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小型店で都市部のプロ市場を深耕「コーナンPRO天神川高辻通店」

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2021年3月25日 5時0分

コーナンPRO天神川高辻店外観

コーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)は、プロ市場の開拓に力を入れている。近年は小型化を進めて都市部に進出すると同時に、品揃え、売場づくりを工夫、利便性、目的来店性の高いフォーマットを追求する。2020年11月に出店した「コーナンPRO天神川高辻通店」でも新たな取り組みが見られた。

コーナンPRO天神川高辻店外観
コーナンPRO天神川高辻店外観

店舗概要

オープン日:2020年11月20日
所在地:〒615-0057 京都府京都市右京区西院東貝川町78
電話番号:075-322-5700
アクセス:阪急電鉄京都本線「西京極」駅から徒歩10分
売場面積:300坪
営業時間:月~土・祝 6:30~20:00/日 9:00~20:00

21年2月期は15店を出店

 コーナンがプロ事業に参入したのは2001年1月。従来、プロ向けの資材や工具などは木材店、金物店、養生資材店といったようにカテゴリーごとにある専門店が取り扱ってきた。これに対し、ホームセンター(HC)事業を通じて培ってきたノウハウを生かし、それらの商品を1店で買える業態をめざし、開業したのが「コーナンPRO東淀川菅原店」(大阪府大阪市)だった。

 HCのようにチラシで集客する業態ではないため、当初は売上高が伸びず苦戦した。しかし小規模の工務店や一人親方、多能工職人といったプロの業者の間で、ワンストップショッピングできる使い勝手のよさが口コミでじわりと広がり、利用客が増えていった。これに伴って業績も伸長、繁盛店に育った。今も同店は連日、多くの利用客でにぎわいを見せる。

 同社のプロショップが強い支持を得るのは、単に商品が揃っているからではない。日々の接客を通じて得た要望や意見を売場へ反映させてきた、ユーザー目線の機動的な店づくりにある。利用者にとっては、いわばかゆいところに手が届く品揃え、サービスを提供する店舗がコーナンのプロショップであるといえる。

 プロ事業は、同社にとりHCに次ぐ主力事業に成長している。売上高は15年2月期時点の316億7100万円から伸び続けており、21年2月期はコロナ禍も影響し、前期と比較し大幅増で着地する見込みだ。

 コーナンではプロ市場の開拓余地はまだ大きいとみて、積極的な出店を続けている。18年2月期はプロショップを6店、19年2月期11店、20年2月期6店と毎年、HCとほぼ同数の新店を出してきた。さらに21年2月期については、15店とこれまでで最も多い新店を投じている。

 その中現在、力を入れているのが店舗の小型化である。ドミナントエリア強化とともに、都市部での出店も進め、プロにとってさらに利便性の高い店舗網の構築をめざしている。PRO営業部の多根井康之部長は「出店スピードを上げるには店をコンパクトにする必要がある。同時に品揃えに磨きをかけながら、お客さまにより満足いただけるプロショップを追求したい」と話す。

通路幅、売場配置を見直す

 前述のとおり、ここ数年、コーナンではプロショップの小型化を進めている。あらためてその取り組みを時系列で紹介しておこう。

 かつて同社が標準的な規模としていたのは面積700~800坪。しかしその広さの物件は、多くは出てこない。そこで以前より小さいサイズがあれば、利用者のニーズに応えられると考えた。

 チャレンジしたのは従来と比べて200~300坪小さい売場面積500坪タイプ。ただし売場を縮めても、その分、取扱アイテム数を減らせば利便性が犠牲になる。つまりワンストップで必要な商品を購入できるコーナンPROの魅力が低減してしまう。そこで規模は小さくするが、品揃えの水準は大きく変えない店舗をめざした。

 そうして出来上がったのが11年4月オープンの「コーナンPRO生野店」(大阪府大阪市)だった。同店では利用客の動線を徹底的に分析、通路幅や売場配置を大きく見直した。

コーナンpro 売場レイアウト
売場レイアウト

 大型資材を買い求めるお客は商品を台車に乗せ、レジまで運んで精算するため一定の通路幅を確保する必要がある。だがネジやクギ、接着剤といった小さな商品の売場回りはある程度、縮めても問題がない。これらを考慮しながらレイアウトを再設計、800坪と同様、約5万アイテムを維持したまま規模を4割近くも小さいフォーマットをつくることに成功する。

 取り組みはそこでは終わらず、さらに小型化を進めた。16年11月の「コーナンPRO吉祥院店」(京都府京都市)は売場面積400坪、19年9月オープンの「コーナンPRO東寺南店」(同)は同300坪で出店した。

 これらの店では通路幅や売場配置だけでなく、什器の高さも工夫。標準的な店舗は1800㎜だが、より高い2100㎜、2400㎜も採用。当初、売場の一部でそれらの高い什器を使ったが、吉祥院店ではすべての什器の高さを2400㎜とした。取扱アイテム数は4万強とやや少なくなったものの、それでも標準店とそん色ない品揃えを実現、来店客からも好評を得た。

青木氏と公庄氏
左:PRO営業部PRO営業グループの青木勝エリアマネージャ

右:コーナンPRO天神川高辻通店の公庄哲也店長

 PRO営業部PRO業態開市)は売場面積400坪、19年9月オープンの「コーナンPRO東寺南店」(同)は同300坪で出店した。これらの店では通路幅や売場配置だけでなく、什器の発グループの八坂健一郎マネージャーは、「今も新店のたびに棚密度を上げるなど試行錯誤を重ねている。今後もムダなスペースを削りながら、今後は売場面積150坪も視野に小型化に挑戦する考えだ」と述べる。

