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売上拡大が続くロカボ商品!売上データから分析する、さらなる販売強化のポイントとは?

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2021年9月7日 22時30分

i-stock/maruco

コロナ禍での健康志向の高まりも相まって、近年も注目度が増している糖質制限食やロカボ商品。POSデータからどのような人がどういったタイミングで購入しているのか、購入者のニーズを分析し、生活者の関心データと併せてみることで、ロカボ商品の仕掛けるタイミングや販促方法の最適解を探った。

糖質制限、ロカボに対する生活者の関心の推移と直近の売上推移

 「糖質」「ロカボ」という言葉に対して、生活者はどのように関心を持ってきたか、Googleの検索推移を調べてみると、「糖質」は2011年頃から検索が急上昇、「ロカボ」は15年頃から伸びており、両者ともに直近も安定して検索されている。

健康のイメージ
ロカボ商品はコロナ禍での健康志向の高まりも相まって、近年も注目度が増している。 i-stock/maruco

 一方、食品スーパー(SM)でのロカボ商品の売上はどのように変化しているのだろうか。今回ロカボ商品を分析するにあたっては、商品名に「糖質」「ロカボ」を含むものに加えて、パッケージなどでこれらを謳っているもののうち、とくに売上の大きいものを抽出した。

 【図1】はロカボ商品の千人あたりの月別売上推移である。どの月も前年の売上を上回っており、大きく伸びていることがわかる。20年2月頃から売上が加速して伸びている背景には、コロナ太り解消や健康意識の高まりからロカボ商品を選ぶようになってきていることがあるかもしれない。

【図1】ロカボ商品の月別売上推移
出所: ㈱KSP-SP「KSP-POS」より食未来研究室作成 ロカボ商品は全カテゴリーより商品名に「糖質」「ロカボ」を含む商品群と 低カロリー甘味料、菓子カテゴリーより低糖質を謳った売上の大きい商品を抽出

ロカボ商品の効果的な販促タイミング

 では、このロカボ商品を生活者はどのタイミングで購入しているのだろうか。新商品の影響を省くために、19~20年に継続して売上のある商品に絞り、2年間の月別売上平均をみてみた。すると、3月から売上があがりはじめ、5月に1回目のピークをむかえ、9月に再びピークがきていることがわかった。

 その売上データと、クックパッドでの「ダイエット」の検索頻度(SI値)の月別推移を重ね合わせたグラフが【図2】である。左軸が千人当たりの売上金額、右軸が検索頻度となっている。「ダイエット」の検索頻度は1月、3月、5月にピークを迎えており、年始にも関心が高まっていることがわかる。ロカボ商品の1月の売上は現状低いが、正月太り解消といった生活者の関心をとらえてしっかりと販促すれば、大きな売上をつくれるチャンスがあるのではないだろうか。

【図2】ロカボ既存商品の月別売上金額と「ダイエット」の検索頻度
出所: ㈱KSP-SP「KSP-POS」、クックパッド㈱「たべみる」より食未来研究室作成
※売上金額、SI値ともに2019年~2020年の2年間の月別平均値 SI値は1000回あたりの検索頻度

 次に、年間を通しての仕掛けるタイミングを知るために、【図3】では曜日別のロカボ商品の売上をみてみた。SMの食品全体と比べて、月曜日と火曜日にロカボ商品の売上構成比があがっていることがわかる。商品を酒類や菓子、甘味料といったカテゴリー別にみてみると、とくに菓子や麺といった、その日からすぐにはじめられるカテゴリーでその傾向はより顕著に表れていた。

 週末の食べすぎの解消や週の始まりというキリのよさから、月曜日にロカボ生活をスタートさせる生活者が多いのではないだろうか。これらのことから、年間を通しては月曜日をロカボdayとして販促をかけていくことが重要である。

【図3】ロカボ商品の曜日別での売上構成比
出所:マギー㈱ i-codeMSデータより食未来研究室作成

ロカボ商品の生活者に喜ばれる売場づくり

 具体的な売場づくりの提案をするにあたっては、ロカボ商品の代表的なカテゴリーとして、クッキーやチョコレートのような乾菓子カテゴリーと、麺カテゴリーの2つに注目して分析していきたい。

ロカボ乾菓子購入者のニーズをとらえた売場づくり

~健康意識に訴えてついで買いをねらう~

 まずはロカボ乾菓子について購入年代や一緒に買われているものを調べてみると、50代に最も購入されやすく、同時購入では野菜や果物、機能性食品やナッツなどの手軽に食べられる健康的な食品の購入が多かった。50代といえばお腹まわりの脂肪や内臓疾患が気になってくる年代だ。

【表】ロカボ乾菓子購入時のバスケット金額と点数
出所:マギー㈱ i-codeMSデータより食未来研究室作成

 また、ロカボ乾菓子購入時のバスケット金額や点数の高さにも特徴があった。【】はロカボ乾菓子、乾菓子全体、SMの食品全体それぞれの購入時のバスケット金額と点数をみたものである。ロカボ乾菓子の入っているバスケットの平均金額は約3300円と、乾菓子全体が入っているバスケットの金額と比べると1.3倍、SMの買物客全体の平均バスケット金額と比較すると1.7倍と、非常に高くなっている。

 ロカボ乾菓子は単体で食べるものなので、ほかのものを買わせるトリガー商品になっているとは考えづらいため、健康志向の強い方についで買いされやすい商品ということではないだろうか。小腹がすいたときの間食用として罪悪感ゼロをアピールし、レジ横で展開してみてはいかがだろうか。

ロカボ麺購入者のニーズをとらえた売場づくり

~低糖質×高たんぱくがキーワード~

 続いてロカボ麺に関して調べてみた。【図4】はロカボ麺と麺カテゴリー全体の平日休日時間帯別での売上構成比をみたグラフである。麺カテゴリー全体は昼食として食べられやすいが、ロカボ麺は平日の夕方以降に購入されやすく、夕食として食べられていることがわかる。

【図4】ロカボ麺の平日休日時間帯別の売上構成比
出所:マギー㈱ i-codeMSデータより食未来研究室作成

 また、一緒に購入されやすいものを調べると、えびやささみ、サラダチキンといった低糖質、高たんぱくな食材との買い合わせが多かった。クックパッドでも「低糖質」や「ロカボ」との同時検索ワードとして「高たんぱく」という言葉は近年急上昇している。ロカボ麺の売場では「低糖質×高たんぱく」を謳い文句としたレシピ提案や、サラダチキンとの関連販売をすることで、夕食にしても満足感の高いロカボ料理を売場から発信することができる。

 以上、ロカボ乾菓子、ロカボ麺を代表として提案事例を紹介したが、ロカボ商品は購入者のニーズをとらえた売場づくりをしていくことで、より買ってもらいやすくなるのではないだろうか。

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