会員数の増加が緩まる Netflix 、国外市場に狙いを定める

DIGIDAY[日本版] / 2018年7月25日 16時50分

Netflix(ネットフリックス)が設定していたグローバルでの目標会員数に対して、100万人ほど下回る結果が報告された。これによりNetflixの成長が停滞したのでは、とマーケットは疑い、株価は下落した。目標数には届かなかったが、会員数の伸びは520万人と健全だ。この成長を保つためにNetflixは、アメリカ国外のマーケットにフォーカスする必要がある。

「インターナショナルにおけるサブスクリプション増加がフォーカスだ。そうでないといけない。他地域の潜在的な規模は天文学的ではあるものの、お金がかかる分野であり、拡大を継続して続けるのには多くの作業が必要となる。テレビはそもそもローカルなマーケットを扱うものであり、サブスクリプションを継続して拡大し、コンテンツにそれだけの支出をキープするのは難しい」と、エンダーズ・アナリシス(Enders Analysis)のシニア・アナリストであるトム・ハリントン氏は言う。

リサーチ企業であるアンペア・アナリシス(Ampere Analysis)のデータによると、アメリカ国外における会員獲得コストは2013年以来、45ドル(約5000円)で保たれている。アメリカでは会員毎コストは60ドルから120ドル(約6600円から1万3300円)へと2倍に膨れ上がっている。これは新規視聴者を獲得するためにマーケティング支出を増やしたためだ。

グローバル予算を増額

投資ファーム、リベラム(Liberum)のメディア・アナリストであるイアン・ウィットテイカー氏によると、Netflixは今年後半、グローバルでは32億ドル(約3550億円)を費やす計画だ。一方で英国の商業放送局であるITVは英国マーケットだけでも14億ドル(約1550億円)の支出予定となっている。

「Netflixは苦境に陥っている。成功が予測できない分野であるにも関わらず、大金を常に注ぎ込んで継続して大ヒット作を世に出し続ける必要がある」と、ウィットテイカー氏は言う。

英国とヨーロッパにおいて、Netflixはローカルなコンテンツに投資をしてきている。地元放送局との共同プロデュースという形がほとんどだ。しかし、それらのマーケットにおいて会員数を大幅に増加するほどのアピールは持っていないかもしれないと、アンペア・アナリシスのディレクターであるリチャード・ブロートン氏は言った。ヨーロッパにおける最初のNetflixオリジナル作品である「マルセイユ(Marseille)」はキャナル・プラス(Canal+)といった地元放送局による時代劇ドラマと比べると評判は良くない。

新規視聴者の開拓方法

Netflixは今年、ロンドンにローカルコンテンツ依頼のハブとなる拠点を開設予定だ。その後は多くのドラマ製作に必要な予算が注入され、ローカルコンテンツの数は増やされるだろう。

英国と西ヨーロッパにおける成長のキーとなるのは、コンテンツ戦略に「アーリーアダプター」以外の視聴者の好みを反映させることだ。サービスに遅れて参加してくるこういった視聴者たちは都市生活者ではなく、年齢層も高い、とブロートン氏は言う。英国では55歳から64歳の層が最も早く伸びている。アンペア・アナリシスの調査によると2015年からほぼ三倍にまで成長しているという。ブロートン氏はさらに、高齢層にも好まれる時代劇、スポーツ、そしてドキュメンタリーといったジャンルのコンテンツの数も増やしている。その一方で2016年から比べるとNetflixオリジナルのコメディ作品が占める割合は半分になっているという。

英国ではNetflixはまた、競合他社と見なされている会社ともパートナーとなる意志を見せている。有料テレビオペレーターであるスカイ(Sky)とパートナー関係を結び、スカイ会員は月額パッケージにNetflixを追加できるようにした。別の有料テレビサービスに加入しようとは思ってなかった家庭にも、Netflixが届くようになったわけだ。スカイ側の言い分は、スカイにとって都合の良い環境でNetflixのマーケティングや配置をコントロールできるから良い、ということのようだ。

解約率のマネージメント

伸び続ける会員数の裏側に潜んでいるのは、解約率のマネージメントだ。Netflixの場合はこれはマーケティングとコミッションを通じて行っている。

Netflixは公式には解約率を発表していないがアンペア・アナリシスによる調査によると、英国の会員の25%ほどが6カ月以内に解約する強い意志を見せているという。アンペアによると他のサービスでは解約率は半分ほどになることが多いそうだ。そのためこのNetflixの推定解約率は他のネット配信サービスの数字とも整合性があり、また有料テレビオペレーターと比べると若干高い数字になっているとのことだ。

「Netflixは依然として競争の大部分で勝ち抜けている。インターナショナル市場では解約を厳しく管理することで成長を続ける必要がある。会員数の増加はマーケットの予測よりも緩やかだったかもしれないが、放送局たちは引き続き注目することが必要だ」と彼は言う。

Lucinda Southern (原文 / 訳:塚本 紺)

 

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