英・クラフト動画メディア、関連のサブスクサービスを開始:動画内容を実体験できるサービス

DIGIDAY[日本版] / 2019年6月27日 16時50分

ジャングル・クリエーションズ(Jungle Creations)は、設立から5年のイギリスのパブリッシャーだ。同社は8月から、保有するメディア6ブランドのひとつであるクラフト・ファクトリー(Craft Factory)からマンスリーのサブスクリプション・クラフト・ボックス(subscription craft box)の提供を開始する。このボックスの価格は、29.99ドル(約3300円)となっており、まずアメリカから提供を開始されるという。

ジャングル・クリエーションズの最高コンテンツ責任者、メリッサ・チャップマン氏は6月3日から5日にかけて開催された、DIGIDAYビデオ・サミット・ヨーロッパ(Digiday Video Summit Europe)で次のように語っている。「当社のビジネスモデルにおいて、コマースは重要な分野となっている。本年度の収益の3分の1はコマースが占めると予測している。クラフト・ファクトリーは当社のなかでももっとも成長著しいメディアブランドで、オーディエンスから動画のなかで作っているさまざまな作品がほしいという声が多数あがっていた。オーディエンスが作品づくりをしやすいように、直接届けるサービスを開始する予定だ」。

クラフト・ファクトリーはFacebookページで860万人のフォロワーを有しており、調査の結果、週に4から6回も作品作りにいそしむオーディエンスが多いことが判明した。

クラフト・ファクトリーという企業

クラフト・ファクトリーはジャングル・クリエーションズのなかでも新しいメディアで、メロンの石鹸の作り方や手作りの宝石の作り方など、クラフト動画を配信している。クラフト・ファクトリーは、Facebookがアルゴリズムを変更したあとも同社のフードチャンネルであるツイステッド(Twisted)のオリジナルコンテンツが成功していることを受けて、1年前に立ち上げられたメディアブランドだ。

チューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると、クラフト・ファクトリーのインスタグラム(Instagram)のオーディエンスは、この半年で倍となる90万人近くまで伸びている。同期間でクラフト・ファクトリーのYouTubeチャンネル登録者数も3倍の43万人にまで増えた。YouTubeの同チャンネルのオーディエンスの30%はアメリカからとなっている。

同社は今後、オーディエンスに人気で、実際にオーディエンスが作品づくりを試しているジャンル、たとえばタイダイ染めなどから動画にする作品を選び、箱詰めして配送していく。そして利益を大きくするため、郵便受けに入るサイズと材質といったより実践的な内容について検討していく予定とのことだ。さらに同社の研究チームがソーシャルメディアにおけるコメントを通じ、提案やレビューを集めていく。メリッサ氏は、より広範囲にわたるコマースのマーケットプレイスと比べ、マンスリーのサブスクリプション・ボックスを展開するメリットとして、在庫予測のしやすさを挙げている。

クラフト・ファクトリーはこれから毎月、その月の作品を紹介する動画を新たに公開していく。動画ページには申し込みのリンク以外にも、より一般的なマーケティング動画へのリンクも掲載される。同社はコマース関連の処理とフルフィルメントについて、これまでの提携企業と協力して進めている。

ソーシャルメディアのチャンネルを基盤とするメディアブランドは、これまで特色を出してオーディエンスを集めるのが難しいとして軽んじられがちだった。だが、クラフト・ファクトリーのサブスクリプション・ボックスの成功は、こうした風潮に一石を投じることになるかもしれない。

マネタイズの多様化が課題

ジャングル・クリエーションズは300万ポンド(約4億1400万円)の資金調達を受け、トラフィックと収益をFacebookに完全に依存している現状からの多様化を進めている。そんななかサブスクリプション商品は付加価値として重要な位置づけとなる。定期的にD2C収益をあげているメディア企業の場合、その価値は税引き前利益に支払利息、減価償却費、および特別損益を加算したEBITDAの8から12倍になる場合もある。それと比べて、広告のみに依存するメディア企業であればEBITDAの4から7倍がせいぜいだ。

パブリッシャーのなかには、不安定な広告市場のなかで増分収益を増やすためコマース市場に参入した企業も多い。昨年、ジャングル・クリエーションズは2030万ドル(約22億3300万円)の収益をあげているが、そのうち100万ドル(約1億1000万円)はFacebookとインスタグラムで販売した靴下の収益によるものだ。同社は靴下をペイドソーシャルの広告を通じて販売するために、新ブランドのラビマルズ(Lovimals)を立ち上げている。

「コマースの商品を既存のブランドで立ち上げることの意味は大きい。すでに関わり合いのあるカスタマーベースがあるからだ」と、チャップマン氏は語る。「クラフト・ファクトリーにはオーディエンスが好むような遊び心があり、昨年、1年かけてオーディエンスとの信頼を醸成してきた」。

コマースベンチャーの作り方

また、ジャングル・クリエーションズはオーディエンス側に新しいサブスクリプション・ボックスの広告が表示されすぎないように最新の注意を払っている。同社には、こうした取り組みに関する経験がある。同社は2年前に宅配専門のレストランを立ち上げており、現在イギリス国内に6カ所の拠点を展開しているとの発表を行ったばかりだ。

同社のコマースチームは6人体制だ。そのうちコマース関連コンテンツの作成担当が4人、運用とカスタマーサービス担当が2人となっている。コマース分野におけるジャングル・クリエーションズの野心はこれにとどまらない。今年8月、同社はツイステッド・ストア(Twisted Store)を立ち上げる。これはツイステッドブランドのエナメルボウルやティータオル、同ブランド初のレシピブックといったさまざまな台所用品を販売するストアだ。商品は、ツイステッドが毎日3本配信するレシピ動画でも取り上げられる。価格は7.99ドル(約865円)からとなっている。広告よりも商品販売というやり方はBuzzFeedのテイスティ(Tasty)やテイストメイド(Tastemade)をはじめ、ほかのデジタルメディア企業も取り組んでいる。

「当社は要するに、オーディエンスが求めていることを把握し、提供しているのだ」と、チャップマン氏は語る。「ジャングル・クリエーションズはすでにただのメディア企業ではない。だが、メディア企業としてのあり方を忘れず、ツールやデータ、分析を駆使すれば、理にかなった、付加価値が最大となるコマースベンチャーを作り上げることができる」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)

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