低周波神経筋電気刺激療法と他動サイクルエルゴメーターの組み合わせによる血行動態への影響を実証-- リハビリテーションへの新たな応用可能性 --
Digital PR Platform / 2024年12月6日 14時5分
背景
神経筋電気刺激(NMES)は、重症心不全患者や集中治療室(ICU)に入院する患者の筋力維持を目的として使用される非随意運動療法です。高周波NMES(30~50 Hz)は筋力維持や筋量増加を目的とした設定が一般的ですが、低周波NMES(LF-NMES: 2~10 Hz)は有酸素運動の代替としての利用可能性が示されています。これまでの研究では、LF- NMESが酸素消費量の増加や慢性脊髄損傷患者の筋酸化能の改善に寄与することが報告されていますが、心肺機能に与える影響については解明されていません。また、NMESに他動的サイクルエルゴメーター(PCE)を組み合わせると心拍出量が増加するという報告がある一方で、その生理学的背景については詳細が不明でした。本研究では、LF-NMESにPCEを併用することで、静脈還流を増加させ、心拍出量の向上が期待できるという仮説を立てました。
研究概要
本研究では、健康な男性13名を対象に、LF-NMES単独、LF-NMESとPCEの併用、自発的サイクルエルゴメーター(VCE)の3つの運動モダリティを比較するランダム化クロスオーバー試験を実施しました。各運動モダリティは酸素消費量14 mL/kg/min(4 METs)に調整し、血圧、心拍数、心拍出量、左室拡張末期容積、血中乳酸濃度などの指標を評価しました。結果として、LF-NMES単独では心拍出量が十分に増加せず、末梢循環不全を引き起こすことが示唆されました。一方、LF-NMESにPCEを併用することで、心拍出量と左室拡張末期容積が改善し、VCEに近い血行動態が得られることが明らかになりました。
研究の意義
本研究は、LF-NMESの単独使用が血行動態の不全を引き起こす一方で、PCEを併用することでこの課題が改善されることを明らかにしました。この結果は、NMESを用いたリハビリテーションの新たな可能性を示し、随意な運動が困難な患者に対する代替療法としての展望を提供します。
掲載論文
発表雑誌名
American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology
論文タイトル
Effect of Low-Frequency Neuromuscular Electrical Stimulation Combined with Passive Cycle-ergometry on hemodynamics in Healthy Adults
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