【名城大学】リチウム-コバルト酸化物が水を分解して水素を生成することを世界で初めて発見ー使用済みリチウムイオン電池のリサイクルが水素社会の実現を後押しする可能性ー
Digital PR Platform / 2024年1月5日 14時5分
【背景】
現在、二酸化炭素を排出しない地球環境に調和した水素エネルギー社会の実現に向けて多くの研究が進められています。燃料となる水素は、メタン、アンモニア、エタノール等の水素化合物から取り出すことが一般的ですが、水素エネルギー社会の実現を達成させるための理想的な水素生成方法の1つとして、地球上に無尽蔵に存在する安全な水から常温で取り出すことが挙げられています。
本研究では、水を室温で吸収する優れた特性を有するリチウム-コバルト酸化物に注目し、低エネルギーで水から水素を取り出す研究を試みました。このリチウム-コバルト酸化物は、スマートフォンやノートPCなどのバッテリーとして搭載されているリチウムイオン電池の正極材料として幅広く利用されています。今後、さらに大量に放出される可能性がある使用済みリチウムイオン電池の処置は喫緊の課題となっています。
【意義】
研究チームが室温で水浸漬されたリチウム-コバルト酸化物から生成した水素は、既存の発電用プラントや家庭用燃料に適用することができるため、社会コストの抑制が可能であり、効率的な脱炭素手段として大きなポテンシャルを持っています。この水素製造手法は、土屋教授が特許を保有するリチウム複合金属酸化物の常温水分解技術「水素貯蔵体、及び水素の製造方法」(特許第6993686号)の新たな展開と位置付けられます。
【今後の展開】
実用化に向けては、空気中の水蒸気を効率よく吸収し、水素を大量に作り続けることが求められます。そのためには、より表面積を増やすために粉末状のリチウム-コバルト酸化物を作製し、水蒸気から水素生成を実現することを目指しています。
【用語の解説】
1)大気雰囲気型反跳粒子検出法:タンデム加速器からの高エネルギー(5.1 MeV)のヘリウムイオンプローブビームを、大気中で水浸漬されたリチウム-コバルト酸化物に照射し、前方に反跳された水素を直接検出する手法である。
2)第一原理計算:平面波・擬ポテンシャル法によるVASP(Vienna ab-initio simulation package)計算コードを用いた計算である。原子が結晶内で最も安定に存在し得る位置を評価できる。
3)リチウム空孔:結晶中のリチウム原子が移動することにより形成された空隙(くうげき)である。
【お問い合わせ先】
名城大学 理工学部 教養教育 教授 土屋 文
E-mail:btsuchiya@meijo-u.ac.jp
▼本件に関する問い合わせ先
名城大学渉外部広報課
住所:愛知県名古屋市天白区塩釜口1-501
TEL:052-838-2006
FAX:052-833-9494
メール:koho@ccml.meijo-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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