圧倒的な◯◯に注目! 京都・北野天満宮近くで食す、変わり種うどん
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年6月27日 20時59分
全国天満宮の総本社として知られる京都の北野天満宮。祀られているのは学問の神様で、とくに受験シーズンには多くの参拝者で賑わう。周辺にはほかにも魅力的なスポットが点在、有名な観光地だけに飲食する店もたくさんある。その中、ユニークなうどんを出すことで知られる人気の老舗がある。今回は差別化という点でビジネスの参考になりそうな同店に足を運び、食事をするという話だ。
春は梅、秋は紅葉で有名
京都市上京区にある北野天満宮は、全国に1万2000社がある天満宮、天神社の総本社である。御祭神として祀られるのは菅原道真公。地元では古くから「北野の天神さま」と親しまれ、受験シーズンにもなると多くの人が参拝に訪れる。
梅も有名だ。
東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ──。道真が無実の罪を着せられ太宰府へ左遷される前、大切にしていた梅を前に読んだ歌だが、北野天満宮にはゆかりの梅約50種1500本が植えられている。例年、正月明けから開花、境内一円で紅白の梅が順に咲き、3月末ごろまで楽しめる。
ほかにも紅葉も美しく、四季を通じ、いつ足を運んでも賑わっている印象だ。
近隣に目を向けると、同神社の東側に花街「上七軒」がある。京都には現在、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があるが、その中でもっとも古い歴史を持つのが上七軒である。
室町時代、北野天満宮の造営に使用した残木で七軒の茶屋を建て、参拝客の休憩所にした。それらに豊臣秀吉が茶屋株を正式に与えたのが舞妓や芸妓が出入りするお茶屋の始まりとも伝えられる。
このように周辺は歴史を感じられるスポットが集積しており、京都を訪れる機会があればぜひ歩いてほしいと思う。
有力な観光地であるため飲食店にも事欠かない。和食を提供する店のほか京町屋を改装したおしゃれなカフェ、中華や洋食料理店など選択肢の幅が広い。
店を経営する側からすれば、それだけ競争が激しいことを意味するが、その中でユニークなうどんを出すことで有名な店がある。北野天満宮の門前から歩いて2分にある「たわらや」だ。どのような料理を提供しているのか、早速、行ってみよう。
「衣笠丼」とのセットを注文
たわらやが、こだわっているというのは“だし”。店の表には「たわらや だしのこだわり」と題した説明書きを掲げている。
それによれば昆布、うるめ、さば、めじか、かつおを使って店内で取っているとのことである。旨みを楽しんでもらうため、うどんに生姜を入れるだけというシンプルな状態で提供しているのだという。
店内に入る。案内された席に座ってメニューを確認、注文したのは、うどんと「衣笠丼」のセット(1400円)。衣笠丼とは、京都ではメジャーな料理で、ごはんの上に油揚げ、かまぼこ、たまねぎ、ねぎを卵でとじた具が乗っているシンプルな丼だ。
約10分後、私の目の前に届けられたのがこれ。注目は前述した、うどんである。おそらく直径1cmはあるだろう、びっくりするほど麺が太い。ボールペンと比べると普通の麺との違いがわかるはずだ。箸で持ったらずしりと重い。
実際に食べると、自慢のだしの風味と相まっておいしい。次に衣笠丼。テーブルに備え付けの粉山椒をかけ、いただく。こちらも安定のおいしさである。京都なので総じて薄味なのだが、どちらもだしが効いていているのがよい。じっくり味わいながら食べ進め、そして完食する。
この店に来るたび、いつも思うのが何事も特徴を出すことの重要性である。最近は、どの業界でも競争が激しく、生き残るだけでも大変な時代。厳しい状況の中、注目を集め、差別化を図るには、やはり他にはない商品、サービスを提供することが必要になる。
そういった視点でたわらやのうどんを見ると、圧倒的な独自性を感じる。近くに麺類を出す店は少なくないが、大きな存在感がある。食べ物はおいしさが一番だが、さらにプラスαの“何か”があると俄然、光り輝くものだ。
そんなことを考えながら、食後のお茶を飲んでいた。たわらやでこの太いうどんを食べ、差別化戦略に頭をひねるのもよいかもしれない。
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