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トライアルが「日本のシリコンバレー」を福岡に本気でつくりたい理由

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年6月26日 20時59分

福岡ベイエリアを日本のシリコンバレーにする。これがわれわれトライアルグループがめざす新たな目標です

前回、われわれが産官学連携事業として2020年に開設した「リモートワークタウン ムスブ宮若」(以下、ムスブ宮若)について詳しく説明しました。本連載最終回となる今回は、そのムスブ宮若での取り組みをさらに大きなものにすべく、福岡ベイエリアという広大なエリアを拠点にDXを加速させるというわれわれの壮大な目標について解説します。

「ムスブ宮若」で得られた知見の大きさ

 リテールDXの取り組みにおいては、われわれがこれまで重視してきた、流通産業に関わる多くの企業が垣根を超えて「リテールDX」に挑戦するという考えを多くの企業の皆さまに理解・賛同いただけるようになってきました。最近では本来は競合であるはずの小売企業、さらには通信・IT・IoT企業との連携も進んでいます。

 これまでの記事でも紹介してきましたが、いくつかの例をここで挙げておきます。

 九州大学様とは「ライフケアテックコンソーシアム」という形でメーカー・卸の賛同企業も含め医療分野での連携を開始しています。https://diamond-rm.net/technology/477109/

 日本電信電話(NTT)様とは、サプライチェーンの最適化実現に向けての取り組みを「デジタルツインコンピューティング」を使い開始しています。https://diamond-rm.net/technology/id-pos/477104/

 世界でも高いレベルの顔認証技術を有する日本電気(NEC)様とはパートナーシップを結び、顔認証技術の社会実装に向けて動き始めています。https://diamond-rm.net/technology/476678/

飲食施設「グロッサリア」と宿泊施設「虎の湯」など、小売以外の事業や店舗からも多くのデータを得られている
飲食施設「グロッサリア」と宿泊施設「虎の湯」など、小売以外の事業や店舗からも多くのデータを得られている

 この4年間でムスブ宮若からは期待を超えるさまざまな気づきを得ています。研究施設の運営がダイレクトに事業の発展につながるのは言うまでもありませんが、一般のお客さまとの接点を持つ中でも多くの発見がありました。それは、人々の毎日の生活と買物には「食」と「健康」が密接に結びついており、飲食施設「グロッサリア」や宿泊施設などの運営を通じて、小売事業で得られる情報には限りがあるということです。

 また、参加いただいている企業様からは、「顧客視点でのショッパーマーケティングを行うことができるため、ロイヤルカスタマーが伸びていることが明確になった」というお話や、「購買情報を基にしたデータでの分析ができているため、お客さま視点で商品を開発することが可能となった」などのお声をいただいています。

 さらに各企業様から共通していただくのが、「ムスブ宮若への参画によりデータの活用方法がよりクリアになった」、そして「そのデータからお客さまの行動を分析しどのように商品や販促に生かすかという道筋が立てやすくなった」といった反応です。

福岡ベイエリアを日本のシリコンバレーに

福岡ベイエリアを日本のシリコンバレーにする。これがわれわれトライアルグループがめざす新たな目標です
福岡ベイエリアを日本のシリコンバレーにする。これがわれわれトライアルグループがめざす新たな目標です

 このようにムスブ宮若での取り組みが日に日に大きくなっているなかで、われわれはより大きなフィールド――「福岡ベイエリア」全体を拠点に、米シリコンバレーのような場所をつくりたいと考えています。

 サンフランシスコのベイエリアに、さまざまな企業がスタンフォード大学との産学連携を図るべく集結し、その結果形成されたのがシリコンバレーです。そう考えると、すでに日本有数の企業が集まるムスブ宮若を起点に福岡ベイエリア全体で、多くの大学や企業とともに産学連携を推進し、さらなるイノベーションにつなげていくということは、決して絵空事にはならないはずです。

 ですからわれわれはこれから、さらに多くの企業に福岡ベイエリアに来ていただき、DXをともに進めていくことをめざしていきます。

「横連携でのDX」のイメージ
「横連携でのDX」のイメージ

 ムスブ宮若の運営を行うなかで得られた大きな財産は、他企業や他団体との連携による新たな知見やそこから誕生する新しいアイデアの数々です。

 トライアルであれば小売に関するデータを、それ以外の企業も自社ならではの知見や経験を持っています。常に変化していく生活者のニーズをとらえるには横連携が不可欠であり、自社のデータだけだと研究や分析に数年数十年と時間がかかってしまうことも、視点の違うデータを参照すれば一気に時間の短縮ができ、最短距離でゴールに向かうことができるかもしれません。何より、そこでしか得られない価値が生まれると確信しています。

 流通業全体、ひいては日本の産業全体を前進させるきっかけとして業種や企業の枠を超えた連携を軸にイノベーションを起こし、それらが最終的には目の前のお客さま一人ひとりにこれまで以上にご満足いただけることにつなげられればと思っています。

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