最高益を記録!競争激化でもエニタイムフィットネスが絶好調の本当の理由
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月26日 20時55分
アメリカ発24時間年中無休のフィットネスジム「ANYTIME FITNESS(エニタイムフィットネス)」が日本で絶好調だ。国内マスターフランチャイジーとして直営店舗の運営とフランチャイズ展開を手掛けるFast Fitness Japan(以下、FFJ/東京都/山部清明社長)は最高益を記録。現在進行形で出店を続け、会員数を伸ばし続けている。顧客獲得の背景には何があるのか? これから先、どのような展開を目指すのか? FFJの山部清明社長に聞いた。
チョコザップを競合とは見ていない
エニタイムフィットネスは、アメリカで誕生したトレーニングマシン特化型の24時間ジム。世界で5,000店舗以上を展開している。FFJは日本におけるマスターフランチャイジーとして直営店舗の運営とフランチャイズを展開、全国1,163店舗 、会員数は93万5000人(※2024年9月末現在)に達している。
近年、日本におけるフィットネス人口は増加傾向にあり、顧客獲得競争が激化。その中で、二極化が進んでいる。1つが月額3,000円前後の「価格訴求型」で、もう1つがマシン特化型からプールやスパ設備までそろえるフルライン型を含む「価値訴求型」。月額7,000~8,000円のエニタイムフィットネスは後者に分類される。一方、価格訴求型を代表するブランドといえばRIZAPが運営するチョコザップだ。
この2強が約400ブランドあるとされる市場をけん引している。その後に続く3~4ブランドは150店舗前後と大きく差が広がり、1~5店舗の小規模な運営も多い。
「もちろん私たちもコロナ禍では苦しかった。すべてのジムを2か月ほど閉鎖して2割ほどの会員を失った。ただし、その後は右肩上がり。2022年3月の1,000店舗突破から年80店舗のペースで出店し、1店舗あたりの平均在籍会員数は800人を超えている。24時間利用でき、会社、学校、自宅とどこの近くにもエニタイムフィットネスがあり、いつでもどこでもトレーニングができる状況をつくり出せている。その利便性が高く評価されているのだと思う」(山部社長)
二極化したフィットネス市場で、もう一方の極を成す価格訴求型のジムについては、どう捉えているのだろうか。2022年7月に登場したチョコザップは、業界シェアトップの座をエニタイムフィットネスから奪い、全国約1,500店舗を展開するまでに急成長した。料金面で勝負するのは明らかに分が悪く、「仇敵」といえるのではないか。
「正直言って、競合とは見ていない。あちらは運動初心者を取り込んでくれていて、われわれは週2~3回以上しっかり運動したい人に選ばれている。運動習慣が根付き、広く浸透するように市場を盛り上げていくうえで、心強い仲間と認識している」
チョコザップが運動を始めるきっかけになり、その後、本格的にトレーニングしたいとエニタイムフィットネスの会員になる人も多いようだ。とはいえ、24時間365日運動ができるフィットネスジムというビジネスモデルは同じ。多くの人への訴求に成功し、93万人を超える会員を獲得しているエニタイムフィットネスが提供している「価値」とは果たして何なのだろうか。
世界展開する店舗の2割が日本に
エニタイムフィットネスの会員になれば、日本はもちろん海外の店舗にも、いつでも、どこでも行けて、マシントレーニングするのに追加料金は一切かからない。ジム内には高品質のマシンが充実し、ずらりと並んでいる。店舗によって時間は異なるものの、10時から19時頃まではスタッフアワーとして複数人のスタッフが常駐、マシンの使い方などを気軽に質問できる。深夜などスタッフ不在の時間帯でも、マシンの横にあるQRコードをスマートフォンで読み取れば、動画で使い方を見ることができる。
また2024年8月にリリースされた公式アプリには、自分専用のワークアウトプランを提案する機能が搭載されているほか、もっとも多く足を運んでいる所属店舗の混雑状況がリアルタイムでわかるようにもなっている。このようにデジタル技術を活用して利便性を高めているだけではない。アナログな面においてもエニタイムフィットネスのブランドを磨き、輝かせるために努めていることがある。
「安全・安心・清潔・快適な環境を守るため、約200のチェック項目を設けており、汚れた場所があればスタッフがすぐにきれいにする。そういった取り組みを毎日繰り返している。おかげでオープンから5年、10年経った店舗でも、ものすごくきれいで清潔だと評価されている。店舗スタッフという“人の力”が総合的なブランド価値を高めている」(山部社長)
