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最新版!アメリカ小売業ランキングトップ10 成長続くも業態・企業で明暗

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年6月9日 20時59分

(出典:Walmartの企業サイト)

コロナ禍の需要増やEC売上のさらなる伸長などによって、ここ数年力強い成長を続けてきた米国小売市場。2023年も引き続き堅調な伸びを示したが、長引くインフレによる消費マインドの低下や消費行動の変化を受け、企業や業態によって明暗が分かれる結果となった。また、各社の成長率は過去数年間と比べて見劣りするケースも目立ち、ここにきて経営環境は大きく変化し始めている。ランキング上位企業を中心に最新動向をまとめる。※1ドル=150円換算

小売販売総額は約647兆円 トップ10社中3社が販売額減少

 2023年の米国小売(自動車、ガソリン等の燃料を除く)の市場規模は対前年比3.7%増の4兆3181億ドルに上り、日本円にして約647兆円となった。18年からの過去5年間の年平均成長率は6.4%で推移している。

 販売額ランキングでトップ5に入ったのは、ウォルマート(Walmart)、アマゾン(Amazon.com)、CVSヘルス(CVS Health)、クローガー(Kroger)、コストコ・ホールセール(Costco Wholesale)。この顔ぶれは前年から変わらずの結果となった。

 6位以降は、ターゲット(Target)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance)、アップル(Apple)、アルバートソンズ(Albertsons)、ホームデポ(Home Depot)の順。こちらも同じ顔ぶれだが、アルバートソンズがホームデポを抜いて9位に上昇している。

 一方、前年対比を見ると、ターゲット(2.3%減)、ウォルグリーン(9.2%減)、ホームデポ(3.3%減)の3社が販売額を減らしている。前年のランキングではウォルグリーン1社のみだったことを考えると、トップ10企業でも経営環境が厳しさを増していることがみてとれる。

テクノロジー投資加速するウォルマート、リアル店舗の”選択と集中”進めるアマゾン

ウォルマートは引き続き高い成長率をキープ
ウォルマートは引き続き高い成長率をキープ

 今回も盤石のトップを維持したのは世界最大の小売企業であるウォルマートだ。同社の販売額は前年から6.8%増と相変わらずの好調を示している。

 同社はインフレ下で価格競争力の高さから高所得者層を中心に顧客層を拡大させたほか、従前から取り組んでいる店頭受け取りサービスをはじめとするECのサービス拡充・浸透が進んでいることが大きく作用した。24年以降は出店を加速する計画も明らかにしており、実店舗とそれを拠点とするEC事業のさらなる成長が期待される。

アマゾンのリアル店舗事業は停滞が続く
アマゾンのリアル店舗事業は停滞が続く

 対して、小売販売額ランキングでウォルマートに肉薄する勢いを見せてきた2位アマゾン(Amazon.com)は、やや足踏みの状態が続く。販売額の伸び率こそ10%を超えてはいるものの、ここ数年間の伸び率を比較すると鈍化がみられる。

 とくにリアル店舗事業は低迷が続いており、22年初頭には「アマゾンブックス」「アマゾン4スター」などの実店舗フォーマットを一気に閉鎖。22年5月に鳴り物入りで出店したアパレルの実店舗「アマゾンスタイル」についても、23年11月に撤退を決断している。現在は食品スーパー(SM)の「アマゾンフレッシュストア」と、レジレス店舗「アマゾンゴー」に集約されているものの、この2フォーマットも出店スピードは停滞している。

EC投資を加速させるクローガー インフレ下でコストコは絶好調

クローガー外観
米SM最大手クローガーの今後の成長戦略に暗雲が垂れ込めている

 米SM最大手のクローガーは、販売額こそプラスを維持したものの、取り巻く環境には暗雲が垂れ込めている。1つは、22年に発表した業界第2位のアルバートソンズとの合併が反トラスト法(日本の独占禁止法にあたる)に抵触する疑いから、米政府が阻止する動きを見せていることだ。複数の州からも提訴されるなど、事態は暗礁に乗り上げている。

 また、21年に英オカド(Ocado)との提携によって稼働を開始している大型物流施設「カスタマー・フルフィルメントセンター(CFC)」の新規設置を凍結。さらに既存CFCについても一部を閉鎖しており、物流の根幹をなすCFC戦略の見直しが今後業績にどう作用するか気になるところだ。

 他方、インフレを追い風に成長を続けるのが、5位コストコだ。23年の販売額は前年から6.0%増、米国の既存店売上高も前年を超えている。新規出店も積極化しており、昨年末にはウォルマート系の同業サムズ・クラブ(Sam’s Club)の店舗数を上回るなど、存在感をより高めている。

コストコはインフレを追い風にさらなる成長が続いている

 6位のターゲットは前述のとおり前年から販売額を減らしたものの、物流システムの効率化やプライベートブランド商品の販売強化により、収益改善が進んでいる。出店戦略面では、最近新たに開発した大型フォーマットと、既存の標準フォーマット、さらに大都市圏内をメーンとする小型店のマルチフォーマットでの出店を加速している。

 長引くインフレによる経営コストの高騰、そして業態を超えた競争激化は米国においても共通の事象だ。そうした厳しい経営環境の中で成長を持続させるべく、各社は出店、フォーマット開発、EC強化、物流効率化といったさまざまなテーマのもと試行錯誤を続けている。

 

 

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