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沈まぬアパレルその7 D2C、サブスク……新潮流のプレイヤーが地殻変動を起こす?!

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2020年1月19日 20時45分

アパレル業界では今、「ファッションECはどこまで伸びるのかが焦点となっている。EC売の売上高構成比の30%をめざすユニクロ(山口県)を筆頭としたリアル小売と、Zホールディングス(東京都:旧ヤフー)の傘下に入り、総合力で拡大をねらうZOZO(千葉県)のようなEC専業が火花を散らす一方で、「D2C」「サブスクリプション」など新たなプレイヤーも台頭している。ファッションECの拡大は、アパレル業界に今後起きる地殻変動の予兆か――。

台頭するD2Cブランド

 「ファッションモデルやインフルエンサーと呼ばれるような人たちが売上高数億円規模のブランドを一人で立ち上げるような時代がくると思います」

 ストライプインターナショナルの石川康晴社長は「ダイヤモンド・チェーンストア」誌のインタビューでそう話す。石川社長が今後台頭してくると予想するのは、D2C(Direct to Consumer:ダイレクト・トゥ・カスタマー)と呼ばれるビジネスモデルである。数万~数十万人のフォロワーを抱えるインフルエンサーが、衣料品製造のノウハウがあるなしにかかわらず、衣料品メーカーに匹敵する競争力を持ったファッションブランドを立ち上げるという世界がすぐそこまで来ているというのだ。

 実際、米国ではファッションD2Cモデルの成功事例が散見されている。1つ例を挙げるとするならば、子供向け衣料の「ロケッツ・オブ・オーサム(ROCKETS OF AWESOM)」がある。

 D2Cブランドでありながら、サブスクリプションサービスでもあるロケッツ・オブ・オーサムは、ニューヨーク在住の2人の子供を持つ主婦が立ち上げたという経緯を持つ。シーズンごとに衣料品を受け取れるというもので、配送前に商品をチェックでき、気に入らない場合は交換することもできる。

 今後は雨後の筍のように、インフルエンサー、D2C、そしてサブスクリプションを組み合わせたビジネスモデルが増えていくと見られ、国内においても「今後はインフルエンサーをプラットフォーマーとして束ねるIT企業が100億円規模で売上高を稼ぐ時代になっていく」(ストライプ石川社長)という。

じわりシェア拡大するサブスクリプション

 新潮流のプレイヤーが台頭の兆しを見せる一方で、ファッションEC専業のZOZOは、ヤフー(東京都)を傘下に抱えるZホールディングスグループに入り、シェア拡大を図っていくとみられる。ZOZOあるいはヤフーがD2Cモデルの受け皿となって新興勢力を束ねる可能性も捨てきれないだろう。

 衣料品のサブスクリプションサービスもじわりとシェアを拡大しつつある。最近は「エアークローゼット」「メチャカリ」「エディストクローゼット」といったファッションレンタルサービスが広がりを見せている。

 こうしたファッションのサブスクリプションサービスの伸長により、少しずつではあるものの、「衣料品を所有しない」という文化が浸透しはじめている。さらに、先述のロケッツ・オブ・オーサムのように、運営企業がメーカー機能を保有したり、メーカーと提携したりするようになれば、一気にシェアを高めることもあり得る。

 このように、アパレルの販売チャネルは静かに多様化している。D2Cやサブスクリプションといったこれまでにない新しいモデルが、リアルアパレルのシェアをどの程度奪っていくのかは未知数である。だが、大手と呼ばれるような規模の企業も、うかうかしていられなくなっているのは事実だ。

 国内アパレルの“ジャイアント”であるユニクロの国内EC売上高(19年8月期)は、前期比32%増の832億円と成長を続けている。同社は「EC比率30%」を目標に掲げ、「ECを本業にする」と宣言、ECの世界でもジャイアントをめざす構えだ。

 近未来のアパレル市場は、新潮流のプレイヤーによる下剋上が起こっているのか。それとも、ジャイアントがいっそうの巨大化を図るのか。大きな転換点に差しかかっている。

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