「ロピア化売場」はどう変わった?「スーパーバリュー草加店」店舗レポート
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年7月16日 22時8分
スーパーバリュー(埼玉県/内田貴之社長)は埼玉県草加市にある「スーパーバリュー草加店」を昨年12月26日にリニューアルし、「ロピアコラボ店舗」に転換した。前編では「ロピア化」が進んだ生鮮売場を中心に生鮮売場を解説した。後編は日配・加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=2024年1月26、29、31日 ※本文中の価格はすべて本体価格
日配売場もロピア化! PBは減少?
日配売場は和・洋日配が一体化して展開されており、買いやすい配置だ。レジから見て正面右寄りの壁面30尺で和日配の納豆、豆腐など水物を配置。納豆は8尺で1段目に「タカノフーズ・極小粒納豆50g×3」(1個69円、4個259円)を販売。豆腐・揚げは16尺で、プライベートブランド(PB)の扱いは「SVセレクト」の「味わい絹150g×3」(4個299円)のみで、「ハギワラ・北海道産大豆350g×2」(109円)をメイン扱うなどロピアスタイルとなっている。漬物もキムチはロピアではおなじみの「高麗食品」が主力。麺も同様にロピアのスタイルを踏襲している。
洋日配は右壁面27尺で乳製品、38尺で冷凍食品、弁当素材、気軽にごちそうが楽しめる「ラクゴチ」やデザート、氷を展開する。平台では牛乳やヨーグルトを展開している。無調整牛乳はPB「SVセレクト」の「酪農牛乳1ℓ」(179円)、プレーンヨーグルトは21品目を扱い、「SVセレクト」の「酪農ヨーグルト(フレーン)400g」(1個119円、4個399円)で販売しているものの、「明治・ブルガリアヨーグルト400g」(149円)を主力としている。こだわり商品は「ヤスダ・ヨーグルト600g」(399円)のほか、「湯田乳業」「岩泉乳業」を扱う。洋日配ではスーパーバリューのオリジナル商品がやや目立つ。
冷凍食品は調査期間中、6割引き(一部除外品あり)セールを実施。冷凍食品の弁当素材は82品目を扱い、120~184円の価格帯で販売していた。餃子は14尺で餃匠「宇都宮生餃子30個」(799円)といった大型食材に加え、「味の素冷凍食品・ギョーザ12個」(194円)、「イートアンドフーズ・大阪王将 羽根つきスタミナ餃子12個」(176円)など22品目を展開している。
アイスクリームは個食109円を軸に、マルチパックでは「井村屋・あずきバー6本」(229円)、「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」各種を249円を販売する。冷凍食品もロピア化が進み、PB「SVセレクト」の扱いが少なくなった。
パンは埼玉県越谷市や鶴ヶ島市に店舗展開する焦がしバター食パン専門店「ブラウンバター」のコーナーをエンドで展開。「プレーン1.5斤」(750円)などを販売していた。通常の食パンは「フジパン・食パン8枚」(99円)を扱う。
卵は最終コーナーにあり、「プチ卵10個」(119円)や「SVセレクト」の「彩食健備白10+2個」(249円)を販売。堅実な対応であり、スーパーマーケット(SM)の通常スタイルの範囲内だと言えよう。
加工食品売場はロピアとの折衷型
加工食品・菓子・酒の売場は「ロピア化」とスーパーバリューの売場を折衷したような個性的な売場になっている。配置は前方に「即席麺」「米」「韓国食材」「スープ・即席味噌汁」「菓子」「飲料」、後方に「調味料」を陳列している。
「即席麺」のカップ麺は大型サイズのみの扱いで日清食品「カップヌードルBIG」(199円)、東洋水産「赤いきつね特盛り」(159円)を販売。袋麺は単品約100品目、「5袋入り」23品目を扱う。特に単品は盛岡市小山製麺「中村家監修帆立ラーメン」や愛知県小笠原製麺「瀬戸内レモンラーメン」など地方名産品を強化している。
「韓国食材」はロピア新店では縮小しているが扱っており、16尺で「菓子」「調味料」「飲料」「即席麺」を展開。「米飯関連」は12尺。ふりかけを6段棚の2段で展開する。「飲料」は広告を打ったサントリー「伊右衛門緑茶2ℓ」(129円)を打ち出し、水はPB「SVセレクト」の「天然水2ℓ×6」(339円)を販売している。
後方の「調味料」はカテゴリーによってめりはりを付けている。たれはロピアのオリジナル商品である丸越醸造をはじめ、山梨市のメーカーである味研や焼き肉店の叙々苑、南信州にある小池手造り農産加工所の商品など扱いは幅広い。
スパイスは18尺でエスビー食品を軸に展開し、ほりにしの「アウトドアスパイス」は加工肉のエンドに配置している。みそは12尺・74品目。マルコメなどの売れ筋に加え、ますやみそ「白みそ」、フンドーキン「無添加あわせみそ」、秋田浅利佐助商店「秋田みそ」などこだわりを見せる。めりはりを付けているものの、陳列方法はスーパーバリューのスタイルだ。
「酒」は売れ筋商品をベースにオーソドックスで堅実な対応。ビール系飲料と缶チューハイを重視した構成となっている。
「菓子」は前方の5レーンとレジ前で展開。注目は地域名産品である草加せんべいのコーナーを12尺・31品目で展開している点で「富士あられ本舗」「草加葵」「風見製菓」「栗原園」「川島屋」などの商品をギフト商品から袋物、大袋まで扱う。菓子大袋は21尺・7段で約83品目を扱っており、「ロッテ・チョコパイ9個」(299円)、「不二家・カントリーマアム19個」(199円)、「ブルボン・アルフォートファミリーサイズ」(199円)など売れ筋を価格訴求する。とくに力を入れているのが駄菓子・キッズ菓子で週末は子供が集まっていた。菓子売場はめりはりがあり、コンパクトにまとまっている。
30代~40代のファミリー客が増加
今回の改装で店舗にはどんな変化があったのだろうか。大きく変化したのは客層だ。同店の2階にある衣料専門店「サンキ」のスタッフに話を聞くと「子供連れなどお客が増えた」、店前のコンビニも店内テナント業者も「年配者が減り、30代~40代のお客が増えた」とのことで、客層が若返っているようだ。客層の変化は競合店にも影響を与えそうだ。
調査は改装して40日余り経過しており、売場には落ち着きが出てきていた。立地は週末型店舗だが、「平日でもお客の入りはいい」と駐車場スタッフは話していた。改装して客数が増えたのは間違いない。
駐車している車を見ると「春日部」ナンバーが8割を占めているが、「足立」「越谷」「川口」ナンバーも見掛ける。「ロピア化」は商圏拡大を伴い、地域での存在感を高めたようだ。
改装に伴って生鮮売場や日配売場が「ロピア化」されたが、売場を見た全体の印象はスーパーバリューらしい「親しみやすさ」のようなものが残されていた。ロピアの店舗は各部門が前に出ようとする意欲にあふれ、それぞれの売場に個性を感じるが、スーパーバリューは通常のスーパーマーケットのスタイルであり、バランスを重視しているのかもしれない。グループ入りしたとはいえ、スーパーバリューの企業文化はまだ残っているようだ。
ただロピアの商品構成や販促スタイルに慣れてくれば、この先はよりロピア化が進行していく可能性が高い。最大の課題は従業員の意識改革であるのかもしれない。
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