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5四半期連続100億ドル超え! 急成長続くアマゾンのリテールメディア事業 

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月19日 20時54分

〔写真説明〕アマゾンのロゴマーク看板(時事通信社)

アマゾン(Amazon.com)のネット広告事業が急成長している。その2024年4~6月期における売上高は127億7100万ドル(約1兆8800億円)で、1年前から20%増加した。一方、直営ネット通販の売上高は同5%増にとどまった。同社広告事業の四半期売上高が初めて100億ドルの大台を突破したのは22年10~12月期だった。続く23年1~3月期は95億ドルと、大台を割り込んだが、その後は回復し、24年4~6月期は5四半期連続の100億ドル超えとなった。

急成長を支える「3つの強み」

アマゾンのロゴマーク看板
〔写真説明〕アマゾンのロゴマーク看板(時事通信社)

 米調査会社、イーマーケターの分析によると、アマゾンの広告事業が成長している要因には、①購買意欲を持った大規模な顧客基盤、②強力な広告効果測定機能、③拡大する広告掲載枠、の3つがある。

 アマゾンのECサイトを訪れる人は商品を購入するという目的があり、ゆえに高い購買意欲がある。アマゾンはそうした顧客のサイト内行動データを豊富に持つ。それらのデータに基づき、広告主に対して効果的なターゲティング(追跡型)広告を提供している。これが広告事業が成長している要因の1つだ。

 イーマーケターによると、アマゾンの広告プラットフォームは広告効果の測定という点で優れており、広告主から高い評価を得ている。広告効果を正確に測定できることは、「広告主にとって非常に重要であり、そのためにクリック単価が上昇してもかまわないと思わせている」(イーマーケター)。これがアマゾン広告の成長を後押しする大きな要因になっている。

 3つ目の理由として、会員向けの動画配信サービス「プライムビデオ(Prime Video)」など、新たな広告掲載枠の拡大が挙げられる。アマゾンはより多くの広告収益を得るだけでなく、得られたデータを顧客情報に紐付けることで、より精度の高いターゲティング広告を配信している。結果として広告事業全体の成長につながるという好循環を生み出している。

 イーマーケターのアナリスト、ジェレミー・ゴールドマン氏は、「アマゾンのプライムビデオなどへの広告掲載の拡大は、大きな可能性を秘めている」と指摘する。今後の展開としては、広告リーチを拡大するための多額の投資が考えられる。例えば、米プロバスケットボールNBAとの年間18億ドル(約2600億円)の契約がある。アマゾンは、25~26年シーズンからプライムビデオでNBA試合のストリーミング配信を開始する予定だ。

リテールメディア市場、24年は17.5%増

 小売企業が自社のウェブサイトやアプリなど自社プラットフォームで展開する広告媒体「リテールメディア」が活況を呈している。英広告会社WPP傘下グループエムのリポートによると、リテールメディアの世界広告収入は今後も順調に伸び、28年にはテレビの広告収入を上回る見通しだ。

 このテレビの広告収入にはコネクテッドテレビ(ネット接続して動画配信を利用するテレビ)も含まれる。リテールメディアの広告収入は24年に前年比17.5%増、25年に同13.5%増で推移するとグループエムはみる。リテールメディアの伸び率は引き続きデジタル広告の中で最も高い水準で推移するという。

 広告主にとっては、ネット広告の出稿先を多様化できるというメリットもある。ネット広告市場では、米グーグルと米メタが先行している。これに対し、リテールメディアでは小売業者が自社サイトで独自に収集した購買履歴などの「ファーストパーティーデータ」を利用する。広告主にとってはプライバシー侵害へのリスクを回避しながら、効果の高い広告を出せるというメリットがある。ただしイーマーケターは、「今後、EC事業の成長鈍化が長引けば、リテールメディア事業にも影響が及び、収益を伸ばすことが困難になる」とも指摘している。

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