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合併によるスケールメリット生かした全体最適とエリア最適の融合をめざすJA全農Aコープ

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年9月24日 1時5分

Aコープ東日本、エーコープ近畿、Aコープ西日本の合併により誕生したJA全農Aコープ。同社はJA全農グループならではの鮮度の高い生鮮3品・総菜の品揃えと、全国165店舗のスケールメリットを生かしたバイイングで、他社との差別化をめざしている。

合併に伴い店舗事業統括本部を新設

──今年4月より、JA全農Aコープとして新たなスタートを切った貴社ですが、組織上での変更はありましたか?

江間俊明氏
常務取締役
店舗事業統括本部
商品部 部長
江間 俊明 氏

江間 当社はAコープ東日本を存続会社とし、エーコープ近畿、Aコープ西日本を吸収合併することで誕生し、スーパーマーケット165店舗、焼肉レストラン7店舗、セレモニーホール4会場、営業所7拠点、食材宅配センター18拠点という大所帯になりました。

 今回の統合で会社の売上高は1000億円超の売上規模となりました。今後はこのスケールメリットを生かしたバイイングとともに、統合によるノウハウの共有や運営コストの削減、収益性の改善につなげていきたいと考えています。

 組織については、東日本、近畿東海、中四国という統合前の各社の事業基盤を基にした事業本部を残しつつ、店舗事業統括本部という部署を新設しました。全国展開しスケールメリットを追求する取り組みを店舗事業統括本部が進め、生鮮・総菜を中心としたエリアに対応した取り組みを各事業本部商品課が進めていく配置となっております。また統合前の受発注システムがばらばらだったこともあり、今後2年間でシステムを統合するスケジュールを組んでいます。

──合併したことでバイイングの方法や店舗運営の方法も変わってきましたか?

江間 そうですね。今後、店舗事業統括本部が一般食品を中心とした大手NBメーカーの商品のバイイングを行い、全国で通用する商品については基本的に全店での取り扱いを実施していきます。

 これまでは大手NB商品でも地域・店舗によって品揃えや売価の異なることが多かったのですが、合併によるスケールメリットを生かした仕入れもできるようになり、今秋からは本部主導による定番棚割りを全店で導入しました。この棚割りを基に52週MDやチラシ販促、メーカーフェアといった取り組みを進めていきます。

 とはいえ、これまでの地域の食文化に根差した商品も大切にしなければいけません。その点、当社は各地域の事業本部に商品課機能を有していますので、こちらで地産地消のご当地メーカーや地場商品の品揃えを行い、店舗事業統括本部主導による全体最適と、各地域の事業本部によるエリア最適の融合を進めていく考えです。

国産原材料を優先使用、エーコープマーク品の魅力

── 2024年上期の市場環境を振り返っていかがですか?

江間 原材料費や人件費、物流コストの増加を背景にメーカー各社の価格改定が続いており、消費者も「余分なものは買いたくない」といった節約志向が働いています。

 他社も同様かと思いますが、価格改定により一品当たりの単価が上がったことで売上は前年を超えていますが買上点数は前年を割ってしまう。下期もこの課題に向き合い、買上点数の向上に力を入れていきたいと思っています

── 買上点数をアップさせるため、どのような施策を展開していますか?

江間 当社はJA全農グループの一員ということもあり生鮮3品・総菜の売上構成比が57%と、生鮮品にとくに強みを持っています。たとえば中四国エリアの事例ですが、今春は青果のバラ売りを行い、実績を出しました。根菜や果物は3個袋詰めなどで展開しがちですが、必要な量だけ買いたいという消費者の声も多く、バラ売りにすることでマルシェ(市場)の様な鮮度感も演出できます。また袋詰めの人員も削減でき、包装資材の削減にもつながりました。この成功を受け、今後は他のエリアでも水平展開していく予定です。

 またグループ企業の長野県A・コープでは、生鮮品について、メガサイズ・大・中・小と4種のパックを展開することで、単身世帯から大人数世帯まで幅広く対応し、買上点数を伸ばしています。こういった成功事例を社内で共有しながらよりよいMD施策に結び付けていきたいと考えています。

──JA全農グループではPBの「エーコープマーク品」にも注力していますね。

江間 はい。「エーコープマーク品」は、安全・安心な国内産の原材料を優先的に使用した価値訴求型のPBです。調味料類のほか、乾物、麺類、菓子、飲料に至るまで幅広いラインアップを展開し、原材料についても独自の基準を設け、主原料が国産100%であるものには「国産愛用マーク」を付けています。

エーコー プマーク品
JA全農グループのこだわりが詰まった安全・安心の付加価値型PB「エーコープマーク品」。左から「らっきょう酢」、「オイスターソース」

 今期は新商品として、近畿・東海エリア限定の「Aコープのえ~プリン」を発売します。同品は、エーコープ牛乳とJA全農たまごの指定農場で採れたたまごを使用したJA全農グループならではのこだわりが詰まった商品となっています。

Aコープのえ~プリン
近畿・東海エリア(一部店舗除く)で発売される秋の新商品「Aコープのえ~プリン」

 今後は価値訴求POPやチラシでの訴求、「エーコープマーク品」フェアといった販促活動を通じ、「エーコープマーク品」の魅力を消費者に伝える取り組みも強化していきます。

生鮮品の強みを生かし、こだわりの見える売場づくりへ

── 2024年下期、注目の新商品を教えてください。

江間 まずは、湖池屋の「KOIKEYA FARM」です。これはポテトチップスの原料であるじゃがいもを育む畑から商品化までをトータルコーディネートし、国産じゃがいものブランド化・価値向上をめざすプロジェクトで、8月に「白金ダンディ」「女神のえくぼ」の2種のオリジナルブランド芋を使用した商品が出ます。

 次は雪印メグミルクの「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクタイプいちご」ですね。健康志向の消費者が増えるなか、手軽で続けやすいドリンクタイプのヨーグルトは今後も伸長するとみています。

 今春に発売された日本コカ・コーラのラベルレス商品も引き続き注目しています。ラベルレスボトルの4本マルチパックは、環境配慮の点はもちろんのこと、捨てやすさやまとめ買いによる価格面での魅力もあって、消費者から好意的に受け止められています。

 最後はキユーピーの「深煎りごまドレッシングカロリーハーフ」です。幅広い世代から支持を集めるロングセラー商品のカロリーハーフということで注目度は高く、味も遜色ないことからよく動くだろうと踏んでいます。また、ノンオイルドレッシングシリーズも味覚向上のリニューアル品が多く、期待しています。

江間氏が選ぶ!秋・冬の注目商品

── 最後に、今後のマーケティング戦略についてお聞かせください。

江間 当社はJA全農グループならではの鮮度感のある生鮮の品揃えが特徴のスーパーです。今後もこの強みを生かし、他社にはないこだわりを反映させた独自性のある売場づくりをめざしていきたいと考えています。

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