大阪で着々と広がる店舗網、「ロピア藤井寺店」の売場を解説!
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年5月9日 20時59分
ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)は大阪府藤井寺市の近鉄南大阪線「藤井寺駅」前にある商業ビル「ソリヤ」の2階に「ロピア藤井寺店」(以下、藤井寺店)を昨年11月10日にオープンした。大阪府では6店目になる。同店はどのような売場づくりをしているのだろうか。
調査日=2023年11月29、30日、12月1日 ※本文中の価格はすべて本体価格
近隣の競合店を意識した品揃え
藤井寺市は大阪市内から南東に約15㎞の場所にあり、大阪市のベッドタウンとして発展してきた。人口は約6万2000人。人口密度が高く、市内には大小の古墳群があり、葛井寺の門前町としても知られる。
藤井寺店は関西地区としては15店目となる店舗で、ソリヤ2階にあった「トイザらス」の跡地に居抜き店舗した。競合店としては、藤井寺店から北方向約90mに、2019年9月に改装開店したショッピングセンター(SC)の「イオン藤井寺ショッピングセンター」がある。「ジーユー」「ダイソー」「ニトリ」などの大型専門店と食品専門店、飲食店などで構成。核店舗はダイエーが運営する「イオンフードスタイル」(以下、ダイエー)だ。藤井寺店はこのダイエーとSC内の精肉、鮮魚、青果の生鮮専門店と競合している。
その中でもとくに存在感が大きいのが鮮魚専門店の「鯛将」だ。調査期間中、鯛将(大阪府/坂井賢社長)はA2の大型チラシを投入し、「数の子大奉仕」と銘打った販促を実施。年末年始の寿司予約と日替わりの目玉商品を投入していた。海鮮寿司や丸物など品揃えに幅があり、価格訴求も徹底されている。
これに対して藤井寺店の鮮魚売場はコンパクトで、寿司や丸物は“遠慮がち”な印象を受けた。青果もダイエーとSC内の青果専門店「松川」の両店がロピアの価格に合わせている。ロピアも無理はしないが、状況に応じた売場づくりと商品構成で対応している。この柔軟性もロピアの強さの一つである。
売場面積は約530坪(歩測)とほぼ標準。売場は2階にあり、階段かエスカレーターで上る必要がある。来店客の様子を見ていると階段利用が大半であるようだ。売場はロピアではおなじみの生鮮ゾーン型の配置で、約180坪(歩測)。売場に柱があり、棚配置が多少窮屈になっているが、日配部門は壁面を利用してラインをつくり、買いやすく作業もしやすい配置になっている。
売場スペース構成比を見ると、22年11月に開店した「ららぽーと堺店」と比べ生鮮売場が37%で2ポイント、加工食品売場は28%と4ポイント高く、反対に菓子売場は7%と4ポイント圧縮している。
鮮魚売場はコンパクトに堅実に
部門別に売場を見てみよう。
生鮮売場は青果と精肉が広く、鮮魚と総菜はやや縮小したが、全体としては標準である。 青果売場は階段を上がった目の前にあり、旬のミカンが迫ってくるような陳列となっている。青果の売場面積は約50坪(歩測)。両サイドに冷蔵ケースを配し、平場冷蔵ケース20尺にリンゴ、キウイ、パイナップルなどを陳列するなど既存店ではあまり見られない配置に挑戦しているようだ。
イオン藤井寺SC内のダイエーが野菜の価格を合わせていることもあって、藤井寺店でも価格訴求商品が目立つ。キャベツ、ホウレンソウ、大根、ブロコリーは各99円。「白菜1/4カット」(79円)はダイエーもほぼ同額で販売している。大きく価格差があったのがレタスで、ロピアは199円だったが、ダイエーは98円で提供。“ロピア対策”を打っているのがうかがえる。
総菜は約20坪とコンパクトにまとめ、取り扱い商品を絞った店内作業量を考えた売場づくりとしている。壁面12尺では「マルゲリータ」(580円)などピザ6品目を販売し、安定して売れていた。平台では米飯、ドーナツ、サンドイッチ、フライを展開する。
