売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。

図表●2022年度GMSの売上高ランキング

 売上首位はイオンリテール。23年2月期の売上高は対前期比3.6%減の1兆7515億円と減収だったが、営業利益は3期ぶりに黒字化、最終赤字幅も前期から縮小している。背景にあるのは、衣料品やH&BCなど非食品の売上高の伸長だ。さらにAIの活用や在庫最適化による粗利益率の改善などに取り組み、大幅な損益改善を実現したことも奏功した。

 2位のイトーヨーカ堂は、新収益認識基準会計の適用に伴い、31.7%減の7293億円。総額売上高では前期並みだった。

 3位はイオン九州。前年3位のイズミが新収益基準適用により売上高が大きく目減りしたこともあり、前年の5位からランクアップした。23年2月期の売上高は4844億円(新収益認識基準適用前の数値のため、前期との比較はなし)。原材料が高騰するなかでも価格維持に努めた。消費者の簡便・即食ニーズに対応した総菜や冷凍食品の品揃えを拡充したところレジ通過客数が増加し、堅調な売上につながった。

 4位はユニー。7店舗を業態転換、同じPPIH傘下のUDリテールに移管したことも影響し、22年6月期の売上高は4.1%減(旧基準の前期実績との比較)の4725億円、純利益もほぼ半減だった(49.9%減)。

 5位は売上高3712億円(新収益認識基準適用前の数値のため、前期との比較はなし)の平和堂(滋賀県)だ。“GMSの優等生”として業界トップクラスの収益性を誇ってきたイズミは新収益基準適用の影響を受け、前年から3ランクダウンの6位となった。

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