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競合の追随許さない!横浜 「ロピア港南台バーズ店」の生鮮売場を徹底解説

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年4月11日 20時59分

ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)はJR根岸線「港南台」駅前の大型商業施設「港南台バーズ」の地下に、横浜市では9店目となる「ロピア港南台バーズ店」(以下、港南台バーズ店)を2023年12月5日に開店した。同店はどんな売場づくりをしているのだろうか。
調査日=1月7、8、12日 ※本文中の価格はすべて本体価格

都会的な住宅地に2店目を出店

 港南台バーズ店は「港南台」駅前にある商業施設「港南台バーズ」の地下1階、「クイーンズ伊勢丹」と「中島水産」の撤退に出店した。

 横浜市・港南台地区の人口は約2万8000人。1960年代から住宅地域として開発され、周辺は一戸建て、賃貸・分譲の団地、マンションが建ち並ぶ。

 ロピアは「港南台」駅から1.5km離れた環状3号線沿線の商業施設「ロピアモール」内に「港南台店」(売場面積約520坪 ※歩測)を17年9月に出店しており、今回の出店により同地区では2店目体制となった。港南台店は週末に多くの来店がある「週末型」の店舗である一方、港南台バーズ店は駅前ということもあって平日でも安定した客数が期待できる。2店体制となったことでロピアの湘南台地区のシェアは大幅に高まったのは間違いない。

 競合店は同じ「港南台バーズ」の1階に売場面積約600坪の大型店「そうてつローゼン港南台店」、隣接するビルの地下にダイエーが運営する「イオンフードスタイル港南台店」(食品売場は約630坪歩測)がある。

ロピア港南台バーズ店の売場レイアウト

 ロピアは恐らく売場配置に苦労しただろう。港南台バーズ店は入る建物は20年8月に閉店した「髙島屋港南台店」跡であり、百貨店売場の名残が多く、階段・駐車場と出入口が4カ所、エスカレーターが2カ所、エレベーターが1カ所ある。ロピアの特徴であるワンウエイ方式が機能しづらく、「生鮮一体型」の売場配置ではなくなっている。ただ、それでも生鮮と非生鮮の巧みに配置することで、バランスの取れた売場となっている。

 次に売場スペース構成比を分析していこう。

 

 売場面積は約600坪(歩測)とやや大型店だが、売場はやや窮屈な印象だ。とくにレジ周りはスペースがなく、常時混雑している。売場スペース構成比では生鮮が41%、日配が20%と、合計で60%を超える。とくに精肉はスペースを割いており、ロピアらしい売場配置と言える。

ロピア港南台バーズ店の売場スペース構成比

 入口の青果売場とエスカレーターの間には「ロピア」と「無印良品」が共同運営する「キッチンカウンター」(約20坪歩測)を設けている。同コーナーでは「食」をテーマとしたイベントスペースで、試食や試食販売を実施。調査日はホットドッグと飲料のセットを200円で提供するスタンド式の「ショータズランド」を展開していた。

青果と総菜の売場が隣接

 部門別に売場を見ていこう。青果売場は約60坪(歩測)。「無印良品」側から見て左側に総菜売場があり、通常のスタイルとは一線を画したものとなっている。右壁面60尺と平台5本で売場を構成する。調査日は店頭24尺の平台で「あまおう」(2パック1000円)、「とちおとめ」「とちあいか」「恋みのり」(各499円)、「いちごさん」(479円)などを販売。「とちあいか」については、近隣のそうてつローゼンが498円、ダイエーが698円で販売しているが、それぞれ量感が異なる。

 そのほか、長洲屋の「ナガノパープル1kg」(1500円)、「冷凍焼き芋200g」(299円)など、冷凍フルーツや冷凍野菜も専用什器で展開しているのも目を引いた。

サツマイモを焼いてから凍らせた「冷凍焼き芋200g」(299円)

 調査日は、キャベツ、大根、ホウレンソウが各159円、レタスが239円、白菜(1/4カット)が99円、枝付きブロッコリーが1個129円、2個200円と目玉価格で提供。キノコ類はバンドル販売で、鮮度のいい商品をロピアならではの訴求力で提供していた。

 隣接する総菜売場は作業場をレジと青果売場の間に配置し、売場と連動させている。冷蔵ケース36尺で「エビのチョレギサラダ(大)」(1180円)、「同(小)」(600円)、「マヨネーズポテト」(580円)、「ミルフィーユローラー」(8個700円)、「沖縄風ソーキ蕎麦」(600円)やプリンなど、グループ企業の利恵産業(神奈川県/小川学社長)の商品を軸に展開している。

