ワシントン・ポスト、Amazon の Twitch で番組配信開始

DIGIDAY[日本版] / 2018年7月24日 16時50分

ワシントン・ポスト(The Washington Post)は、動画視聴の新規オーディエンスを獲得するために、さまざまな候補のなかからTwitch(ツイッチ)を選んだ。ライブストリーミング顧客であるゲーマーに期待を寄せ、7月第3週に新しい番組を配信開始した。

このチャンネルは、ふたつ番組から配信開始となる。ひとつは、リビー・キャシー氏が番組リポーターを務めるライブニュース報道番組だ。初回放送は7月16日で、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領の会談をライブストリーミングで報じた。ニュースの頻度はニュースのサイクルにより決まる。もうひとつは、初回放送が7月19日で、「プレイング・ゲームズ・ウィズ・ポリティシャンズ(Playing Games with Politicians)」という名のシリーズだ。この番組では、政治リポーターを務めるデイビッド・ワイゲル氏がピデオゲームをプレイしながら著名な政治家(下院議員のマット・ガエッツ氏や上院議員のコーリー・ブッカー氏、下院のスーザン・デルベーン氏)にインタビューをする。

Twitchの可能性

同紙は、しばらくのあいだ、Twitchには潜在顧客が大勢いるのではないかと注目していた。Twitchには、1500万人のデイリーアクティブユーザー(DAU)が存在し、常に100万ページビューもあるといわれている(TwitchはAmazonがオーナーのプラットフォームだが、ワシントン・ポストと共同オーナーとなった)。番組の配信が確定したのは、このプラットフォームで4月にマーク・ザッカーバーグ氏の国会議事堂における公聴会が配信されたときだ。このとき、その初日に38万人の視聴者数を記録し、その日の見出し動画クリップは合計150万ページビューを記録した。比較できるように言うと、Twitchの金曜日午後のもっとも人気のある番組はフォートナイト(Fortnite)で、20万をわずかに超えるライブビューだ。

「デジタルランドスケープは進化し続けている。そのため、オーディエンスはどこにいるのかが常に疑問だ」と、ワシントン・ポストの動画担当副ディレクターであるフィービー・コネリー氏は言う。「現在、動画視聴をするオーディエンスは、Twitchに大勢いる。これは当社にとって魅力的だ」。

Twitchを試すことを決定したのは、Twitchやワシントン・ポストのオーナーであるべゾス氏の決断というよりは、既存の動画視聴をするオーディエンスのことだけを考慮して決定したと、コネリー氏は言う。同紙はFacebook ライブ動画の大口顧客だった。Facebook ライブ動画は、ソーシャルアプリ上で動画を視聴する習慣を根付かせるにはどうしたらよいかを把握するためのFacebookの試みのひとつであった。Facebookは、ライブ動画を配信させるためにパブリッシャーへ大枚をはたいた。しかし、この投資が終了すると、多くのパブリッシャーは別のプラットフォームへ移行した。同紙はかつて、Facebook上で1カ月にライブ動画を175本以上配信していた。しかし、年初には、ライブ動画の配信を自社所有のプラットフォームやYouTubeでの配信にシフトした。

ほかとは違う存在

Twitchでは何が違うかというと、動画を視聴するオーディエンスが、すでにそこに存在するということだと、コネリー氏は言った。

「動画の制作だけに注力するという考えは放棄した」と、彼女は言う。「動画を制作しさえすれば、見てもらえるという誤った考えをしていた。ワシントン・ポストとしての考えは、顧客がいるところで動画を配信する必要があるというものだ。これから利用するTwitchには動画をすでに消費している顧客がいる。Twitchでは「視聴する」ボックスに、すでにチェックが付いていることがわかっている。把握する必要があるのは、どのようにニュースやストーリーを配信するかということだ」。

Twitchは、新しいオーディエンスを探している新規のパブリッシャーにとって、いくつかの利点がある。第一に、ストリーミング番組はその大半がユーザー制作物であり、プロが制作したコンテンツは以前よりは増えたが、依然として少ない。ゲームが依然として一番の魅力となっているが、Twitch上でビデオオンデマンドあるいはライブ動画などをストリーミング配信するBuzzFeedやチェダー(Cheddar)、NBAをはじめとするゲーム以外をテーマとした制作会社が増えてきている。Twitchには若いオーディエンスがいる。コアユーザー層は18歳から34歳だ。Twitchは広告を販売したり、その収益の一部をプログラマーに還元するなどの収益モデルを採用している。Twitchには、プログラマーの検討部分についてフィードバックを与えるが、コンテンツに対しては口出しをしない協力チームがある。

前例のない取り組み

ゲーム以外では、IRL(イン・リアル・ライフ)やゲームとは関係ないマラソンなどのカテゴリが大勢のオーディエンスを惹きつけていると、Twitchでコンテンツの監督者を務めるマイケル・アラゴン氏は言う。それらの売り出し広告の主な利点は、Twitchの主要なオーディエンスが、エンターテイメントやニュースをすべてノートパソコンやモバイルデバイス上で楽しむ、18歳から34歳のコードカッターである点にあると、彼は言う。

Twitchはまた、対話的な遊び向けのライブストリーミングプラットフォームとしても異彩を放っている。売り出し広告はオーディエンスに訴えかけ、オーディエンスは広告主と互いにチャットを介して会話ができると、チューブラー(Tubular)の事業開発ディレクターであるアレックス・ワット氏は言う。長編動画にも適しているとのことだ。

先駆けて事業を行うのにはリスクも伴う。ワシントン・ポストは成功させた前例のないことに取り組んでいる。また、オーディエンスを見つけるには時間がかかる。なぜなら、ストリーミング番組を探している人、あるいはもっとも人気のあるタブ(このタブの大部分は人気ゲームが占めてしまっている)から番組を探している人が自社のストリーミング番組を見つけてくれる必要があるからだ。Twitch独自の環境向けに制作された番組は、どこか別の環境で容易に転用されることはないだろう。しかし、ワシントン・ポストは、この番組を既存のスタッフ陣で制作しているため、少なくとも多額の追加コストが必要になることはない。

オーディエンスとの絆

現在、ワシントン・ポストの最優先課題は求められるフォーマットやトーンを把握し、オーディエンスのインタラクションの質に注意しておくことだ。ザッカーバーグ氏のライブストリーミングのあいだにオーディエンスが書いた前向きなコメントは励みになったようだ。今後配信する番組では、同紙は、番組をより面白くするためにジーン・パーク氏というスタッフを配置し、コメント欄で、また撮影しながらオーディエンスとやりとりをする予定だ。

「弊社の成功はオーディエンスとつながりを作ることによって実現される」と、コネリー氏は述べた。

Lucia Moses(原文 / 訳:Conyac)

 

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