GDPR から1カ月、プログラマティック支出が回復の兆し

DIGIDAY[日本版] / 2018年6月28日 12時6分

プログラマティック広告支出が、その急落の原因であるEUのGDPR(一般データ保護規制)の施行から1カ月で、回復しはじめた。EUの個人情報保護法に対する広告主のパニックは、現実主義へと変化している。

GDPRが5月25日に施行されてから数日後に、プログラマティックバイイングを一様に20%から50%削減したクライアントもいたと、匿名を条件に数人のメディアバイヤーは語ってくれた。1カ月が経って、支出はGDPR施行前の水準にいくらか回復。現在、取引所を介した広告へのブランドの支出は、5月25日以前の数値より約30%少ないと、独立系エージェンシーのメディアバイヤーは語った。持株グループ1社の幹部は、その数字は20%に近いと語る。

プログラマティック広告費の減少にはふたつの理由がある。ひとつめの理由は、一部のパブリッシャーではターゲットとする広告主の同意を得るための技術が不足しており、広告主が広告枠を購入できるサイトの数に限りがあるから。ふたつめの理由は、広告主は、自分たちの広告を安全にまたは合法的にターゲティングできるかどうかに確信が持てないサプライチェーンに資金を投入することに慎重になっているからだ。

そうした問題がこの1カ月間で緩和され、広告費支出が回復してきている。ふたりのメディア情報筋によると、GDPRが施行されて以来オプトイン同意獲得の割合が少しずつではあるが増え、いまでは75%まで到達していることをパブリッシャーらは確認している。そのことが広告主たちに、さらに多くのプログラマティック広告を購入させる説得材料になっているという。ファイナンシャル・タイムズ(FT/the Financial Times)のグローバル・チーフ・コマーシャルオフィサー、ジョン・スレード氏は、FTの需要はGDPR施行の5日後に回復したと、米DIGIDAYのポッドキャストで述べた。ドイツテレコム(Deutsche Telekom)は、GDPR施行直後にいくつかのバイイングを停止したが、プログラマティック支出はGDPR施行前の水準に戻ったと、同社国際メディア管理責任者、ゲアハルト・ロウ氏は語る。

単純に、プログラマティックはドイツテレコムのような広告主が、現在ビジネスを進めるにあたって好ましい方法ということだ。一部のブランドが「一時的にプログラマティック予算をシフトさせているかもしれないが、全体的に回復を確認している」と、ヨーロッパ、中東、アフリカでロタメ(Lotame)のマネージングダイレクターを務める、クリス・ホッグ氏はいう。

プログラマティック支出のシフト

プログラマティック取引は、メディアバイヤーにとって規模が大きく、自動化もできるので、デジタルマーケティングをこれからも推進するだろう。しかし、そのパイプラインは「GDPR施行前は多くの者にとって金のなる木」だったサードパーティのデータで満たされることはないと、メディアエージェンシー、エニシング・イズ・ポッシブル(Anything is Possible)のCEO、サム・フェントン‐エルストーン氏はいう。多くの広告主がコンテンツ型ターゲティング戦略、またはパブリッシャーとの直接取引を好んで、プログラマティック広告費の大半をオーディエンスターゲティングから引き揚げるだろうと、メディアバイヤーたちは述べている。

自動車テック企業、レジットドットカー(Regit.cars)の創設者兼チーフ・レベニュー・オフィサーのクリス・アシュトン‐グリーン氏は恩恵を受けている。ドライバーに自動車の購入、販売、修理に関する情報を提供する彼の事業では、直接販売限定ビジネスへの関心の高まりを感じている。

「サードパーティのデータポットはこの1カ月で急激に減少し、広告主はエージェンシーに対し、GDPRに準拠し、ブランドセーフティのためにもっとファーストパーティデータが必要なことを伝えている」と、アシュトン‐グリーン氏は述べた。「いま、エージェンシーたちは我々に接触し、こう言ってくる、『プログラマティック取引が少ないことで、我々があなたたちに厳しい対応をとってきたことは承知しているが、あなたたちはファーストパーティデータを持っており、我々はそれに興味がある』と」。

レジットドットカーのような規模の小さなサイトに関心が示されていることを見れば、広告主たちが自身のサプライチェーンの無駄をどこまでそぎ落として、もっとも信頼できる質の高いデータに頼ることを選択するつもりなのかがわかる。日産(Nissan)やペルノ・リカール(Pernod Ricard)といった広告主は、データの規模についてはそれほど気にかけておらず、その質と精度により重点を置いていると、彼らは述べる。そのことで、彼らはますますGoogleに向かわざるを得なくなっているのだ。

Googleの影響

テック大手企業、Googleがサードパーティトラッキングのエコシステムを廃止したことで、広告主が自社の広告が伝わっているのかを独自に検証することが困難になっている。その代わりに広告主は、プライバシー保護を向上させる、Googleが管理する測定システムを持っているが、彼らの広告は、しょせんGoogleによる支配から逃れられずにいる。クライアントにとって「大きな懸念」だと、トータルメディア(Total Media)のデジタル責任者、ジェームズ・ダフィー氏は述べる。一部の広告主は、Googleのスタック全体を仕方なく購入し、そのトラッキングデータを使用してオーディエンスを理解すること以外に選択肢がない。「この1カ月で変わったのはプログラマティック支出だけではない。供給側と需要側プラットフォームに流れる資金に占めるGoogleの割合も同期間で伸びている」と、プログラマティックエージェンシーのメディアバイヤーは述べた。

Googleの広報担当者は次のように述べている。「広告レポートはデジタルエコシステムの重要な部分であり、広告主やパートナーと提携して戦略を改良することに尽力している」。

Seb Joseph(原文 / 訳:Conyac)
Lucinda Southern contributed reporting.

 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング