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おうちでスポーツ観戦、勝負は前半戦!売り込むべきカテゴリーとは?

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年6月11日 1時5分

TVの前で食事をしながらスポーツ観戦を楽しむ層はファミリー層であり、販促を強化すべきカテゴリーもファミリーに好まれるかどうかを判断基準とする必要がある(写真はイメージ、iStockよりvladans)

2024年は国際的なスポーツ大会が開催され、家庭でのスポーツ観戦市場の拡大が見込まれる。誰が、いつ、何を食べながらスポーツ観戦を楽しんでいるのか?生鮮、総菜を含めたPOSデータ、検索データを分析してねらい目のカテゴリーを紹介する。

家でスポーツ観戦
TVの前で食事をしながらスポーツ観戦を楽しむ層はファミリー層であり、販促を強化すべきカテゴリーもファミリーに好まれるかどうかを判断基準とする必要がある(写真はイメージ、iStockよりvladans)

「おうちでスポーツ観戦市場」のねらいはファミリー層

 2024年はフランス・パリで4年に一度の国際的なスポーツ大会が開催される年であり、TVの前に釘付けとなる方も多いのではないだろうか。この大会が開催されている期間中はスポーツ観戦をしながら食事やお酒を楽しむシーンが増えるため、スーパーとしても売上を伸ばすためのよい機会と考えられるが、昔と違ってスマホやタブレットが普及し、TVで見る機会は減ってきているようにも思われる。検索データでスポーツ大会をどう視聴しているのかを調べてみたところ、【図1】にあるように、この大会との同時検索で「スマホで見る」、「見逃し配信」を検索している年代は若年層となっている。同様に「テレビ放送」を検索している年代を見てみると40代の子育て世代がピークとなっており、TVの前で食事をしながらスポーツ観戦を楽しむ層はファミリー層であり、販促を強化すべきカテゴリーもファミリーに好まれるかどうかを判断基準とする必要があると考えられる。

【 図1】 同時検索ワードの年代別構成比

 では、TVでスポーツ観戦をしながら何が食べられているのか? 2021年の東京大会時と2020年の同時期とを比べて、どのカテゴリーが伸びているかを見ることでねらい目のカテゴリーを抽出してみた。

 2020年比は以下の4つの期間でそれぞれ値を算出した。①大会前:7月1日~7月20日、②大会前半7月21日~7月31日、③大会後半8月1日~8月8日、④大会後8月9日~8月31日。2020年比が①~④までの期間ですべて高いとそのカテゴリー自体がアップトレンドであるという可能性もあるので、②、③の期間が①、④の2020年比より高くなっているカテゴリーに注目した。

「おうちでスポーツ観戦市場」は前半戦が勝負

 2021年7月21日~8月8日の期間で開催された東京の大会そのものについての検索推移を週別で見てみると、期間中ずっと高いままだが、「テレビ放送」のピークは前半戦に偏っていることがわかった【図2】。番組中に次の試合の日程が放映されるので調べる必要がないということも考えられるが、実際に食品の支出金額について2020年比の動きを見てみると、スポーツ観戦の必須商品であるビールやにぎり寿司、焼き肉用の和牛などは大会前半の伸び率が高く、後半は鈍化していることから大会前半にしっかり販促をかけることが重要であると考えられる【図3】

【図2】 テレビ放送の週別検索状況

【 図3】 期間別2020年比

 【図4】に大会の前半に伸び率が高く、売上も大きいカテゴリーをまとめた。ビールやチューハイなどのアルコール飲料、お茶や炭酸飲料などの飲み物が多いので、これらと一緒に食べられる菓子や刺身などのつまみ関係の充実は必須となる。また、家族みんなで観戦するためかデザートとなるアイスやゼリーなども大会期間中に伸びており、強化が必要だ。加えて、観戦中は手づくりするのが面倒となるためか、冷凍総菜の伸び率が高くなることも見逃せない。

【図4】 大会前半に需要が高まるカテゴリー

 後半はお盆が近いということもあり出費が抑えられる傾向もあるようだが、【図5】にあるように寿司種セットや焼き肉用セットなど若年層に買われやすい商品については大会期間中ずっと2020年比が高い状態を保っているために、後半は簡便でお得感のある商品の強化がねらい目となるのではないだろうか。

【図5】 大会後半まで好調なカテゴリー

定額減税で生じる消費意欲をねらう

 近年の記録的な物価高を背景に、2024年6月から納税者を対象とした所得税3万円、個人住民税1万円の定額減税が実施される。定額減税は、働き方や家族構成で実施方法や減税額が変わるなど、少し複雑な制度となるが、大まかに言えば4人家族であれば総額で16万円減税され、6月以降も総額分となるまで毎月減税されるので、世帯によっては大会期間中も財布の紐が緩くなる可能性がある。

 2020年、コロナ禍の時に定額給付金が1人当たり10万円、総額で約12.8兆円給付されたが、内閣府の調べでは8割が貯金に回され、2割の約2.6兆円が使われたとのこと。今回は総額約5兆円(給付金含む)となるので、同じく2割が支出に回されれば6月以降約1兆円分の消費が増える可能性があるのだ。もちろん、食品だけではなく洋服や旅行などの消費に回るケースもあるが、「スポーツ観戦を楽しくおいしく!」というテーマでしっかり売場づくりをし商品をアピールすることで、4年に一度のスポーツの祭典を存分に楽しんでもらえるようにしたい。

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