高密度の都市立地に出店! 「ロピア茨木東太田店」の売場を調査
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2025年1月5日 20時58分
ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)は大阪府茨木市のホームセンター、DCM茨木店の跡地に「ロピア茨木東太田店」(以下、茨木東太田店)をオープンした。人口が多い都市部に開いた、やや小ぶりの店だ。同店はどのような売場づくりをしているのだろうか。
調査日=2024年7月10~12日 ※本文中の価格はすべて本体価格
今後の都市部への出店を見据えた
茨木東太田店は、大阪府茨木市の東端、隣接する高槻市との境付近にある。茨木市は人口約28万人、高槻市は同約35万人を擁し、大阪市と京都市の中間位置にあることから、ベッドタウンとして発展している。
同店は、両市を通る国道171号線から約30m離れた、奥まった場所に立地しており、周辺はマンションが多い住宅街だ。
大阪市と京都市を結ぶJR東海道線と阪急沿線は人口が多く、SMにとっては魅力のある地域だ。とくに、茨木市と高槻市の住民は生活スタイルが都市型で、小売業にとっては外せないターゲットとなる。
高槻駅と茨木駅周辺には大型店が並び、国道沿いにも大型専門店、食品スーパーなど、商業施設が多い。
ロピアにとっても魅力のある地域で、茨木東太田店はロピア京都ヨドバシ店(京都府京都市)と大阪をつなぐ店舗でもある。ロピアの都市店舗進出への強い意志を感じる。
売場面積は約490坪(歩測)で、標準店と比べるとやや小ぶり。通路幅が狭く催事も少ないため、コンパクトにまとまっている。
生鮮ゾーンは約177坪(歩測)を確保している。関西地区でも都心の大型居抜き店舗を見つけるのは厳しくなってきたようで、4月に開店した「北加賀屋店」(大阪府大阪市)はスクラップで整地し、自らロピアモールを出店した。
ロピアの前身は「新鮮大売タカラヤ」であり、都市中心の展開だった。ロピアの都市への進出意欲は強いものの、今後の店舗展開を考えると、都市の物件確保の条件は厳しくなる。しかし、意外に候補地となる物件はあるのかもしれない。そのための都市型フォーマットであり、売場面積500坪以下でも出店可能なことを示した店舗であるのは間違いない。
彩り豊かな果物と野菜のバンドル販売
売場スペース構成比は生鮮が40%、日配23%で合計63%と標準的だ。
基本に変化はなく、生鮮売場の配置も標準スタイル。日配も基本的には壁面に配置し、安定感がある。全体に売場配置や商品構成で標準化を進めている。
部門別に売場を見てみよう。まずは青果売場だ。
入口の正面には、左右に色彩豊かな青果が並べられ、目に飛び込んでくる。正面の平台では、「清水の白桃4個」(999円)、「あらいの桃3個」(999円)をメインに陳列する。そのほか、スイカ、メロン、ブドウ、キウイ、チェリー、マンゴー、ビワ、イチジクなど幅広く扱い、いずれもカラフルに売場は演出され、担当者の執念と美意識が伝わってくる。
冷蔵ケースでは「スイカ1/8カット」(399円)、「イエロースイカ1/8カット」(499円)、「シャインマスカットどっさりスイーツ」(2999円)の試食販売を実施していた。高価な商品の試食への意気込みを感じる。
野菜はベーシック商品をベースに「キャベツ」(99円)、「キュウリ5本」(199円)など、価格訴求を絡めて販売する。とくに、バンドル販売に力を入れていて「レタス」(1個99円、2個169円)、「ブロッコリー」(1個159円、2個222円)、「アスパラ」(1束159円、2束220円)、「エリンギ」(1個99円、2個159円)などを展開している。売場では「八百物屋あづま」の屋号を引き立てる演出が行われていた。
鮮魚売場は丸物と刺身が充実
鮮魚売場は入口から見て右壁面36尺のうち20尺でマグロ、16尺で寿司、さらに8尺の什器で米飯を展開する。マグロは日替わりで「天然本マグロ赤身刺し身用(解凍)」(100g当たり500円)を提供。
寿司は「握り寿司」(18貫2390円、9貫1390円、30貫3900円)をベースに「サーモン握り寿司18貫」(1500円)、「アジ握り寿司8貫」(790円)、「生本マグロ握り10貫」(1290円)など、取り扱う商品の幅は広い。
