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小型店ながら差別化策が随所に!「ライフ池袋三丁目店」売場レポート

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年6月11日 20時59分

ライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)は2024年3月、「池袋」駅の徒歩圏内のタワーマンション1階部分に「ライフ池袋三丁目店」をオープンした。前編では、青果・総菜売場についてレポートした。後編では、精肉、鮮魚、日配などの売場を見ていこう。

コンパクトながらバラエティに富んだ精肉売場

 精肉は素材肉が32尺、加工肉が32尺で、平台がない売場となっている。牛、豚、鶏ともにブランド肉を複数導入しており、品揃えはバラエティに富んでいる。選択肢の多い売場だが、商品のパッケージ容積が大きいため、多段ケースでは商品の全容が確認しにくく、少しわかりにくいと感じるお客もいるかもしれない。とくに牛肉では扱うブランドの多さからグルーピングが機能しておらず、売場での判別が難しかった。

 ケース下段は500~1500円の商品で構成されており、商品が見やすいケース上段高単価をねらう仕掛けが行われているようだ。冷蔵ケースは上段まで精肉商品で埋め尽くされており、関連販売は行われていない。関連販売は、加工肉と鮮魚のケース間に設置された棚で行うだけにとどまっている。

 品揃えは全体的に、味付肉や半加工品のアイテムを充実させている。香川県の名物料理である骨付鳥の半身や有名飲食店監修のから揚げの半加工品のほか、カブリトンテキを略した「カブテキ」といった目新しさを感じる商品も販売。加工肉は生ハムから売場をスタートさせ、おつまみ需要や単価アップを狙った売場配置となっている。

 ハム・ソーセージはライフPBを中心した下段配置で、割安感を訴求し、購入頻度の増大を狙っているなど、部門内でメリハリの利いた商品構成を行っている。また、ひき肉は店内加工の対応で、質を意識しているようだ。周辺店舗ではセンター経由のアウトパック加工が多い中で、来店頻度向上につながるアイテムについては店内加工で差別化を図っているとみられる。

「つま無し」の刺身に注目!

 鮮魚は冷ケース24尺、対面型の冷ケース約10尺、平台1台の構成である。平台は、「うを鮨」の寿司と刺身コーナーで構成されている。平台の刺身コーナーでは、「つま無し」のシールを貼付した商品が目立つ。つまが無くても立体感のある盛り付けが可能な容器を使用しており、見映え的には「つまあり」の商品と大きな差がないように筆者は感じた。つまがゴミとなりやすいのであれば、SDGsの観点からも顧客からの要望が高まる可能性があるだろう。精肉のトレーレス包装に続く流れとなるか、注目したいところだ。

つまが入っていない刺身パックを充実させている。写真は大分県産のぶり刺身(398円)

 また、「うを鮨」では、鮮魚売場で拡販しているサーモンをメインとしたにぎりや手まり寿司など、単身世帯向けの少量サイズだけでなく、家族向けのサイズも充実させている。対面コーナーに加えて、平台でのマグネット機能を高め、店奥への誘導を図るというねらいもありそうだ。

「うを鮨」で販売していたサーモンがメインの握り寿司(980円)

 そのほか冷蔵ケース内では、ライフオリジナル商品として機能性をアピールした「お米由来の乳酸菌」の銀鮭をレギュラーアイテムとし、厚みのある大切りサイズも用意することで、一品単価の増加を狙っている。また、刺身コーナーにおいては、マグロやサーモンを下段で展開し、中段では、手軽な利用に適した「おつまみ食べ比べ盛」を2種類展開していた。刺身に加えた「もう一品」のアイテムとして購入を促している。

ホタルイカ、ホタテ、わかめがセットになった盛り合わせ(398円)

 また、鮮魚売場の隣にはライフの自然派PBである「ビオラル」コーナーを設けている。主通路の脇に設置し、店舗全体のアイコンとしての訴求を行っているのがわかる。青果のオーガニック商品、精肉のブランド肉、鮮魚の市場直送と併せて、メッセージ性をアピールしてライフのイメージ向上を図ろうとしているのだろう。

小型店でどう差別化を実現するか

 日配は、購買頻度の高い商品売場を分散して配置することで回遊性を高めようとしている。牛乳、豆腐、納豆をそれぞれ異なる位置に配置しており、縦割り陳列を行うことでわかりやすい売場となっている。豆腐と納豆は2ケタ売価から200円台の価格幅で絞り込んでおり、取扱商品は多く、品揃えの豊富さがよくアピールできている。

 牛乳は500円台までの商品を用意し、より強いこだわりを意識しているのがわかる。定番商品だけでなく、こだわり商品の目的買いへの対応は来店頻度アップの原動力となるだろう。購入頻度の高い日配売場の商品構成は、来店頻度の向上を狙うための評価軸としてチェックしておきたいところだ。

 そのほか冷凍食品はライフオリジナルの商品開発が進んでおり、PBの陳列スペースが増えているようだ。ミールキット、ワンプレート、スープなど、近年需要が増えているカテゴリーでの拡大が目立つ。

 飲料は冷蔵効率を考慮した開閉式ケースを使用。ビールは高さ2m以上の大型のオープンケースを導入しており、おそらく商品の取りやすさというよりも品揃えの充実を意識しているのだろう。即食需要に合わせて、このあたりの商品群もメリハリをつけた対応を行っているとみられる。

 ライフ池袋三丁目店を見ると、生鮮部門での特徴の打ち出しが明確であり、他店との違いがうまく訴求されている。高単価アイテムを展開しながらも、定番商品については値頃感が意識されており、“割高感”をお客に感じさせない配慮がされている。価格の安さだけでなく、選択肢の多さや店の独自性を打ち出す姿勢が、エリア内での棲み分けや優位性を構築するためのポイントになっていると言えそうだ。

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