コープさっぽろ、日本生協連らが新設、よみきかせ絵本大賞が担う新たな子育て支援とは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年9月16日 20時55分
コープさっぽろ(北海道/大見英明理事長、以下、コープさっぽろ)、日本生活協同組合連合会(東京都/土屋敏夫代表理事会長、以下、日本生協連)らは、9月5日、「みんなのよみきかせ絵本大賞」を初めて開催することを発表した。「みんなのよみきかせ絵本大賞」は、「絵本のよみきかせが好きな人が、今一番よみきかせしたい絵本を選ぶ」をコンセプトに、これからの未来を担う子どもたちのために絵本を選出、表彰するというもの。少子高齢化が叫ばれる昨今、単なる「絵本大賞」ではなく、「よみきかせ絵本大賞」としたことにどんな意味があるのだろうか。
大賞受賞作は全国の書店コーナーで展開
コープさっぽろと日本生協連が、日本コープ共済生活協同組合連合会(東京都:以下、コープ共済連)、日本出版販売(東京都/奥村景二社長:以下、日販)、絵本ナビ(東京都/金柿秀幸社長CEO)と共に、新企画「みんなのよみきかせ絵本大賞」をスタートする。
同大賞は「園児さんと先生でえらぶ!よみきかせ絵本部門」「絵本大好きさんがえらぶ!よみきかせ絵本部門」の2部門で構成され、大賞が1冊ずつ選出される。
「園児さんと先生でえらぶ!よみきかせ絵本部門」で対象となる作品は、22年4月~24年3月に出版された新刊絵本20冊。コープさっぽろが行っている、小さな子どもがいる家庭に絵本を無償でプレゼントするサービス「えほんがトドック」で取引関係にある出版社20社から1冊ずつセレクトされるかたちだ。
この20冊の絵本を、コープさっぽろを含む全国の25生協の協力のもと、全国の保育園、幼稚園、こども園などの保育施設1000カ所に献本。すべての絵本を園児に読み聞かせたうえで、園児の反応や保育士の意見などを踏まえ、各保育施設が20冊の中から1冊選んで投票するという流れだ。
同部門は9月5日からエントリーをスタートし、10月は全国から対象となる1,000園が決定、12月までに絵本が到着予定。1~3月には実際に20冊の読み聞かせが行われ、各園から1冊ずつ投票される。
一方で、「絵本大好きさんがえらぶ!よみきかせ絵本部門」は「絵本の読み聞かせが大好きな方」、つまり一般消費者が対象となる。対象は、出版販売がされたことがある作品で、絶版となったものでも、現物が確認できれば投票可能だという。
同部門は12月に告知を開始し、1人1冊を推薦したのちに上位10冊が決定。さらにその上位10冊から最終投票するシステムとなる。
両部門とも2025年10月に開催する表彰式で大賞を発表し、11月〜12月から全道の幼稚園、保育園、書店、そしてコープさっぽろが運営する地域のコミュニティスペースである「トドックステーション」で受賞絵本の「よみきかせイベント」を行う予定だ。
大賞を獲得した絵本は日販の協力のもと、全国の書店でコーナー設置やイベントを開催する。なお、以降の同大賞は読み聞かせの期間を含め、長期の取り組みが前提となっているため、2年に1回の開催をめざすという。
子どもと先生の声を尊重したユニークな大賞に
コープさっぽろでは、先述の「えほんがトドック」を2010年から展開している。同サービスは、1~2歳までのこどもを対象に、無償で4カ月に1冊、計8冊を送り、親子のふれあいと子どもの成長を支える、というもので、現在までに累計60万冊の絵本を約13万人の子どもにプレゼントしてきた。
そのほかコープさっぽろでは、道内の保育園や幼稚園、子育て支援センターなどの施設を訪問し、無償で絵本の読み聞かせなどを行う「えほんわくわくキャラバン」という取り組みも2011年から行っている。これらのサービスの延長線上にあるのが、今回発表した「みんなのよみきかせ絵本大賞」というわけだ。
絵本は大人と子どものコミュニケーションツールであり、読書や教育の入り口でもある。ただ、大切な子どもに読み聞かせる本を選ぶという行為には、どんな絵本かいいのか、今どきの子どもに選んだ絵本は受け入れてもらえるかなど、自分1人ではわかりづらく選びにくいという 心理的なハードルが存在する。
選定された絵本が送られてくる「えほんがトドック」はそうしたハードルを乗り越えられるサービスとしても好評を博しており、実際に、「絵本に興味が出た」「読み聞かせが好きになった」という声が多く寄せられているという。「読み聞かせの面白さや絵本への思いをカタチにする絵本大賞を全国の生協と協同して作り上げたいという思いもあった」(コープさっぽろ広報部長の緒方恵美氏)
今回開催する「みんなのよみきかせ絵本大賞」は、その名のとおり、「よみきかせ」がテーマとなっている。「園児さんと先生でえらぶ!よみきかせ絵本部門」では、実際に読み聞かせを行う保育施設に投票権があるという、一般的な読者参加型企画とは一線を画したものとなっている。
この考えは大賞の在り方に直結し、「子育て支援はお金だけではなく、優良な文化の継承ということも重要な要素。そのような考えのもと、コープさっぽろの商勢圏だけでなく、全国の生協との取り組みとして広めていきたい」というコープさっぽろの大見氏の言葉にも表れている。
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