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【日本大学】難病同士の合併 メカニズムを日大が解明

Digital PR Platform / 2025年1月22日 14時5分

【日本大学】難病同士の合併 メカニズムを日大が解明



【 概 要 】
日本大学医学部血液膠原病内科学分野の中村英樹教授らの研究チームは、国の難病に指定されているHTLV-1関連脊髄症(HAM)と、自己免疫疾患の一つで同じく難病指定のシェーグレン症候群(SS)が合併するメカニズムの一部を解明しました。細胞株を使った研究で、HTLV-1ウイルスに感染した細胞が、SSの抗体を作る別の細胞の働きを抑制していることを確認しました。研究チームでは「新しい治療法の開発につながる可能性がある」と話しています。




本研究は、2025年1月8日にEuropean Journal of Immunology誌に掲載されました。
タイトル:Direct inhibitory effect of HTLV-1-infected T cells on the production of anti-Ro/SS-A antibody byB cells from patients with Sjögren's syndrome.
著者:Nagata K, Tsukamoto M, Nagasawa Y, Kitamura N, Nakamura H.
掲載誌:European Journal of Immunology
DOI:10.1002/eji.202451279
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/eji.202451279



【 研 究 内 容 】
研究背景:
ウイルス感染と自己免疫疾患の関連は古くから言われていますが、その機序にまで踏み込んだ研究は少ないです。九州南西部での疫学的研究ではSS患者でHTLV-1感染頻度が高いことが知られており、免疫学的な解析によりHTLV-1がSS患者唾液腺上皮細胞(注6)へ感染し炎症を惹起することや、HAMに合併したSS患者唾液腺組織ではHTLV-1 のtax/HBZ遺伝子(注7)発現が見られることが明らかとなっています。これらの知見はHTLV-1感染がSSの発症要因になりうることを示していますが、一方でHAM合併SSにおいては、SSに特徴的な自己抗体の陽性頻度が顕著に低いことの原因が不明でした。



研究結果の要点:
✓SSおよび健常人末梢血単核球(注8)より分離したB細胞を放射線照射したCD40L発現EL-4細胞(注9)と混合培養する系にインターロイキン(IL)-2、IL-10、CpG(注10、11)を添加することで非特異的IgGおよび抗 Ro/SS-A 抗体の産生を効率に誘導できる試験管内抗体産生系を確立しました。
✓この試験管内抗体産生系において、健常人由来B細胞からの非特異的IgGや抗サイトメガロウイルス抗体およびSS患者由来B細胞からの非特異的IgGやRo60/SS-A抗体の産生がいずれもHTLV-1感染T細胞株(MT-2およびHCT-5)(注12)の添加で顕著に抑制されました。
✓MT-2およびHCT-5はHTLV-1にコードされるTaxおよびgp46蛋白を発現していましたが、これらの細胞と共培養した B 細胞にはTaxおよびgp46の発現が認められないことから共培養B細胞にはHTLV-1ウイルスが感染していないことが確認されました。
✓MT-2およびHCT-5 は従来の報告にあるようにCD70やICAM-1(注13)を高発現し、TGF-βや免疫チェックポイント関連分子PD-L1/2(注14、15)を発現していましたが、これらの分子に対する阻害抗体の添加ではIgG産生抑制作用は解除できませんでした。
✓Transwell(注16)を用いた検討により、HTLV-1感染T細胞株とB細胞が直接接触しなくても弱いながらIgG産生抑制が起こることも明らかとなりました。

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