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米・ショッピングセンター、 テナント横断型マケプレを構築:業界デジタル化の手本となるか

DIGIDAY[日本版] / 2021年10月19日 8時50分

この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、小売業の変革の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。

ウィスコンシン州のショッピングセンター、ザ・コーナーズ・オブ・ブルックフィールド(The Corners of Brookfield)がデジタル化を進めている。その一環がデジタルマーケットプレイスの立ち上げだ。

ザ・コーナーズ・オブ・ブルックフィールドは、リテール向けクラウドソフトウェア会社のプレースワイズ(Placewise)と提携し、ウェブサイトの構築に取り組んでいる。目指すのは、買い物客がモール内のすべての店舗の商品を閲覧できるだけでなく、BOPIS(Buy Online Pickup In-Store/オンライン購入・店舗受け取り)の注文や返品も可能な場所にすることだ。2021年11月には、各店舗から選りすぐりのクリスマス商戦用ギフトを集めて、デジタルマーケットプレイスの試験運用を実施する予定だ。さらに2022年末までには、テンピュール・ペディック(Tempur-Pedic)、ルルレモン(Lululemon)、L.L.ビーン(L.L. Bean)をはじめとするテナント全社と提携し、全商品を取り扱う本格的なマーケットプレイスを展開したいと考えている。

デジタルコマース360(Digital Commerce 360)の報告によると、2019年には全米上位500位のリテーラーのうち6.9%しかBOPISを実施していなかった。しかしながら、昨年2020年末には、店舗滞在時間をできるだけ短くしたい顧客のあいだでBOPISの需要が大幅に増加し、同じリテーラーの43.7%がこのサービスを実施していた。

「こうした変化は……長期間にわたり見られるのではないか」と国際ショッピングセンター評議会(International Council of Shopping Centers、ICSC)のリサーチおよびPR担当バイスプレジデントを務めるステファニー・セギエルスキ氏は話す。

テナントを横断した取り組み

しかしながら今までのところ、オムニチャネルの取り組みはその大半がショッピングモールではなく、ブランドやリテーラー独自のものだ。消費者はひとつのブランドで商品を購入し、そのブランドの店舗で商品を受け取る。購入データもそのブランドだけで共有される。

ザ・コーナーズ・オブ・ブルックフィールドのマーケティング&エクスペリエンス担当ディレクター、チェルシー・レスラー氏は、このような買い物体験を統合させる方法を探したいと考え、手軽な方法から始めた。「コロナ禍で、ショッピングセンターとしてうまくやっていく方法を考えていて、『なるほど、ここで売られている商品をショッピングセンター独自のセットにすればいいのか』とひらめいた。そうすれば、ショッピングセンターでしか買えないものが用意できる」とレスラー氏は話す。「私たちには大きな需要に対応できる技術はなかったが、ここの顧客ならきっとこのサービスを気に入ってくれると確信していたし、テナントも気に入ってくれると確信していた」。

プレースワイズに相談したところ、同社では、ノルウェーのショッピングセンター、クーベン・ヘーネフォス(Kuben Hønefoss)で、ある試験運用を実施しているという。これは、オンライン・オフラインどちらの買い物も店舗ごとの個別管理ではなくショッピングセンター全体で集中管理するというものだ。

プレースワイズ・アメリカズ(Placewise Amecicas)のプレジデント、ジョン・ディー氏によると、顧客はオンラインでもオフラインでも似たような買い物体験を求めており、できるだけ楽な方法で商品を入手しようとしている。顧客がどのように買い物を行うのかが直接反映されるデジタルマーケットプレイスであれば、それができると同氏は説明する。

9月中旬には、社内でプラットフォームを稼働させており、現在は不具合がないかデジタルマーケットプレイスのチームが試験運用を実施し、最適化の方法を模索している。レスラー氏はこの11月にはサイトを公開する予定だ。

他店舗での展開も

「2021年のクリスマスシーズンを見据えて、サービス開始を予定している。選りすぐりのおしゃれなギフトセットを用意するつもりなので、テナント各社も『このギフトセットなら、うちのブランドもこの商品で参加したい』と乗り気になるだろう」とレスラー氏。「まだ2カ月ある。こういう言い方は好きではないが、それだけあれば状況に慣れて、しっかり対応できるようになる」。クリスマス試験運用の参加テナント数は、まだ最終的な数字がでていないとレスラー氏は話す。

レスラー氏は、2022年末までにショッピングセンターにある31店舗のテナント全店にこのプラットフォームを利用してもらいたいと考えている。「ショッピングセンターの全テナントとの面談をすませている。どのブランドも、とても前向きな考えだ、『いろいろと考えられる』として、このアイデアをとても気に入っている」とレスラー氏。「大切なのはテナントとの関係だ。テナントの説得には1テナントあたり6回の会合が必要になる場合もあるだろう」。

レスラー氏とディー氏は今後、レストランのテナントのほか、映画のチケット販売やネイルサロンの予約などのサービスも取り込んでいきたいと考えている。ただし、「それにはもっと時間がかかる」とレスラー氏は断言する。

ザ・コーナーズ・オブ・ブルックフィールドはチェーン店ではなく単一のショッピングセンターだが、レスター氏いわく、親会社のIMプロパティーズ(IM Properties)も大いに関心を寄せている。現時点で公式な発表はまだないが、ほかの店舗でも似たようなサービスを考えているという。系列のショッピングセンターでも同じようなサービスを展開してくれれば、とレスラー氏。

「ショッピングセンターはこれまで長いあいだ、問題から目をそらしてきたような状態だった。渦中の栗を拾おうとしなかった。でも、これ以上、そのままというわけにはいかない」とレスラー氏。「テナントも増えているし、顧客も増えている……ショッピングセンター市場全体にとって今回の取り組みは、今後につながる新たな動きである」。

[原文:Why one Wisconsin shopping center is launching a digital marketplace]

Maile McCann(翻訳:SI Japan、編集:戸田美子)

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