世界展開するエニタイムフィットネス約5,500店舗のうち、実はその2割が日本国内にある。2024年4月、FFJは日本のみならず、ドイツのマスターフランチャイジー権を取得。シンガポールのフランチャイズオーナー企業も買収し、アジア、中東、中央アジアでの展開も計画している。日本のエニタイムフィットネスは他国と比較しても大きな成功を収め、海外進出にまで踏み込んでいるのだ。そこには、どのような秘密があるのだろうか。
社員寮や大学キャンパスにも出店
「グローバル展開しているエニタイムフィットネスの中でも、日本は直営15%、FC85%と直営店舗の運営比率が高い。世界的には直営2~3店舗で、残りはすべてFCという国と地域がほとんど。私たちは直営店舗で新しいオペレーションのやり方などをトライアルし、成功事例をFC店舗に共有して、一気に横展開している。そのサイクルが非常にうまく回っている」(山部社長)
日本国内のマスターフランチャイジーでありながら、海外にも展開を広げるFFJは、中長期目標で2028年3月期までの国内1,400店舗を目指している。FCや同業他社のM&A(合併・買収)による事業拡大を積極的に検討し、新しい出店スタイルにも挑んでいる。滋賀県、奈良県と健康増進のための包括連携協定を締結。秋田県ではTDKの社員寮、千葉県では東京理科大学のキャンパス内に地域住民も含めて誰でも利用できる店舗を出店した。
「病院の敷地に出店し、健康診断の結果が芳しくない人に体を動かしてもらう働きかけなどは以前からやっている。地方自治体、企業、教育機関、病院などと幅広くコラボレーションして、より多くの人に運動できる場を提供していきたい。中長期計画で目標としている1,400店舗突破は、すぐそこまで迫っており、一気に駆け抜けられるだろう。FCの運営を守るためにテリトリー制を採用しているため、都心部などではホワイトスペースが少なくなってきているが、まだまだ出店の余地は残っているし、打ち手もある」(山部社長)
現在、FC加盟企業は約170社。飲食業態のFC運営を手掛ける企業、パチンコホールなどアミューズメント事業から業態転換する企業のほか、警備業、鉄道事業など多方面の企業がフィットネス事業に興味を示し、FFJへのオファーがあるという。グローバル本部からは2,000店舗を超える展開を期待する声もあがっている。ただし、海外と比べて日本だけが異なっている1つある。その課題とは何で、どのように対処していくつもりなのだろうか。
新業態を自由が丘にオープン
日本におけるエニタイムフィットネスの会員は男性が8割で、そのほとんどを20~40代が占めているという。海外では男女比率はほぼ同じ。日本のみ大きく偏っている。FFJが掲げる「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」の理念を実現するためにも、この状況を見過ごすことはできない。
今後、エニタイムフィットネスではTシャツなどブランド公式グッズ、サプリメントやプロテインなどのECを含めた物販、パーソナルトレーニングの対応に力を入れていくという。そして、女性をターゲットの中心に据えた日本初の新業態「The Bar Method(ザ・バー・メソッド)」をスタートさせた。
「バレエのバーを使って体幹やインナーマッスルを鍛えるエクササイズで、姿勢をよくして、ヒップアップなどの効果を目指すスタジオプログラム。アメリカで急拡大しているブランドで、世界展開は日本が初めて。11月15日に自由が丘に第1号店をオープンさせた」(山部社長)
数多くの外資系企業で経営に携わってきた山部社長がFFJの舵取りを行うようになった2023年6月以降、毎月、本部のCEOやCOOと1対1でミーティングを行うなど、アメリカのグローバル本部との関係性がより緊密になっているという。もはやFFJはマスターフランチャイジーの1社というより、特別なパートナーと目されているようだ。
日本におけるフィットネス参加率は約4%。アメリカが20%弱、ヨーロッパは10数%、アジアでも10数%という国がある中で、まだまだ市場の伸びしろが見込まれる。単純計算でも参加率が1%上がれば人口10万人に対して1000人が増えることになり、今後、どれだけの人を運動習慣に目覚めさせることができるか。成り行きが注目される。
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