ボリューム感のある「大きな皮のせ焼売」(3個入り400円)

 「ピザ」は8尺で「マルゲリータピザ」「照り焼きチキンピザ」「ウインナーベーコンピザ」を580円の商品を軸に販売。

 連続する平台24尺で「牡蛎丼」(555円)、「ひつまぶし丼」(580円)、「鮭はらこめし」(666円)、「ローストビーフ寿司」(8個580円、24個1480円)、「タルダプルコギ」(30個1555円、10個555円)の米飯、「ふっくら焼鳥盛り合わせ15本」(999円)、「おつまみ牡蛎フライ」(20個880円、10個500円)、「やわらかチャーシュー100g」(199円)、「えび天2本」(400円)などの売れ筋商品を展開している。

 サイドは常温棚16尺で「厚焼き玉子」(500円)、「いなり12個」(450円)、「スパイシーチキンライス」(600円)、「クリームソースペンネ」(555円)、「アップルパイ」(666円)など利恵産業製造の商品を販売。狭いスペースをリズム感のある商品陳列で埋め、作業場と一体で臨場感のある売場を形成している。

 冷凍総菜は正面の壁面20尺で利恵産業の総菜やスープのほか、ピザや中華なども配置。配置は変則的だがが、作業場と一体化されており、作業効率はよさそうだ。

強さの源泉の精肉売場

 奥の鮮魚売場は壁面と平台2ゾーンで展開。壁面は52尺で、丸物、切身、貝などを販売。丸物は真ダイ(1200円)、タラ(690円)、カレイ(690円)など、切身は金目ダイ(1000円)、太刀魚(2切れ990円)などを販売していた。

 続いて16尺で刺身、マグロ、タコを配置。刺身の「6点盛り」(2900円)、「8点盛り」(3900円)に加え、「ほぼ海鮮巻8個」(990円)、「とろたくサーモン8個」(1290円)など、回転率が高い売れ筋商品を冷蔵什器ごとにテーマを決めて構成している。

 壁面には塩干や珍味を配置し、専用の試食コーナーも設けている。鮮魚売場はスタッフ全員で販売に注力しているようで、勢いを感じた。ほかのロピアにはない空気感がある。

 精肉売場は約70坪(歩測)。作業場と売場と直結させた。壁面には牛肉(40尺)、豚肉(36尺)、鶏肉(20尺)と、オーソドックスな売場配置となっている。取り扱い商品はロピアの基本商品でほぼ固定化されている。

 牛肉はロピア独自の「みなもと牛」「適霜牛」に豪州産、米国産を絡め、メニュー別に陳列。豚肉はセンター納品と店内加工の双方を扱う。国産は「三元豚」と「神奈川県産ポーク」。輸入は米国産、メキシコ産、チリ産などを扱う。鶏肉は「みなもと鶏」をメインに「甲州新鮮どり」も導入している。

しゃぶしゃぶ用の豚バラ肉はメガパック(約1㎏入り)でも販売

 平台は前方で自社製加工肉、丸物加工肉、ラム肉を展開。中ほどではプルコギなどの味付け肉と輸入牛、輸入豚、後方では馬刺し、鍋物用、鹿児島産「がんこ鶏」、福岡県産「博多地鶏」とテーマ別に固定化された売場としている。

 平場の冷蔵ケースは加工肉が36尺。自社製、生ハム、ハム、ウインナー、ピザなどが並ぶ。とくに生ハムを強化し、輸入物と国産に米国やスイスなどのチーズを関連販売する。

 そのほか、冷凍では新たな自社ブランド「Buyer Selection」として、「国産牛入りコロッケ」(5枚480円、8枚880円)、「メンチカツ5枚」(580円)、「お肉屋さんがつくった豚まん4個」(498円)、「お肉屋さんの牛肉カレー600g」(980円)、「牛すじ煮込み500g」(880円)を展開。新たな戦略商品として展開していきたいというねらいが透ける。

オリジナル商品の「お肉屋さんの牛肉カレー600g」(980円)

 精肉売場は「肉のロピア」のメッセージを強く打ち出し、質感と量感に加えて、商品の「幅」も広がり、ほかのチェーンの追従を許さない売場となっている。あらためてロピアは「精肉」が主役であることを認識したセンスのある売場である。

 後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。

(店舗概要)
所在地 神奈川県横浜市港南区港南台3-1-3 港南台バーズ地下1階
開店日 2023年12月5日
売場面積 約600坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 850台

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