モレックス、ヒューマンマシンコラボレーションの可能性とロボットの将来見通しに関する業界レポートを発表

ロボットの進化を後押しする基盤技術
ロボットの未来の大部分は、動的環境における自動動作を実現する、コアとなる通信とコンピューティング技術の継続的な進展にかかっています。通信技術の中で最も重要となるのが高速接続の技術ですが、これは、ロボットシステムにおいてはロボットを高速かつ精密に反応させるための低遅延通信と、ほぼ瞬時のデータ伝送技術が要求されるためです。5G/6Gネットワークでは高帯域の低遅延通信が実現されますが、5G、Wi-Fi、衛星通信間の切替え機能等、マルチチャネルによる冗長性を付与するための複数の接続オプションを搭載したロボットを設計することが重要になります。

同様に重要なのが、データを近傍のエッジデバイスで処理することで、ロボットシステムとロボットを中断なく独立して運用できるようにすることです。たとえばエッジコンピューティングでは、自動化ソリューションはデータを瞬間的に処理することが可能ですが、これは1秒以内の判断が求められるアプリケーションには必須の能力です。また、大部分の産業用オートメーションや生産環境で利用されるロボットには必ず、通信が遮断あるいは安全性が損なわれたと判断した場合には出力と機能を制限してセーフモードにする、フェイルセーフの考えに基づくプロトコルがプログラムされています。

AI/MLおよびセンサーフュージョンのイノベーションがもたらすメリット
ロボットの適応性を強化する最大の原動力である人工知能 (AI) と機械学習 (ML) の進歩はとても重要です。ロボットはAIアルゴリズムによってリアルタイムデータを基にした決定や新しい状況への迅速適応、さらには過去のインタラクションに基づいた将来の状態予測までを行います。また、MLのパターン分析により、動作を最適化しながら、学習、適応、性能向上を継続して効率と精度を向上することが可能です。センサーフュージョンはLiDAR、カメラ、デプスおよびフォースセンサー等の異なる複数のデータソースからデータを収集し、異なる環境条件下における多目的ロボットの深度、動作、障害物の認識機能を強化します。

より良いヒューマンロボットインタラクションのために重要な要素
ロボットに関するモレックスのレポートでは、人間の言葉を理解して返事をすることができるだけでなく、人の感情や前後の文脈に基づいたニーズ予測までが可能なロボットの実現もすぐそこまできていることが述べられています。たとえば自然言語処理 (NLP) を用いれば、ロボットは人間の口頭指示に従い、会話に参加し、文脈を理解して行動を調整することが可能です。さらに、感情認識AIを搭載したロボットは、人の声のトーンや表情を介して表出される感情を認識、応答することができます。このように人間中心のインタラクションの領域が進展し、ロボットとの深い関わり合いが醸成されていくことは、将来、複雑な住宅環境内にすぐに適応するロボットシステムや自律型ロボットの実現、また新しく家庭教師のような役割を担うロボットや手術支援ロボット、常時患者監視ロボットの実現につながるものとして期待ができます。