「 AI の広範利用は、いまだ危険」:不良データを理由にマーケターが懸念表明

DIGIDAY[日本版] / 2018年4月27日 8時50分

人工知能(AI)とは、簡単に言うと、データの意味を理解するコンピュータだ。だが、その肝心なデータをマーケターがAIに十分には供給できていない。あるいはさらに厄介なことに、無意味なデータを提供しているケースが多々あるのが現状だ。

4月第2週、カリフォルニア州サンタ・バーバラで、米DIGIDAY主催のAIマーケティング・サミット(AI Marketing Summit)が開催された。このサミットでは、マーケティング幹部らが、AI使用における可能性と課題について意見を交換。さらに前述した問題についても、大きく取り上げられた。

「データがないなら、AIに触りたいとも思わない」と、あるブランド幹部は語った。

「AIは補佐役でしかない」

4月12日のサミットでは、率直な意見を出し合う非公開の会合「タウンホール」において、あるブランド幹部は参加したマーケターたちに、現在AIプログラムに供給されているのは、お粗末な結果につながりかねない不良データなのか、と問いかけた。ある参加者の答えは「不良か否かの問題ではない。我々は実際、不良データをもとに決断を下している」だった。

とはいえ、幸いにも、主要な経営判断に関しては、マーケターはいまだAIに頼っていない。サミットの参加者がもっとも多く挙げたAIの使用例は、商品レコメンデーションの調整とマーケティングコミュニケーションのパーソナライズ化だった。また、主要判断に利用する場合も、あくまで再確認用に留めている。「AIは要するに意志決定の補佐役でしかないと思う。するべきでないことを忠告させるための存在だ」と、ある参加者は語った。

しかし、ブランドは一般に、将来的にはAIを利用して、より多くの業務を自動化したいと考えている。あるブランド幹部は、承認プロセスを自動化し、社内の規制要件遵守を確実なものにしたいと語った。

「5%のミスで、すべて台無し」

「人間が判断するのに1秒かからないことであれば、自動化できる。人間はミスを犯す。コンピュータは推定上、多くの場合、ミスを犯さない」と、米高級フィットネスクラブ、エクイノックス(Equinox)のチーフインフォメーションオフィサー、サミール・デサイ氏は4月11日、参加者を前にして語った。

もちろん、コンピュータもときにはミスを犯す。そして、そうしたミスの原因が提供されたデータの場合もある。たとえば、エクイノックスはAIを使い、自社ジムに来る人々の顔を認識させ、施設内をどう行き来し、どんな器具を使うのか、彼らの動きを追わせる実験を行なった。だが、多くのフォールスポジティブ(誤検知)とミスマッチが生じた。

「しかも、そういう結果を鵜呑みにしてしまうと、悲惨なことになる。わずか5%のミスで、残り95%は正しくても、すべてが台無しになる」と、デサイ氏は語る。

「データは削除すべきじゃない」

では、ブランドが取るべき対策は? 不良データを同定し、その情報をモデルにして意味を学ぶAIプログラムにそれが供給されないよう努めることもできなくはない。だが、ブランドはいまや、AIから有用性を引き出すために必要なデータの確保に追われている。

「データは削除すべきじゃない。どんなモデルにも、機能させるには、何億ものデータポイントが必要だ」と、サミット中、ある参加者は言った。

不良データの是正を、それを提供した可能性のあるユーザー側に求めるのもひとつの手だ。セミナーに参加したあるブランドは、彼らとのコミュニケーションに誤った言語を選択した人々に関する問題解決に向けて、これを実行するつもりだという。

正しいデータを集めるために

同ブランドは現在、顧客データを活用する予定のマーケティングキャンペーンについて、プライバシーに関する専門チームにデータを見直させている。不良データを提供した個人を特定し、彼らに個人情報をアップデートするよう通知するためだ。「ユーザーに[ブランドのデータ整理という]構想への参加を求めるのに近い」と、ある同ブランドの幹部は語った。

別のブランドも同様に、アカウント情報のアップデートを求めるeメールを顧客に送った。同社の参加者によれば、開封率は「きわめて高く」、そのうえ「ちゃんとアップデートもしてくれる」という。

Tim Peterson(原文 / 訳:SI Japan)

 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング