おいしい魚を食べる感動体験を!イオンが進める魚食拡大の取り組みとは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月20日 20時55分
イオンリテール(千葉県/井出武美社長)は、11月1日~4日の4日間、「イオン」「イオンスタイル」の合計380店舗で「プライドフィッシュ フェア」を開催した。同イベントでは、全国漁業協同組合連合会(東京都/阿部誠二代表理事:以下、JF全漁連)と協働し、JF全漁連の各県グループが選定した旬の魚 「プライドフィッシュ」、未利用魚を活用した新商品などを販売する。
おいしい魚を食べる感動体験を訴求
若年層の魚離れなどにより、1人当たりの魚介類消費量は2001年の40.2kgをピークに年々減少傾向にある。24年6月11日に公開された水産白書によると、21年度の魚介類消費量は22kgで、統計が始まった1960年度以降で過去最低となった。
農林水産省が2019年12月~20年1月に実施した「食料・農業及び水産業に関する意識・意向調査」では、「健康に配慮したから」を魚介類の購入理由に挙げられている。しかし、栄養面、健康面から魚を食べたいという意向はある一方で、実消費につながっていない。
魚介類の消費が落ち込む中、水産庁では、12年から簡単に調理できる水産加工品「ファストフィッシュ」の認定を開始した。同年、JF全漁連は、「ファストフィッシュ」と表裏一体の取り組みとして、おいしい魚を食べることによる感動体験を推進する「プライドフィッシュ」プロジェクトを開始した。
「プライドフィッシュ」は各都道府県の漁業協同組合連合会で選定され、 1県当たり最大16魚種まで選定することができる。24年10月31日時点では、全国で295魚種の「プライドフィッシュ」を選定し、HPで公開している。
選定条件は、「本当においしい漁師自慢の魚であること」「地元で水揚げされたものであること」「旬を明確にした魚であること」「各会員が独自に設ける、サイズ、水揚げ海域に関する基準などをクリアしている魚であること」などがある。
未利用魚を使った簡便商品も発売
水産庁では、官民協働の魚食普及の取り組みとして、22年以降、毎月3日~7日を「さかなの日」として制定している。この「さかなの日」の取り組みには小売業、メーカーなど約1000社が参加し、イオンリテールとJF全漁連もこの取り組みに賛同している。
さらに、水産庁は11月を魚食普及活動強化月間に位置付け、11月3日~7日を「いいさかなの日」として制定している。イオンリテールは、この「いいさかなの日」に合わせ、「イオン」「イオンスタイル」計380店舗で「プライドフィッシュ フェア」を開催した。
該当店舗では、新たに「プライドフィッシュ」に追加された「長崎の赤カマス」、石川県の「いしかわのサワラ」「いしかわの甘えび」など、全30魚種を展開する。なお、販売される魚種は地域ごとに異なり、水揚げ量や天候によって取り扱いのない店舗がある。
また、同イベントでは、天然魚だけでなく、養殖魚も販売する。24年は、愛媛県のみかんを餌にした「愛育フィッシュみかんブリ」の「レンジで漁師ののぶりのあら汁用」(税抜198円)、「レンジでぶりの煮魚用」(同598円)などの簡便商品をラインアップ。さらに、能登半島地震、洪水被害への応援として、石川県志賀町富来港産「西海サーモン」を約30店舗で販売した。
そのほか、規格外で市場に出回らない未利用魚も商品化している。過去、イオンリテールでは、未利用魚のガンゾウヒラメを使ったメンチカツや太刀魚メンチカツを店頭で展開してきた。今回は、背ビレに毒があり、食用利用されてこなかった長崎県産「アイゴ」を使った「あいごの香味野菜焼き用」を販売。縦にさばくことで背ビレを除去したうえで、香味パン粉をまぶし、香ばしく、ふっくらとした味わいに仕上げているという。
イオンリテールの水産商品部長の松本金蔵氏は「近年は、おいしい魚であるというのはもちろんのこと、時短への取り組みが必須であると感じている。今回の『プライドフィッシュ フェア』では『レンジであら汁』、『レンジで煮魚』『あいごの香味野菜焼き用』などの商品を展開し、魚の調理における面倒くささを解消した。毎回試行錯誤しながら、お客さまに喜んでいただき、食べておいしいという体験づくりを一生懸命取り組んでいきたい」と話した。
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