ストリップモールへ再注目しはじめた、米・小売業者たち : 屋内型モールの不振を受けて

DIGIDAY[日本版] / 2020年3月9日 11時50分

これまでストリップモール(道路に面した小規模のショッピングモール[※TOP画像参照])に目を向けてこなかった一部の小売業者が、考えをあらためはじめている。

百貨店のメイシーズ(Macy’s)と化粧品チェーンのセフォラ(Sephora)は2月初め、今後数年間でこうしたストリップモールへの出店を拡大する意向を相次いで明らかにした。2019年には、サプリメントブランドのGNC(General Nutrition Centers)が、大規模ショッピングモールに展開している700店を閉鎖し、売上が「比較的安定」しているとされるストリップモールに注力する計画を発表している。

オンラインで買い物をする人が増え、モールへ足を運ぶ買い物客が減るなかで、この手のショッピングモールのもつ数少ないメリットがますます重要になっている。こうしたモールでは、一般に店舗の規模が小さくなるため、賃料が安くなる。また、メインのテナントはたいてい食料品店かジムであるため、買い物客が週に何度か訪れる場所に出店できることになる。難しい点は、売り場の構成や品揃えをたびたび見直し、モールを訪れた買い物客を店舗に立ち寄りたい気持ちにさせる必要があることだ。

「これまでの我々に欠けていたのは、(顧客が)金曜の夜に(フィットネスの)ソウルサイクル(SoulCycle)に行ったりピザを買いに来たりする場所の近くに店を構えることだった」と、セフォラで不動産および開発担当シニアバイスプレジデントを務めるジェフ・ガウル氏は、米DIGIDAYの姉妹サイトであるグロッシー(Glossy)に対して語った。同氏によれば、2020年には100件の新規出店を計画しているが、その多くがストリップモール内だという。

ストリップモールを目指す企業

一般に、こうしたモールは郊外の幹線道路沿いにあり、さまざまな店舗が入居している。また、道路に面した場所に駐車場があり、そのすぐ目の前に店舗が建っているのが普通だと、カンター・コンサルティング(Kantar Consulting)で最高知識責任者を務めるブライアン・ギルデンバーグ氏はいう。

ほとんどの店舗をこうしたモールに展開しているとされる小売業者には、ターゲット(Target)、アルタビューティー(Ulta Beauty)、 TJマックス(TJ Maxx)、コールズ(Kohl’s)などがある。

アルタビューティーのストリップモールでの成功を見れば(同社が12月に発表した第3四半期決算の利益は、予想を上回るものだった)、セフォラがこうしたモールへの出店を増やす理由がわかるだろう。ガウル氏がグロッシーに語ったところによれば、セフォラが2020年にオープンする店舗の多くは、従来の店舗より1500平方フィート(約139平方メートル)ほど小さい。また、店頭ではヘアケア製品やスキンケア製品を多めに取り扱うという。

「ストリップモールでは、なによりもまず店舗に客を呼び込む小売ビジネスが必要だ。購入頻度が高い商品を店に置かなければならない」とギルデンバーグ氏は述べている。

メイシーズの方向転換

メイシーズは2021年のストリップモールへの出店数を明らかにしていないが、屋外型モール向けに「マーケット・バイ・メーシーズ(Market by Macy’s)」と呼ばれる新業態の店舗をテストしている。ダラスで2月6日にオープンした1号店では、レストランを併設したほか、料理教室やフィットネス教室などさまざまなイベントを開催する予定だと、同社はプレスリリースで説明した。店舗の面積は1万5000平方フィート(約1390平方メートル)で、メイシーズの標準的な店舗の8分の1ほどしかない。

また、ストリップモールに進出する一方で、125件の店舗を閉鎖するとメイシーズは発表している。そのほとんどは屋内型モール内の店舗だ。

データによれば、ストリップモールで小売業者のリース契約が大幅に増えている様子はないが、空室率は、増加を続ける従来型モールと違ってほとんど変化していない。商用不動産分析を手がけるレイス(REIS)によると、米国の屋外型モールとストリップモールの空室率は、2019年第4四半期には10.2%で、2018年第4四半期とほぼ同じだった。これに対し、屋内型モールの空室率は9.7%だったものの、過去20年間でもっとも高くなっている。

「機会を最大限に増やすだめ」

「小売業者の多くは、とにかく来店者数と収益機会を最大限に増やしたいと考えている。そしてこれまで、(屋内型)モールがそのような機会を提供してきた」と、小売ソフトウェア企業のエンビスタ(enVista)で小売マーケティング担当バイスプレジデントを務めるデイビッド・ナウマン氏はいう。「大規模モールに出店しているおかげで、店舗の前を通りかかる人の数が大幅に増え、きわめて大きな収益機会が提供されるというわけだ」。

一方、小規模な屋外型モールはたいてい道路沿いにあるため、車で近くを通りかかった人に新しい店舗をすぐに見つけてもらえるというメリットがある。「(ストリップモールでは)異なるビジネスモデルが求められる。小規模な店舗の運営に長けていなければならない」とギルデンバーグ氏は語った。

Anna Hensel(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Shutterstock

 

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