調査日は土用の日に向けてウナギが強化され「超ウナ玉丼」(1390円)、「ウナギ丼」(690円)、「海鮮はみだし巻き4本」(1790円)を販売していた。
平台は2台を設置。前方はサーモン、右側にはブリの切り身、真ホッケ、カキフライなどを配置する。エンドではバラ売りのアユやイサキ、サゴシの丸物を、左側は生銀鮭、スルメイカ、真鯛などの切り身を展開する。
後方の平台はエンドで低価格な中国産ウナギを訴求する。右側は穴子白焼き、鮭、ちりめん、シラス干しを、エンドではハマグリ、アワビ、ホッキ貝を販売する。左側は真ガレイ、生メカジキ、ホッケ、イカフライ、ハモなどの切り身、特売はチリ産「銀鮭1切れ」(同180円)のばら売りで構成していた。
平場壁面は12尺で、冷凍の剥きエビ、シーフード、ホタテなどを配置。24尺で丸物、珍味、明太子を展開する。とくに、丸物コーナーでは、シタビラメや真鯛、真アジ、小アジ、黒メバル、スギ、ワタリガニなどに大分産「関アジ」(990円)もあり、関西ならではの幅広いラインアップだ。
このように、鮮魚は取り扱い商品が豊富である。切り身、フライ、塩干を分散し、丸物と米飯、マグロと相対する配置で売場の回遊性を高めるなど、陳列も工夫していて、担当者の商品のこだわりを感じる売場だ。周辺地域は生活レベルも高く、魚の鮮度、質感に関心が高いとみられる。競合店も生鮮には独自のスタイルがあり、より専門性を追求した印象を受ける。
ピザは平日と週末では価格が違う
総菜売場もほぼロピアの標準となるスタイルで構成している。壁面には、作業場と連動したピザを14尺で展開するほか、平日は、「お手軽ピザ」として「マルゲリータピザ」「てりたまピザ」など、6種類を1枚580円、2枚1100円、3枚2000円で販売する。
週末と月曜日はごちそうピザを展開し、 1枚980円前後で2枚1800円、3枚2550円で販売する。平日でも安定して売れている。
左側の平台はロピアのオリジナル商品で構成する。取材時は、「ミートグラタン」(777円)のほか、広告の品の「大きな皮のせシューマイ5個」(680円)、「エビマヨ」(中サイズ680円、大サイズ980円)がメインだ。
米飯は「ビーフガーリックライス」(580円)、「こだわりのオムライス」(680円)、「鮭はらこ飯」(800円)、「ウナギ姿寿司」(999円)などを揃え、価格差をつけるほか、豊富な商品バラエティーで展開する。
精肉は、定番商品の「ロピチキ」(4個680円、8個1200円)、「焼き鳥三昧」(各サイズ680円、1200円)、「UFOチキン」(999円)などを販売している。開店時は、ベースとなる定番商品がおおよそ店頭に陳列されており、お客を迎える体制はできていた。
隣は16尺冷蔵ケースが設置されている。右側前方は「白身魚と野菜のバジルソース」(880円)、「エビとホタテのアヒージョ」(同999円)、後方には「ロピアスイーツ」のPOPがあり、チョコレートケーキ、モンブランケーキ、純白ケーキなど、5種類(各999円)を2個1800円で販売。この商品は関西地区のみの扱いか。
背面は、定番の「ローストビーフサラダ」(各サイズ680円、1200円)、「エビとブロッコリーのサラダ」(680円)、「アサリビーフン」、「沖縄風そば」(600円)などを揃える。
壁面は12尺で、プリン、シュークリーム、「ポテトスティック」「プルプルミルクゼリー」など、定番商品を展開する。10時開店で、売場の商品展開数には余裕があった。総菜のレイアウトは機能的で買いやすく、鮮魚と精肉のつなぎの役割を担っていた。
後編では精肉と日配・加工食品などの売場を見ていきたい。
(店舗概要)
所在地 大阪府茨木市東太田1-6-10
開店日 2024年5月30日
売場面積 約490坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約165台(目測)
競合店 関西スーパー三島丘店(茨木市)、関西スーパー宮田店(高槻市)、万代高槻富田丘店(高槻市)
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