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AI投資で関心の高い6領域は?生成AI、小売業の期待と課題

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年12月18日 20時55分

peterhowell / istock

2022年に生成AIツールが発表されたことを契機に、AI市場は急速に盛り上がりを見せています。小売業においても生成AIを活用することで得られるメリットは大きく、大幅なコスト削減やマーケティング精度の向上が見込まれるため、世界中の企業が注目しているのです。しかし、生成AIを活用するための課題や障壁は多く、積極的な投資が行われるほどには至っていません。そこで今回の記事からシリーズとして、小売業における生成AIの課題と具体的な活用例についてご紹介します。

peterhowell / istock
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小売業における生成AIへの期待

 ビジネスの観点からAI投資に関心を寄せる層を対象としたアンケートによると、最も関心の高い項目として「顧客体験の改善」が挙げられました。接客やチャットボットなどの消費者対応のほか、業務の効率化や自動化・従業員の生産性向上・需要予測・欠品対応・需要期の予測やそれに伴うシフト編成など、さまざまな分野に期待が寄せられていることが分かります。

(出典:AI Will Transform Retail — But Success Hinges On Tech, Data, And Process)

 そんな生成AIですが、業種を問わず役立つ場面として最も重要な点は、コンテンツの作成にかかる時間とコストを大幅に削減できる点です。たとえば、挨拶文を数秒で作成したり、顧客に送るメールマガジンを瞬時に生成したりと、コンテンツの作成コストがほぼゼロに近づいています。

 従来であれば、1通のメールを書くのに510分かかっていたところが、生成AIを活用することで、数秒で完了するのです。この効率化は、テキストだけでなく画像や動画にも同様に当てはまります。

 生成方法も革新的で、これまでのシステムではある程度制約された枠組みの中で項目を入力し、それに基づいてアウトプットを得る形が一般的でした。しかし、生成AIは自然な言語や対話形式で利用できるため、ユーザーにとって非常に使いやすいのも大きな特徴と言えるでしょう。

  さらに、生成AIのもう一つの大きな進歩は、非構造化データのベクトル化が可能になった点です。たとえば、これまでは「1+1=2」のように、はっきりとしたルールがある処理を得意としていました。

 一方で、曖昧な文章を分類したり、感情分析をしたり、意図を読み取るといった非構造化データの処理は苦手とされていました。

 しかし、生成AIを活用することでランダムな文章や複雑なデータを処理できるようになり、文章や図面、写真、動画といった数値以外のデータも扱えるようになりました。このような技術を活用することで、大幅な業務効率化や品質向上が期待できるのです。

小売業における生成AIの課題

 一方、同アンケートでは生成AI活用においての課題も浮き彫りになっており、とくに「生成AIが出力する文章やデータから、どのように顧客インサイトやマーケットインサイトを得るべきかがわからない」という声が約70%にのぼりました。

(出典:AI Will Transform Retail — But Success Hinges On Tech, Data, And Process)

 インサイト(購買行動の根拠や動機・潜在的な欲求)を得るためには、まずAIに学習させるためのデータが必要ですが、小売業界では有用なデータを収集・蓄積する体制が整っていないケースが多く、これがAI活用を阻む要因となっています。

 また、社内におけるAIソリューションの教育や担当者の育成に課題を感じる企業も多く、テクノロジーの進化が著しい中で、常に新しい技術に対応することが難しい点も指摘されています。

  また生成AI活用の注意点として、何でもAIを使えば良いという訳ではなく、AIとの親和性が高い企業や業種が存在します。それを見極めた上で、社内でできる限り紙媒体ではなくデジタル化されたデータを蓄積し、そのデータを整理してAIに学習させる体制を整えることが重要です。

 たとえば、建設業では図面が手書きであることが多く、小売業ではアンケートが手書きのままであることも多々あります。これらの問題を解決し、デジタル化されたデータを保有することがAI活用の第一歩です。

  さらに、データの問題をクリアし、生成AIを使って画像や文章を生成できても、店舗スタッフの日常業務にはなじまないケースも多いのが現状です。

 たとえば、接客時にタブレットを持ちながら業務を行うといった形式は、既存のオペレーションに慣れた従業員には難しく感じられるでしょう。AIやシステムを日常の業務に組み込んで融合させることは容易ではありません。

 一方、ECサイトではパソコンを使ってデジタル化されたデータを処理することが多いため、AIが馴染みやすい環境といえます。

  また、業種によってはChatGPTGeminiなどの汎用AIが期待した成果を上げられず、不正確な結果を返すこともあります。そのような結果になる理由の1つとして、データ以外に業種に特化したルールやアルゴリズムをAIに学習させられていない点が挙げられます。

 実際に生成AIが流行して以降、業務に適合せず利用を控える企業も多く存在します。AIを効果的に活用するためには、業界ごとのルールやノウハウを学習させ、それを参照しながら運用することが不可欠なのです。

  以上、生成AIへの期待と課題をお伝えしました。次回の記事では生成AIを活用するための7つの具体的をご紹介し掘り下げます。

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