高さ2700㎜の什器で品揃えを実現!工具、金物、資材を強化

 コーナンが展開するプロショップのうち、最新店の1つが20年11月20日にオープンした「コーナンPRO天神川高辻通店」だ。売場面積は、一昨年に出した東寺南店と同じ300坪タイプ。

 京都府は、コーナンにとって出店強化エリアの1つ。同エリアを担当するPRO営業部PRO営業グループの青木勝エリアマネージャーは「ここ数年、とくに市内では徐々に店舗数を増やしている。どの店も成績がよく、お客さまからの出店要望も多い」と教えてくれた。今回、新たな取り組みは、従来、300坪タイプで使っていた高さ2400㎜の什器より、さらに300㎜高い、2700㎜を導入。これにより約3万2000アイテムを品揃えした。

 順に特徴あるポイントを紹介する。入口から店内に進み、まず目に飛び込んでくるのは奥に向かい真っすぐ伸びる主通路だ。通路を中心とし、その右側には電動工具、金物、左側には各種資材など、今回、強化したカテゴリーの売場を配置。コンパクトな店舗ながら吹き抜け構造であるため、開放感がある。

 電動工具売場でも高さ2700㎜の什器を使っており、これまでの同規模店と比べ約140SKUも多い商品を陳列している。電動のエアー工具も、主通路から見える場所に置くことで、専門性の高さを来店客にアピールする。

 資材では、東寺南店にはなかった商品も多く扱う。鉄筋、骨材、モルタル、砕石などの建築資材などは一例で、それらをまとめたコーナーを特設する。

 入口すぐ左手にある階段で2階に上がってすぐの場所には作業衣料売場がある。1階から2階へと続く階段の壁面にも衣料品を展示しているが、これは2階に来店客の回遊を促す工夫である。

 2階の一角にも、東寺南店にはなかった住宅設備コーナーを設けている。共同住宅向けの洗面台、トイレなどを扱う。このように商圏特性や来店客の購買動向を見ながら、各店で商品構成を変え、店舗網全体で京都エリアの需要に応えようとしている。

 これらの品揃え、売場づくりでプロからの支持獲得をめざす。公庄哲也店長は「お客さまの要望を聞きながら、必要とされる商品を増やしていきたい」と抱負を語る。

写真で見る、売場フォーカス

1.高さ2700㎜の什器で豊富な品揃えを確保

プロ向けフォーマットの小型化を進める一方、品揃えを確保するため、今回、新たに高さ2700㎜の什器を採用した。写真は電動工具売場で、従来の同規模店よりも約140SKU多い商品を陳列できるようになった。

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2. 吹き抜け構造で開放感ある店内

入口から店の奥に向かって真っすぐ伸びる主通路。そこに沿うように金物や資材、工具などの売場を配置する。コンパクトな店舗ながら吹き抜け構造であるため開放感がある。

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3. エリアで異なる需要に応じた品揃え

資材売場の一角では、東寺南店にはなかった鉄筋、骨材、モルタル、砕石などの建築資材コーナーを設けている。出店でドミナントエリアを強化する一方、エリアによって異なる需要に応じた品揃えを行う。

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4. 関連販売しやすい売場配置を工夫

入口を背に主通路の左側は資材、右側は建築金物などの売場になっている。資材のうち木材の向かい側にはネジやクギなど消耗品のゴンドラを置いており、関連販売しやすい売場配置を工夫する。

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5. 地道な店舗運営で支持獲得めざす

オープン後、来店客の要望に耳を傾けて徐々に品揃えを充実する方針。地道な店舗運営により支持獲得をめざしている。資材売場の一角に並ぶ「米松角杭」は要望商品の一例。

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6. 品揃えの豊富さをアピール

1階入口すぐの場所にあるサービスカウンタの壁面の上部には、各種発電機を陳列している。このようにちょっとしたスペースでも積極的に活用、品揃えの豊富さを来店客にアピールする。

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7. 2階の作業衣料売場へ

階段で2階に上ってすぐの場所に配置するのは作業衣料売場。1階から2階へ続く階段の壁面にも商品を展示することで、2階への回遊を促している。

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8. まとめ買い需要にも対応するPB

ゴンドラエンドでは、プロ向けプライベートブランド(PB)「PRO-ACT」のシリコン剤を陳列し来店客にアピールする。バラ売りだけでなく、まとめ買い需要にも対応、箱売も強化している。

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9. 騒音対策向けの商品を提案

吸音、遮音効果のあるスポンジパネルを提案するコーナー。パネルで囲った空間にある鈴を使って、実際に効果を確認できる。「生活騒音対策始めませんか?」と記したPOPを添えていた。

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10. 需要量の多い商品は在庫を拡大

作業工具の替え刃など、とくに需要の大きいものについては、商品を掛けるバーを伸ばし在庫量を増やしている。さらに赤いテープで目立たせ、来店客にも売れ筋商品であることを知らせている。

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11. 洗面台、トイレなど住宅設備コーナー

2階の一角には、前回、京都市内に出した東寺南店にはなかった住宅設備コーナーを設けている。共同住宅向けの洗面台、トイレなどを扱う。商圏特性により品揃えを変えている

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12. 奥行きの浅いゴンドラを導入

ゴンドラの標準サイズは通常、奥行き450㎜だが、随所で300㎜タイプを導入。購買頻度は低くても品揃えする必要のあるカテゴリーで使用している。

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