ウォルマートの企業買収ラッシュ:要点まとめ

DIGIDAY[日本版] / 2017年8月22日 11時50分

Amazonが買い物客離れの進む従来型の店舗に脅威を与えている。

これはウォルマート(Walmart)にとって、デジタルのポートフォリオを強化して、Amazonとの真っ向勝負を余儀なくされていることを意味する。ウォルマートは昨今、買収合併をすさまじい勢いで進めており、Jet.com、ボノボス(Bonobos)、ムースジョー(Moosejaw)、シューバイ(ShoeBuy)やモッドクローズ(ModCloth)を手に入れた。また、現在はバーチボックス(Birchbox)の買収に向けて動いているといわれている。

下記に、最近eコマースの買収を加速させているウォルマートの現状をまとめる。

鍵となる数字: 2017年の最初の3カ月間でのウォルマートのeコマースの売上は、2016年の第3四半期比で29%増だった第4四半期から63%増加した。(ウォルマートは、四半期の歳入報告でeコマース全体の売上高を公表していない)。 買収費用は合計40億ドル(約4400億円)。これには2016年に行なったJet.comの買収にかかった費用も含まれている。 Jet.comの買収価格は33億ドル(約3600億円)。企業の買収価格としては、史上最高額の取引といえる。 調査機関のプロスパー(Prosper)によると、2011年から2016年のあいだで、ウォルマートのeコマースを好んで利用した人の割合は2%減少した。それに対し、Amazonを好んで利用する人の割合は対前年比で15%増加した。 マーケティングコンサルタント企業マジッドアソシエイツ(Magid Associates)による、18歳から74歳までのアメリカの2750人の消費者を対象にした調査によると、ウォルマートの顧客でオンラインショッピングを利用している人の割合はわずか10%だという。 Amazonはホールフーズ(Whole Foods)の買収を137億ドル(約1.49兆億円)で合意。そのうち134億ドル(約1.46兆億円)が現金で支払われ、残りは債務となった。 ウォルマートが手に入れようとしているものとは

ウォルマートのeコマース部門のトップで元Jet.comのCEO、マーク・ロア氏の指揮のもと、この巨大小売店は履物類や男性ファッション、そして定期購入サービスを視野に入れ、eコマースのスタートアップを次々と買収する大胆な動きを見せている。小売業のブランディングを担うエージェンシー、セオリーハウス(Theory House)のプレジデント、ジム・カズン氏は、ウォルマートはこの一連の買収を通じて、普段はウォルマートで買い物をしないような上流中産階級の顧客を新たに取り込もうとしているという。そして、こうした新しい関係はさらなる利益をもたらすことが予想される。

ウォルマートはそれと同時に、それぞれのeコマースの買収に伴い、学習・意思決定を促進でき、スタートアップのメンタリティや果敢さを兼ね備えた新しい人材を経営の中枢に取り込んでいる。「ロア氏は、ウォルマートの『古参の』執行部よりもスピーディに、かつ思い切った経営判断を行なっている」とカズン氏は語る。

エージェンシーのデビッド & ゴリアテ(David&Goliath)でチーフ・ストラテジーオフィサーを務めるウェルズ・デービス氏もまた、この一連の投資を即座に回収できているウォルマートの戦略は、ウォール街からの賞賛に値するという。「これがもし、店舗内での体験だけに向けた投資だったとしたら非常に高くついただろうし、結果が分かるのにも、もっと時間がかかっていたはずだ」とデービス氏は語る。

それでも、従来型の店舗はウォルマートにとっていまだに大きな役割を担っている。ウォルマートのCEO、ダグ・マクミロン氏は、この一連の買収は非常に大きな注目を集めたが、eコマースに関する企業計画は成功への道筋を手に入れるためのものではない、と5月の収支報告で説明している。「現在はもちろんこの先も、有機的な戦略で成長していく」と、マクミロン氏は語る。

eコマースサイトの買収は、ウォルマートがAmazonと競合するうえでの助けとなるのか?

少なくとも、検索という側面ではそういえる。小売での買い物は、最終的には実店舗で行われるとしても、(Amazonが特に優勢な)オンライン検索からはじまるという場合がほとんどだ。つまり、より多くのeコマースの小売店の買収は、顧客のオンライン検索を勝ち取るためのゲームのようなものだ、とカズン氏は語る。

「Amazonが現在のトラフィックの大部分を占めているのは承知のうえだが、もし数多くの検索結果をウォルマートが提示できるようになれば、Amazonとの戦いの大きな助けとなる」。

デービス氏はまた、eコマースのスタートアップの手助けによって、ウォルマートがより高級な、顧客ごとに最適な体験を提供できるブランドになることができると信じている。

だが、ウォルマートがこの一連の買収によってどのぐらいの成功を納めることができるかを語るには時期尚早だ。結局のところ、最安価格を引き出すことが、いまだにウォルマートの中心的な価値だが、これは買収したeコマースのブランドの基盤とは異なるものだ。そして、企業文化も大きな挑戦となるだろう。たとえば、ウォルマートは社内での飲酒を禁止しているといわれており、Jet.comが毎週行なっていた木曜日の夕方のハッピーアワーは、社外で行わなければならなくなった。

「これらのブランドのいくつかは、ニッチな顧客に好まれている。だが、ウォルマートの手にかかったとなれば、顧客ロイヤリティに影響が出てくる」と、カズン氏は語る。「5年以内に、買収されたブランドのいくつかがなくなる可能性は大いにある。だが、リスクなくして報酬を得ることはできない」。

Yuyu Chen(原文 / 訳:Conyac)
Image from 米DIGIDAY
 

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