ノンアルで「飲みニケーション」? 変わる「飲み」の意味とスーパーマーケットの機会
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年4月8日 20時59分
「若者のアルコール離れ」と言われて久しいですが、酒類消費を支えてきた世代も歳を重ね、スーパーマーケットの店頭ではノンアルコール飲料が幅を広げています。コロナ禍で「家飲み」を経験し、それまでの飲酒スタイルが変わった人も多いようです。何のために飲むのかを立ち止まって考える人が増えて、「飲み」のスタイルが多様化しています。俗に「飲みニケーション」などと言いますが、その「飲み」は、もはやアルコールの飲用を指すとは限りません。
「飲む」のは、「酔う」ためか?
以前、日本人の飲酒スタイルについて、イタリア人から「酔うために飲んでいる」といわれたことがあります。イタリア人は、「食事を楽しむために飲む」そうです。すべてのイタリア人が本当にそうかはさておき、日本人に対するその指摘は、少なからず的を射ています。コロナ禍以前、日本人が飲むとなったら、たいていの人が酔わずにはおきませんでした。
缶チューハイなどのRTD(レディ・トゥ・ドリンク)には、アルコール度数が7~9%のストロング系というカテゴリーがあります。これが台頭してきたときに言われた消費者のベネフィットは「コスパよく酔える」というもので、きっとイタリア人には理解できないことでしょう。
しかし日本人にとっても、「酔うために飲む」スタイルは絶対的なマジョリティとはいえなくなりつつあるようです。
昨今では、RTDやビール類の代替飲料として、ノンアルコールないし微アルコールの開発が進んでいます。それは先進国では広く見られる傾向のようで、技術革新が顕著な成長分野とみなされています。 ビール類を例にすれば、「バドワイザー」や「ハイネケン」といった世界的なビールブランドが、そのブランド名を冠したノンアル飲料を展開するようになりました。日本でもアルコール度数が1%に満たない商品が開発され、そこまでじゃなくても、ビール類で一般的な5%に届かない商品がちらほら出ています。
ノンアル・微アルの飲用動機は、アルコール代替であることはもちろんです。ただ、ノンアルで代替するなら清涼飲料に置き換えてもいいかなと思う瞬間は多くの人に訪れるようです。
英・調査会社MINTELの同国内における調査では、ノンアル・微アルの成長が続く中、ユーザーは「ノンアル系の飲料を割高に感じてもいる」と指摘し、清涼飲料との競合は厳しくなるとの見立てを示していました。
これは日本にもあてはまるかもしれません。私個人は、意図的に増やしたノンアルビールの飲用機会の半分が、いつしか無糖の炭酸水に置き換わりました。別に割安だからという理由でそうなったわけではないですが、実際に割安ではあります。
シラフで語り合うのも普通のこと
身体を張るようにして飲み比べをしてきた団塊世代も団塊ジュニアも(一部の人ですが)、今までだって酒類がなくても「飲み」は成立していました。例えば「お茶をする」という機会がそれで、茶とはいいながら、だいたいはコーヒーを飲んでいたはずです。ドリンクバーで何時間も過ごした経験だって、なくはないでしょう。
だからZ世代が酒類なしで集いを楽しむとしても、不思議に思うことはありません。コロナ禍を経て、集いのあり方も多様化したことでしょう。そんな集いの「飲み」には、ちょっと高単価なドリンクが許容されるのかもしれません。その先駆けとして、クラフトコーラの流行は「ちょっといい清涼飲料」の許容範囲を引き上げたようです。
高単価な清涼飲料といえば、イオングループがプライベートブランド(PB)として商品化した「クラフテル」の第一弾「19 Nineteen」です。税込で300円を超える高単価ながらも、発売から半年を経て、3月26日から全12品が全国展開になりました。このシリーズはエナジードリンクのようにカフェイン含有で気分をアゲルといったものではなく、味や香りを楽しむという、ただそれだけのものです。それがこの単価で、商品名の通りの世代に支持され、首都圏から全国に広がるというのは……。きっと、仲間との集いの場でも飲まれているからではないかと、想像する次第です。
イオントップバリュは、クラフテル開発の背景として、「若者のアルコール離れや、ポジティブにあえて飲まない“ソバーキュリアス”という新たなライフスタイル」の広がりを挙げ、「ジュースでは体験できない奥深い味わい」を提供するとしています。
そして「クラフテル」第2弾として同じ3月26日、もっと大人世代に振ったドリンク「BAR-ish」を発売しました。8品同時で、価格も「19 Nineteen」と同じ税込302円です。
「BAR-ish」は、ローアルコールとノンアルコールに特化したバー「LOW-NON-BAR」がレシピを監修しているそうで、カクテル代替を狙ったものといえそうです。これも酒類のない「飲み」のシーンを広げる意図であることは確かです。
ノンアル飲料を片手に、大人がシラフで語り合う……
それでは本音が出ないでしょうか? しかし、酔って口にする言葉はその場のノリがほとんどで、それは本音で伝えたいことでもないような気もします。シラフになって考えると。
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