広告付きストリーミング動画、シェア獲得を狙うバイアコム:存在感増す AVOD 市場

DIGIDAY[日本版] / 2019年9月4日 11時50分

英国では、広告付きストリーミング動画への関心が急激に高まり、メディア企業のバイアコム(Viacom)が、市場シェアを獲得しようとしている。

バイアコムは、広告ベースのストリーミング動画サービス、プルートTV(Pluto TV)で、テレビ番組の一部を配信する一方で、公共放送局のチャンネル5(Channel 5)にある自社のVODプラットフォーム、My5でプルートのチャンネルを共有し、リーチの拡大と認知度の向上に役立てようとしている。

My5がプルートTVの3つのチャンネルを配信するという7月の発表に続いて、My5の3つのチャンネルが8月1日から、英国のプルートTVで配信される(※原文記事は、8月1日公開)。

バイアコムによると、プラットフォーム間のこうしたコンテンツ共有から利益を得ているという。1カ月が過ぎ、My5上のプルートTVのコンテンツは、いまでは、同プラットフォームでの視聴の5%を占めている。プルートTVの3つのチャンネルが追加されたことで、My5には現在、サードパーティのコンテンツチャンネルが10あり、プラットフォームでの視聴時間は前年比で42%増加している。

コンテンツ共有でリーチ拡大

もっと広範にオーディエンスを誘導するため、My5は、さまざまなチャンネルとの提携やリニアサービスでは配信されていない番組の獲得により、見逃し配信サービスを越えてコンテンツを強化してきた。現在、視聴の12%は、プルートTVのチャンネルやPBSアメリカ(PBS America)、リアルストーリー(Real Stories)、ブレイズ(TheBlaze)など、チャンネル5以外の提携チャンネルのコンテンツと、放映権を獲得したドラマ番組が占める。4~6月には、My5での視聴が1~3月と比べて15%増加した。My5によると、獲得したドラマ6番組のうち、「オース(The Oath)」と「ベルビュー(Bellevue)」の2番組は、この数カ月間にわたって上位10番組に入っているという。

「人々は、4つ、5つのストリームの視聴ではなく、5つ、6つのストリームを視聴しており、徐々に増加している」と、バイアコム・インターナショナル・メディア・ネットワークス(Viacom International Media Networks)の英国・北欧・東欧法人でデジタル担当バイスプレジデントを務めるオリ・トーマス氏は語る。My5は今後半年間で、パートナーを追加し、製品やマーケティングの成果に関する分析・データ機能を強化する。「英国のオーディエンスに選ばれる首位の広告付きVOD製品になるようシフトしていく」と、トーマス氏は付け加えた。

プルートTVは、オンライン動画とオンデマンド番組のライブラリを売りにしており、世界全体での月間ユニークビューワー数は、バイアコムに買収された2019年1月の1200万人から増加して1600万人だ。メディア解析企業アンペア・アナリシス(Ampere Analysis)の推定では、My5は400万世帯に利用されている。コンテンツの共有により、両社はリーチが拡大し、認知度が高まるはずだ。

「My5とプルートTVは、大きく異なったサービスで、リーチするオーディエンスもかなり違う。プルートTVは、いわば後ろにもたれて視聴する体験で、かたやMy5は、見逃し配信により前のめりになる体験だ。食い合うことなく業界で十分成長できる。両社にとって掛け値のない成功だ」とトーマス氏はいう。

トーマス氏によると、オーディエンスも互いに補完し合っている。プルートTVのオーディエンスは一般に男性で、高年齢層に偏っているが、My5のそれは女性の若者層だという。

広告付き動画の配信戦略

ITVハブ(ITV Hub)やオール4(All 4)のような英国のほかの公共放送局が、独自のVODプラットフォームやサブスクリプションプラットフォームを構築している一方で、バイアコムはAVOD(広告付き動画配信)市場のシェアを追求している。

アンペア・アナリシスによると、2018年には、プレロール、ソーシャル動画、パブリッシャー広告、VODを含む、英国のオンライン動画広告市場の規模は推定で20億ポンド(約2577億円)だった。その約半分はFacebookとGoogleに向かったと予想される。サブスクリプション型OTT市場は、13億ポンド(約1675億円)と推定される。コンテンツの構成を適切にすれば、プルートTVは、市場の隙間を埋められる可能性がある。

バイアコムの広告付きストリーミングプラットフォームは、デジタルに興味があるテレビ広告主にアピールするよう位置づけられているが、同時に広告支出をGoogleとFacebookに集中させたくないであろうデジタル広告主もターゲットにしている。

提供するものを強化するため、My5は製品やコンテンツ、マーケティングへの投資を増やして、登録ユーザー基盤を1年間で19%拡大させてきた。同社は数字を明らかにしていないが、広告収入も増加していると、トーマス氏は述べている。

登録者数を増大させることが、半年間で、氏名やメールアドレス、誕生日、位置情報といった、快く提供されるファーストパーティ情報のデータプールを拡大するカギだ。こうしたものは、広告主から見てより魅力的な売り物だ。それだけでなく、プラットフォーム上のコンテンツが増えれば、オーディエンス向けのコンテンツを見つけやすくすることができる。そうしたことから、My5は、機能を追加して、別のデバイスで視聴を中断したコンテンツに再びアクセスできるようにする予定だ。

制作者たちの「希望の星」

アンペア・アナリシスと英当局の通信庁(The Office of Communications)の報告によると、オーディエンスと収益の点で、My5はほかの公共放送局より規模が小さい(オール4は1800万人の登録ユーザーがいる)が、就学前の子ども向けチャンネル「ミルクシェーキ(Milkshake)」のおかげで、若いファミリーのオーディエンスに対してはより優れた成果を上げているという。

「年齢を重ねるにつれて、バイアコムのポートフォリオを通して移行していくので、子どもをつなぎ止めるのは、思慮深い長期戦略に思える」とアンペア・アナリシスの調査担当ディレクターであるリチャード・ブロートン氏は指摘する。

バイアコムの戦略は、プルートTVに15のチャンネルを投入した米国でコンテンツを共有して広告収入を伸ばしている方法の延長だ。AmazonとRoku(ロク)は2つの主流サービスであり、広告料ベースの独自シリーズを展開して、一大ビジネスを構築する可能性がある。だが、プルートTVは、コンテンツ制作者にとって収益とオーディエンスの面で「希望の星」であることを証明してきた。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)

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