米飯では「焼鳥丼」(500円)、「にんにくたっぷりガーリックライス」(580円)、フライでは売れ筋の「ロピチキ」(2枚380円、4枚680円)などを販売。サラダは12尺で「ローストビーフサラダ」(680円、1200円)、「超シュリンプカクテルサラダ」(880円、1580円)などを販売。平場冷蔵・冷凍ケース16尺でプリンやデザート、グループ会社の利恵産業のピザとスープなどを販売する。全体的に専門店を意識した構成であるようだ。
鮮魚売場はイオン藤井寺SCに入居する鮮魚店「鯛将」を意識した布陣となっており、取り扱い商品はすべてパック対応で、品揃えも絞り込んでいるものの切身は充実していた。米飯も量感より質感を重視した独自商品で対応。売場は約20坪とコンパクトにまとめた。
右壁面24尺でマグロやタイ、カツオ、ハマチなどの刺身冊、「握り寿司茜18貫」(2590円)、「はまち握り寿司8貫」(890円)、「とことんしらす丼」(698円)、「とことんいくら丼」(1990円)など寿司や丼物の品揃えを充実させた。前方のエンド6尺ではサーモンを、サイドの平台12尺では「生真たら切り身100g」(150円)、「真たこ100g」(199円)を、背面には塩干を配置している。
冷凍魚は後方でカニや鮭などロピアの売れ筋商品を展開。平場冷蔵ケース24尺で宮城県産の生銀鮭やアンコウ、フグ、シジミなど丸物、貝類を扱うが、売場全体はコンパクトにまとめてロスが少ない堅実な品揃えであり、従来のロピアとは違う印象を受けた。
主役の精肉売場はフル回転
精肉は売場面積約70坪(歩測)で、他の店舗に比べるとやや広めである。壁面52尺では同社の高槻精肉プロセスセンター(大阪府)から納品されるひき肉や豚肉、ラム肉、店内加工の牛ブロックを展開。開店セールで「牛豚合ひき肉100g」(79円)、豚肉は「三元豚ローススライス100g」(99円)、「三元豚バラスライス100g」(109円)のほか、スペインのイベリコ豚、メキシコ産の豚ブロックなども展開している。
牛肉は正面壁面の48尺で黒毛和牛や同社オリジナルの「みなもと牛」をベースに、ステーキ、しゃぶしゃぶ、ブロックなど定番商品を提供。平台は4ゾーンで構成している。エンドの6尺は日替わり特売商品で、サイドの12尺はテーマを持たせて展開している。
最初の平台の前列には冷凍肉を並べ、希少部位や「みなもと牛」のブロック肉(100g当たり590円)など大容量商品を展開。背面には冷凍のオリジナル商品である生ウインナーや馬刺し、焼き鳥などで構成する。
2台目は牛肉と豚肉に加えて「こだわりのミールキット」を導入。「黒毛和牛しゃぶしゃぶ用」(2480円)と「ホルモン鍋」(980円)の2品目を販売していた。背面は鍋用食材やもつ鍋などを陳列。
3台目の平台は鶏肉。4台目はロピアが力を入れている味付け肉で「豚プルゴキ味つけ100g」(69円)を扱う。背面は「メガ盛り」コーナー。加工肉は平場40尺冷蔵ケースで展開。工場直送で地元大阪市の竹田屋総本店「無塩せきポークウインナー280g」(550円)など16品目を扱っていた。
この精肉は間違いなく、生鮮ゾーンの主役ともいえる売場となっている。「ロピアに行くなら肉を買う」というお客が大半であり、目的商品が売り切れていても「何か替わりを」と探して、さらに品薄になり、スタッフは常時補充に追われていた。
後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。
(店舗概要)
所在地 大阪府藤井寺市岡2-8-41 ソリヤ2階
開店日 2023年11月10日
売場面積 約530坪(歩測)
営業時間 10:00~21:45
駐車台数 300台
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