小樽商科大学の文理融合研究「榎本石鹸プロジェクト」がクラウドファンディングを実施 ― 榎本武揚が書き記した石鹸製造レシピで復刻した石鹸を届けたい
Digital PR Platform / 2024年12月12日 14時5分
小樽商科大学(北海道小樽市)では現在、文理融合研究「榎本石鹸プロジェクト」に関するクラウドファンディングを行っている。同プロジェクトは、榎本武揚が書き残した「石鹸製造法」をもとに明治時代の石鹸を復刻し、地元メーカーとともに商品化することを目指すもの。今回のクラウドファンディングは、榎本武揚の功績や同大の取り組みを広く伝えることを目的としたもので、復刻版石鹸のほか、現代風にリニューアルした敏感肌用、榎本が好んだといわれる牡丹の香り付きの3種がリターンとして用意されている。期間は12月27日(金)まで。
箱館戦争で旧幕府軍を率いた榎本武揚(1836-1908)は、小樽商科大学の前身である小樽高等商業学校の創設にも寄与していたことが近年明らかになった。また、幕末にオランダ留学の経験がある榎本は、文系だけでなく理系の諸分野にも明るく、五稜郭の戦い後の獄中時代には化学者的側面から「石鹸製造法」を書き残している。かつて小樽高等商業学校では、「企業実践」という科目の中で学内に設置された石鹸工場において「高商石鹸」を製造し、販売していた。
こうした点から小樽商科大学は2021年度に文理融合研究「榎本石鹸プロジェクト」を発足。大阪大学大学院法学研究科の醍醐龍馬准教授(元小樽商科大学商学部一般教育系准教授)が古文書「石鹸製造法」を解読し、そのレシピを元に小樽商科大学商学部一般教育系(化学担当)の沼田ゆかり教授とゼミ生が復刻石鹸の製造に取り組んだ。
同年度末には復刻に成功し、2022年度には商品化を目指して現代風にリニューアルした敏感肌用を開発。さらに2023年度には札幌の石鹸メーカーSAVON de SIESTAの協力により、榎本が好きだった牡丹の香り付き石鹸も製品化し、小樽市内でテスト販売が行われた。
現在、商学や知的財産法などさまざまな関連分野の教員が協力に入り、地元企業の協力も得た産学連携により、一致団結しながら商品化を進めている。
しかし、「小樽商科大学の開学理念として実学重視があったこと」「その一環として高商石鹸作りの伝統に見られるような文理融合の気風があったこと」は、文系単科大学という同大のイメージに隠れて世間に認知されていない。また、小樽商科大学ゆかりの人物といえば、OBの小林多喜二と伊藤整の2人に収斂しており、2018年に発見された榎本武揚との関係は十分に広まっていない。
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